どこよりも遅い!工業関係基礎 第3問 解説
最終更新日2010年10月26日
導体の温度の変化に伴う電気抵抗の変化や、その応用について考える。
図1のように、長さ L [m]、断面積 A [m^2] の導体の両端面に電池を接続する。ここで、電池と導体をつなぐ接続線の抵抗は、 導体の抵抗に比べて非常に小さく無視できるものとする。このとき導体に流れる電流 I [A]、電子電圧 V [V]、抵抗 R [Ω] の間には、オームの法則 つまり V = RI の関係が成立する。
導体の抵抗は、導体の材質や形状によって異なる。長さ L [m]、断面積 A [m^2] の導体の抵抗 R [Ω] は次の式で表される。
R = ρ(L/A)…… (1)
ここで、ρ [Ω・m] は抵抗率と呼ばれ、長さ1m、断面積1m^2の導体の両端面間の抵抗に相当する。ある合金の棒について、断面が一辺 2.0 mm の正方形で長さ 0.80 m とする。抵抗率が 1.4×10^(-6) Ω・m ならば 断面積が (2.0)^2 [mm^2] = (2.0 × 10^(-3) )^2 [m^2] であるため式 (1) からこの棒の抵抗は
1.4 × 10^(-6) × (0.80 / (2.0 × 10^(-3) )^2) = 1.4 × 0.80 / 4.0 = 0.28 Ω
となる。温度が S [℃] のときの抵抗が R_s [Ω]、T [℃] のときの抵抗が R_t [Ω] の導体を考える。T > S の関係があり、この温度範囲において、 温度の変化に対する抵抗の変化率は一定であるとする。このとき次の式が成り立つ。
R_t = R_s{ 1+α (T-S) }…… (2)
ここで、α [/℃] は S [℃] の時の抵抗温度係数と呼ばれる。この式を変形すると
気温 20 ℃の部屋で 40 W の白熱電球の電気スタンドを点灯させる。電気スタンドの電球以外の抵抗は無視する。100 V の電源につなぎ電球を点灯させて、しばらくすると明るさが一定になった。
このとき電球内で発光しているフィラメントは 40 W の電力を消費する。電球にかかる電圧 V [V], 電球に流れる電流 I [A], 電球で消費される電力 P [W] の間には、P = VI の関係が成立するから、フィラメントに流れる電流は
40 = 100 × I ⇒ I = 0.40 A (解答群の9.)
ということになる。したがって、フィラメントの抵抗はオームの法則からR = V/I = 100 / 0.40 = 250 Ω (解答群の5.)
である。このときのフィラメントの温度は 2.4 × 10^3 ℃であった。20 ℃のときのフィラメントの抵抗温度係数αは 4.6 × 10^(-3) /℃ である。温度が 20 ℃ から 2.4 × 10^3 ℃ までの範囲で式 (2) が成立するものとすれば 20 ℃ における点灯前の電球の抵抗は
問2
図2はブリッジ回路と呼ばれる回路である。それぞれの部分は以下の通り。
スイッチ W を開いて AB 間に電圧 V [V] をかけると、R_1 と R_2 に流れる電流 I_1 [A] はオームの法則から
I_1 = V × 1/(R_1 + R_2)(解答群の0.)
同じく R_3 と R_4 に流れる電流 I_2 [A] は I_2 = V × 1/(R_3 + R_4)(解答群の1.)となる。
ブリッジ回路を使い、白金の抵抗温度係数を求める。ブリッジ回路の抵抗 R_1 として、温度が 10 ℃のときの抵抗が 20 Ωの白金をつなぐ。温度が 10 ℃のとき、R_2 = 1.0 kΩ で平衡した。次に白金の温度のみを 3.1 × 10^2 ℃ に上昇させたとき、R_2 = 2.1 kΩ で平衡した。上の式 (4) を使うと
問3
図3のようなブリッジ回路を考える。それぞれの部分は以下の通り。
図2のブリッジ回路が平衡するとき、式 (4) が成り立つ。このことから図3では l, x を使って
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