どこよりも遅い!工業数理基礎 第1問 解説
最終更新日2010年10月13日
問1製品のきずを調べるためにカメラを利用することがある。この方法できずの長さを測定する場合の精度について考える。
製品のきずはレンズを通して拡大され、撮像体に投影され、きずの映像となる。撮像体は1辺が 1.0 cm の正方形であり、この中に光センサが縦横に 2000 個ずつ隙間なく並べられているものとする。1.0 cm = 10^(-2) m。また1辺の 光センサの個数は 2000 = 2 × 10^3 個であるため、1個の光センサを正方形と見るとその1辺の長さは
(10^(-2)) / (2 × 10^3) = 0.5 × 10^(-5) = 5.0 × 10^(-6) m
となる。
光センサに映像が映るとき、センサの全面を覆うときに映像信号を出力するものとする。つまり、センサの一部のみが覆われているときは映像信号を出力しない。
縦の長さが 4.2 μm のきずが、42 μm のきずの映像として10倍に投影されたとする。ただし、きずの横幅は光センサが映像信号を出力する十分な大きさとする。このとき 42 μm = 4.2 × 10^(-5) m であることから
4.2 × 10^(-5) / 5.0 × 10^(-6) = 8.4
より、投影されたきずは光センサの 8.4 個分の長さになる。 0.4 個分の長さが1個の光センサのみに届いているときは全体で8+1=9個並んだ光センサに届くことになる。また、0.4 個分の長さが2個の光センサのみに届いているときは全体で8+2=10個並んだ光センサに届くことになる。次に映像信号を出力する光センサの個数を調べる。7個分の光センサがきずの映像に覆われ、残り 1.4 個分のきずの映像が2個の光センサに映されるときは出力されるのは7個分のみである。これが映像信号を出力する光センサの個数の最少個数である。また上の計算から光センサを9個以上覆うことはないため、映像信号を出力する光センサは最大個数は8個である(8個分の光センサがきずの映像に覆われ、残り 0.4 個分のきずの映像が1個の光センサに映されるとき)
5.0 × 10^(-6) × (1 / 10) = 5.0 × 10^(-7) m = 0.5 μm
となる。一方、同じきずが 50 倍で投影されるとき、映るきずの長さは同じく光センサ1個分の不確かさが出る。このとき実際のきずの測定値の不確かさを求めると5.0 × 10^(-6) × (1 / 50) = 1.0 × 10^(-7) m = 0.1 μm
となり、投影倍率を大きくすることで測定値の不確かさを小さくできる。問2
三角比を使って、建物の高さを求める。
a = OR + c = b × tan θ_1 + c (解答群の2.が入る) …… (i)
という関係が得られる。(2) 障害物があり、建物までの距離 b [m] が分からない場合に建物の高さを求めてみる。点 P と同じ高さの建物上の点を R、線分 PR 上に点 Q をとる。まず点 P から建物頂部の点 O を結ぶ線と水平線との角度 θ_1 [度] を測定し、次に点 Q から建物頂部の点 O を結ぶ線と水平線との角度 θ_2 [度] を測定し、PQ 間の距離 d [m] も測定する。このとき
(i) より a - b tan θ_1 = c
(ii) より a - c = (b - d) tan θ_2 ⇒ a - b tan θ_2 = c - d tan θ_2
以上より建物の高さ a と建物までの距離 b を求めると
c = 1.50 m, d = 8.50 m, θ_1 = 30°, θ_2 = 45°のとき tan θ_1 = √3/3、 tan θ_2 = 1 より、上の式を使い建物の高さを求めると
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