クイズの話〜読んでも強くはならない〜後半
最終更新日2009年9月22日
おなじみのクイズ番組やクイズに関する本の内容に関して思ったことを書き綴っていきたいと思います。こちらは2009年7月以降に掲載したものを載せています。
第7話〜意外や意外?の「タモリの音楽は世界だ!」
かなり前の話で恐縮ですが 1990年〜1994年 にテレビ東京系列で「タモリの音楽は世界だ!」というクイズ番組が放送された(一旦終了後、翌年に新しいスタイルで番組が再開されたが、そちらは見ていない)音楽通のタモリさんが司会を務め、あらゆるジャンルの音楽についてのクイズが出された。バックバンドやゲストがテーマの楽曲を演奏してから問題が出題される、というある意味「タモリさんらしい」形式の番組であった。回答者も坂田明、なかにし礼、森口博子、立川志の輔など、音楽のクイズ番組だから集まるメンバーであった、と思う。特に人気があったクイズは「デジタモドン」当時はまだ一般的でなかったマッキントッシュのアップルコンピュータを使い、ある楽曲を様々な形に編集し、元の楽曲を当てる、というクイズ。どのように編集するかというと
と、ここまで書いたところで、ふとある疑問が出てきた。タモリさんはこの番組以外にクイズ番組の司会をしたことがあるのだろうか? 「笑っていいとも」での一コーナーやスペシャル番組の時にはクイズの司会をすることがあるが、レギュラーのクイズ番組でタモリさんの司会を見たことがない。「タモリ倶楽部」「ボキャブラ天国」「トリビアの泉」などのヒット番組を生み出しているタモリさんがなぜクイズ番組に司会をしないのだろうか?
タモリさんが「タレントである」ということが一つの理由として考えられる。一般的にクイズ番組の司会者はアナウンサー(以前放送局にいた人も含めて)が務めており、タレントの人がクイズ番組を務めるのはごく最近のことだと思う。また「笑っていいとも」という大きな番組の司会を務めているため、クイズ番組の司会を並行して進めることが難しいのも理由の一つと考えられる。
もう一つ私が理由として考えたことは「タモリさんの司会のスタイル」である。今でも多くの番組に司会として出演しているが、タモリさんは他の出演者と近い位置にいる。「ミュージックステーション」でもタモリさんのすぐ横にゲストが座り、同じ方向を見て話をしている。「ボキャブラ天国」では他の出演者とは少し離れた位置にいたが、やはり出演者と共に同じ方向を向き作品の評価をしている。このようにタモリさんは司会という立場ではなく「仕切り役の一出演者」のような立場で番組を進めているように思える。
話を戻して「音楽は世界だ!」の場合はどうだったか?タモリさんは「司会」として解答者と向き合って、離れた位置で番組を進めていた。まさに「司会」をしていた。しかしゲストのミュージシャンに対しては「ミュージックステーション」と同じくタモリさんはゲストの隣で同じ方向を見て話をしていた。さらにタモリさんの後ろにはバックバンドが常に控えている状態だった(と思う)やはりこの番組でも「仕切り役の一出演者」という一面を持っていた。
普通クイズ番組は「一点を争う戦い」という緊迫感を楽しむという内容で作られる。タモリさんの番組はそのような緊迫感を持たせるものはほとんどない。「一点を争う」クイズ番組のイメージをあまり持たせずクイズを進めるために司会者としてタモリさん、そして内容はタモリさんが好きな音楽をテーマに持って来たのかもしれない…と私は勝手に思う。今後タモリさんが新しいクイズ番組の司会を務めることはあるのでしょうか。そのときはやはり音楽に関するクイズなのか、それとも別のテーマのクイズになるのか…
第8話〜クイズは文系?
