数学とクイズでくつろいで数学の部屋どこよりも遅い!センター試験数学 解説工業数理基礎 第1問 解説

どこよりも遅い!工業数理基礎 第1問 解説

最終更新日2010年5月11日

問1

 検出用の穴を2列設けた場合、穴を通して光センサが反応するか否かによって、最大 2^2 = 4 通りの組み合わせが作られる。それぞれの反応に等しい角度を割り当てれば、円盤の回転角を 360/4 = 90°(解答群の1.)ごとに検出できる。

 より精密な回転角の検出を行うために、穴の列数およびセンサの数を増やすことを考える。一般に穴の列(=センサの数)が n のとき、センサの反応の組み合わせは最大 2^n 通りになる。このため円盤の回転角の検出は (360/2^n) °ごとに行うことができる。
 このことから、穴の列が5列の場合、最大で2の乗通り、すなわち、32(解答群の3.)通りの表現ができるため、円盤の回転角は

360 / 32 = 11.25°(解答群の6.

ごとに検出できる。一方回転角の検出を 5°未満で行いたい場合

360 / (2^n) < 5

を満たさなければいけない。つまり

2^n > 360 / 5 = 72

でなければいけない。2^6 = 64 < 72 < 2^7 = 128 であることから n は最低でも 7 でなければいけない。


 問2

ある製品に対する「汚れ度」を p_0 [kg/kg] とすると、製品1kg 当たりに付着し ている汚れ物質の質量は p_0 kg。よって質量 M [kg] の製品に付着している汚れ物質の質量は p_0 × M = M p_0 [kg] (解答群の6.)になる。

 質量 M(汚れ物質を含まない)の製品を体積 V [m^3] のきれいな水で洗浄する。洗浄後に洗浄水中の汚れ物質の濃度が c [kg/m^3] となったとする。この場合、濃度は洗浄水 1 m^3 の中に溶けている汚れ物質の質量である。よって体積 V [m^3] の洗浄水中に溶け出した汚れ物質の全質量は c × V = c V [kg] (解答群の0.)になる。
 以上より洗浄後に製品に残る汚れ物質の質量は (M p_0 - c V) [kg] となるため、洗浄後の汚れ度は

p_1 = (M p_0 - c V) / M = p_0 - cV / M (解答群の4.

と表すことができる。

 洗浄水中の汚れ物質の濃度 c [kg/m^3] が高いほど、製品の汚れは落ちにくくなるため、洗浄後の製品の汚れ度 p_1 は高くなる。いま c, p_1 の間に p_1 = K c(K:比例定数、K > 0 )という関係が成り立つ場合を考える。このとき上の結果と組み合わせると

となるため、次の関係式が成り立つ。

1回目と同じ量の洗浄水で2回目の洗浄を行うと汚れ度は

となる。

 M = 10 kg, K = 0.2 m^3 / kg, V = 10 m^3 のとき p_0 と p_1 の間には

という関係があるため、1回の洗浄で残留する汚れ物質は初期量の 16.66 ≒ 17 % になる。
 一方 V = 3 m^3 のとき、

という関係があるため、この量で3回洗浄を行うと、残留する汚れ物質は初期量の (2/5)^3 = 8/125 = 0.064 つまり 6.4% となり 10 m^3 より少ない水で汚れを少なくできる。


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