私が運営しているホームページは「数学とクイズでくつろいで」というタイトル。この名の通り、私は理系である、いや、ガチガチの理系である。試験を受けると数学や科学では90点前後のいい点数を取っていた。しかし国語や地理では70点台、運が良くて80点程度だった(自慢になってごめんなさい)今では笑い話になるが大学入試のセンター試験では国語の得点が200点満点で2桁、偏差値が38程度であった。よく大学に受かったと今でも思う。しかし、クイズになると理系、文系の立場が逆になる。文学・歴史に関しては比較的難しい問題でも答えられるが、化学や物理になるとさっぱり、というときがある。以前ここで書いた「Answer × Answer」では各分野の正答率が出されるが「語学・文学」「歴史・地理・社会」の正答率が高く「自然科学」は今ひとつである。
なぜクイズのときは文系の問題が得意なのだろうか…と考えたが答えはすぐに出た。
理系で得意な教科は「数学」だけであるから
数学は90点どころか100点を出すほど得意だったが、化学や生物(私は物理を習っていません)については強いて言うと「国語や地理より得意」であって、さほど勉強をしていない。さらにゲームなどのクイズで数学の問題が出ることはめったにない。「次の式を微分しなさい」という形の問題なんて見たことがない。「自然科学」の範囲で出される問題といえば動植物系が多くなるため、いよいよ持って分からない。
しかし、しかし、だからといって学校で習った国語や社会の分野の内容が生かされているかというと、中学まで習った内容が生かされている程度である。私は「文系が苦手」でもあるが根本的に「本を読まない」人間でした。大学に入って少しずつでも本を読もうと思って本を読み続け、その努力(かな?)が実を結んでクイズでも少し難しい問題でも答えられるようになったと思っています。
文系の問題も答えられるようにはなったが、社会特に歴史の問題には少し穴があるので、そこを埋めることが現在の課題である。ちなみに私は「音楽・美術系」の問題も得意である。この理由は不明である。
第9話〜「高校生クイズ」はこれでいいのだ……か?
「高校生クイズ」(正式名:全国高等学校クイズ選手権)が始まったのは1983年。「ウルトラクイズ」の弟分として始まった。はじめの数回は夏と冬の年2回行われていたが、途中から夏休みに重ねて年1回行われている。同じ高校の3人一組で参加し、「ウルトラクイズ」と同じく○×クイズで参加者がふるい落とされて、数々のクイズに挑みながら各都道府県から1校ないし2校が出場される。全国から集まってこれまた「ウルトラクイズ」のように数々の奇想天外なクイズに挑みながら少しずつチームが脱落していく。そして最後に優勝校1校が決まる(…と改めて書くほどでもないぐらい有名だと思うが…)地方大会も激しいが全国大会のクイズ形式は毎年嗜好を凝らしてきた。主に東京近辺の地に移動してクイズを行っている。これは東京以外から来た高校にとっては嬉しさ半分、不安半分な内容である。時には各組3人がバラバラに分かれて3グループに分かれてクイズを行う、というさらに不安をあおる内容もあった。1990年代以降はクイズ以外にも料理や作詞、取材発表などクイズで計りきれない内容も行われるようになった。(以上、Wikipedia と私を記憶を参考に書きました)
時代は変わった…というと大げさかな?
昨年2008年から「知力の甲子園」というテーマで新しい形の全国大会が行われた。出題される問題は全て難問。しかし選ばれし高校生達はすんなりと答えていく。早押しでも問題文の冒頭だけで問題文の全てを読みとり、正解を導いていく。昨年は愛知県の東海高校、今年は奈良の「クイズの名門」東大寺学園が優勝をしている。この「知力の甲子園」の全国大会に関してはいささか疑問に思うことがある。始めに書いておきますが、私は「難問を答えていく」というスタイルに依存はない。
むしろ好きである。
疑問に思っているのはその「難問」である。昨年、今年と見て、私も一応出題される問題に挑んでいる。難問であることは難問であるが、どこかで見た(聞いた)ことのある問題が多すぎる。特に「地理」「歴史」「スポーツ」に関してその傾向が多く見られる。私が持っているクイズの本で、以前TBSで行われていた「史上最強のクイズ王決定戦」の問題集(情報センター出版局)がある。この番組の最後のラウンドは「カプセルクイズ」。形式は今年の高校生クイズの決勝と同じく問題全文を聞いて2人が答えを出す、というものである。このカプセルクイズで出題された問題と今年の高校生クイズで出題された問題(全国大会全体)を見比べてみた。
問題 | 正解 | 高校生クイズでの出題 |
東京五輪で円谷幸吉選手を抜き去り銀メダルを獲得した選手は誰でしょう | ヒートリー | 第1ラウンドで出題 |
飛行機の初飛行に成功したのはライト兄弟。では、熱気球の初飛行に成功したのは何兄弟でしょう | モンゴルフィエ兄弟 | 第1ラウンドで出題 |
ヤツメウナギなどは分類学上、魚類ではなく何類に属するでしょう | 円口類(無顎類) | 決勝で出題 |
聖書に書かれている「ノアの方舟」の話で、洪水のあと方舟がたどり着いたといわれる山の名前は何でしょう | アララト山 | 決勝で出題 (答えのみ放送のため 問題は推測による) |
勿論「たまたま」である、と言えばこちらは「ああ、そうですか」と答えるしかない。しかし新しい形の高校生クイズを作ろうとしているのに問題が既出のものばかりではこれまでのクイズ番組の問題を多く持っているところが強くなるのは当たり前である。その結果が決勝のサドンデスの長さに出たと思う。
前回、今回の高校生クイズのテーマは「知力の甲子園」でなく「学力の甲子園」となっている。私の意見としてはもう少し最近の話題も問題に入れてはどうかと思う。芸能・音楽もクラシックだけでなくビートルズやエルビス・プレスリーの問題も取り入れても良いと思う。私はそのような問題でも彼らは答えられると思っている。意外と10年、20年前の流行の問題を出したら彼らにとっては難問になるのではとも思う。ともかく今のスタイルの高校生クイズを続けたければ、もう少し問題を吟味しても良いのではと思う。余談だが決勝で出題された問題は東大生の正解率1%以下の問題だった。決勝の勝敗を決めた問題「『春眠暁を覚えず』の次の句は」という問題を見て思った
東大生ならこのぐらい知っておくべきだろう
…と、長々と書いたところで私が勝手に選ぶ「復活して欲しい高校生クイズのクイズ形式」ベスト3をご紹介。
順位 | 形式 | コメント |
3位 | 日本・韓国・アメリカの高校クイズ王の対戦 (2006年、決勝のあとに行われたがアメリカの高校が参加できず) | これはぜひとも3組の対戦を見てみたい。 問題も良かった。 |
2位 | ミステリートレイン (2000年、全国大会の準決勝までを列車に乗り、各地でクイズを行う) | 「もう一度やって欲しいクイズ」で アンケートをとれば上位だと思う |
1位 | 富士山頂上での決勝戦 (1986年〜91年、クイズ形式は早押しクイズ) | 山の頂上で早押しクイズなんてないでしょ。 9合9勺の準決勝もむごいけど見たい。 |
第10話〜お隣さんのクイズ番組
唐突だが海外のクイズ番組ってどんなものがあるのだろう?
日本でも有名な海外のクイズ番組といえば「クイズ$ミリオネア」である。この番組はイギリスで作られたものがオリジナルである。1人の解答者が15問の4択クイズに挑む。一問でも間違えると終了。答えた問題数に応じて賞金がもらえる。日本では15問全問正解で一千万円をもらうことができる。今年アカデミー賞を受賞した「スラムドッグ・ミリオネア」でも題材になっている。そのほか、海外にはどのようなクイズ番組があるのだろうか?私が以前韓国にいたときに見たクイズ番組を2つご紹介します。
以前「韓国ビックリショー」で「クイズ!大韓民国!」というクイズ番組をご紹介した。それ以外にも韓国には日本にも負けず劣らず様々なクイズ番組がある。私が良く見ていたのは「家族娯楽店」という番組。これは真剣勝負のクイズ番組というよりか「マジカル頭脳パワー」のような家族で楽しめる形のクイズ番組であった。男性チーム・女性チーム各5人ずつのチーム戦でクイズを行う。いくつか挙げると…
解答者が歌い始める。
おそらく一番の歌詞を歌いきることができて正解というルール。もし歌いきれないときは相手チームの出演者が1人歌い始める。それでも正解が出ないときは後の観覧席のおばちゃんが歌い始める。
韓国では韓国以外のテレビも見ることができた。ロシア語のテレビ局で放送されていた番組は次のような内容だった。
「100人に聞きました」のコピー番組です。
クイズ番組は海外のものでも見ていて面白い。正解すると喜び、不正解の時は悔しがる。クイズの問題はもちろん100%分かるわけはないが、いくつかの理解できる単語で問題を推測することもできる。どうやらクイズ番組の面白さは万国共通である。
第11話〜高校生クイズの決勝の解答は何?
以前「高校生クイズ」を見て感じたことを書いていきました。番組を見た人の中には 「放送できずに答えだけチラッと見えた言葉は何なんだ?」と疑問に思っている人もいるはずです。そこで放送された問題も含め、チラッと見えた言葉の意味をご紹介します。
ダモクレスの剣 | 栄華の中にも危機が迫っていることのたとえ。 ダモクレスとは古代ギリシアの王に仕えていた廷臣。 |
ラグランジュポイント | 2つの天体(例えば地球と月)との相対的で安定した位置を保つことができる位置。人工衛星がこの位置に付くことが多い。 |
ブレンステッド・ ローリーの理論 | 分子における「酸」「塩基」の定義を与える理論。 水素イオンを与える物質を「酸」受け取る物質を「塩基」とした |
コンドラチェフの波 | 約50年周期で見られる景気の循環状況 景気の周期の短いジュグラーの波やチキンの波がある。 |
アララト山 | ノアの方舟が洪水から逃れた後にたどり着いた山。 トルコ、アルメニア、イランにまたがる。 |
アレキサンドラ トリバネアゲハ | パプアニューギニアで発見された世界最大の蝶。 「アレクサンドラ」とはイギリスの王妃の名前。 |
(デメトリウス) ビケラス | 国際オリンピック委員会の初代会長を務めたギリシアの経営者。ちなみにクーベルタン男爵は第2代会長。 |
オルニチン回路 | 肝臓内でアンモニアを尿素に変える代謝回路 オルニチンはこの回路で使われる物質 |
ウンウンビウム | 2009年に正式に新元素と認定された112番目の元素。元素記号Uub。名前はラテン語の「112番目の元素」から |
リングワンダリング 又は リングワンデルング | 人間が方向感覚を失い、円を描くように同じ地点をさまようこと。吹雪や霧などで視界が失われた状況でよく起こる。 |
ロカルノ条約 | 1925年、欧州の7カ国が結んだ安全保障条約 後にヒトラーにより破棄される |
パノプティコム | 円の中心にあたる位置から円周にあたる位置の部屋などを監視できる施設。日本語では「一望監視施設」という。 |
失われたときを求めて | プルーストの長編小説。「ソドムとゴモラ」 「囚われの女」など7部から構成される。 |
ユニバーサル横 メルカトル図法 | 地図の投影法の一つ。地球を60等分し、 それぞれを円柱に投影させて地図を作る。 |
令外官(りょうげのかん) | 律令時代に令で定められた以外に与えられた官職。 内大臣・中納言・征夷大将軍などがあたる。 |
上村松園(しょうえん) | 「晩秋」「序の舞」などの作品を残した女流日本画家。 昭和23年、女性初の文化勲章を受賞する。 |
ゴールズワージー | 小説「フォーサイト物語」「銀の箱」などを残したイギリスの作家。1932年ノーベル文学賞を受賞。 |
ドレークの方程式 | 地球以外で地球と交信ができる宇宙文明の数を計算する方程式。「宇宙文明方程式」「グリーンバンク方程式」とも呼ばれる。 |
円口類(無顎類) | 魚類よりも原始的な構造を持つ魚の種類。骨は軟骨で、鱗がないことが特徴。ヤツメウナギが属する。 |
処々啼鳥を聞く | 孟浩然の漢詩「春暁」の一節。あちこちから聞こえる鳥の鳴き声に起こされる、ということ。 |
第12話〜クイズにはやっぱりコレでしょう
以前も書きましたが、ここ数年テレビは「クイズブーム」がありました。芸能人が様々なクイズに答えていくスタイルがほとんどでした。しかし、このブームに乗って作られた番組で今(2009年12月)も残っているのはほんのわずかかもしれません。では、残った番組と残らなかった番組の違いは何だったのでしょうか?その答えのヒントを与える2組の芸能人をご紹介します。
当たり前かもしれないが、彼らに見られる「真剣な表情」というものがクイズ番組には必要である。正直なことを書くと、番組の宣伝などでゲストが出演している放送を見ると「ただ出演している」様子が伺えるためか、面白さに欠ける。「クイズ番組」として見る場合はやはり真剣勝負を見たい、というのが正直な気持ちである。
クイズはスポーツの試合に似ているところがある。何よりも「勝ち負けがある」ことは共通している。それゆえ、少しでも気が緩むと一気に態勢が変わり、優劣が逆転することもある。またスポーツでよく「珍プレー」の話があるが、クイズでも勘違いなどでとんでもない答えをしてしまうことがある。スポーツの試合であれクイズ番組であれ「珍プレー」を見せる(放送する)ことは小休止としていいと思う。ただ「珍プレー」は「好プレー」があってのものだと思う。真剣勝負の場で「珍プレー」ばかりであると逆に面白味(醍醐味)がなくなることもある。やはり最後まで気が抜けない勝負を見たいものである。
今、この2組が他のクイズ番組に出演したときに、どのようなプレーを見せるかが楽しみである。羞恥心の三人は様々なことを知って、クイズでも正解を重ねている。ヘキサゴンに出演して「クイズ番組の出演者」から「クイズ好き」になっている。一方の宇治原さんも先日早押しの「押し込み」の話をしていた。そこまでしたら、れっきとした「クイズプレーヤー」である。彼らの好プレーを見ることができる新しいクイズ番組ができることを期待している。
(「押し込み」とは…早押しクイズで使われる早押しのボタンは解答の表示が出るためのスイッチが入るまで少し「遊び」の部分がある。ボタンをスイッチが入る少し手前まで若干押した状態にして「遊び」の部分を短くしておくことを「押し込み」と呼び、これにより速く解答の表示が出ることができる…って、こんな事どこで知ったの宇治原さん)
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