数学とクイズでくつろいで数学の部屋どこよりも遅い!センター試験数学 解説工業関係基礎 第3問 解説

どこよりも遅い!工業関係基礎 第3問 解説

最終更新日2010年6月15日

問1

 地表から静止衛星までケーブルをつなげたとき、ケーブルにかかる引張力は、以下の式で表される。

微小部分の角速度 ω は単位時間当たりに回転する角度を表す。この式では静止衛星の角速度と等しい(解答群の2.)ちなみに角速度は中心からの距離には変化しないため、高度によらず一定の値をとり、地表でも同じ角速度の値をとる。

 ケーブルの微小部分の質量は以下の式で書くことができる。

これを式 (1) に当てはめると

と書くことができる。地球の半径を R, 静止衛星軌道の地表からの高度を h とすると

地表での回転半径は、地球の半径と等しいため R(解答群の8.
静止衛星軌道の高度の回転半径は

地球の半径+静止衛星軌道の地表からの高度= R + h(解答群のa.

となるため、ケーブルの最大引張力は式 (2) を r = R から r = R + h まで積分した値になる。

問2

ケーブルにかかる引張応力の最大値とケーブルの材料密度の間の以下の関係式を考える。

 カーボンナノチューブを使ったケーブルの場合、カーボンナノチューブの密度が 1.4 × 10^3 kg/m^3 であることから上の式に代入すると、

となる。

問3

 直径 10 nm のカーボンナノチューブを正六角形を形作るように並べて、差し渡しの寸法が 1 mm の大きな正六角形となるケーブルを作製した。

 一本のナノチューブに対して6本のナノチューブが接するように並んでおり、これら6本のナノチューブの中心は正六角形を形成している。左の図の小正六角形(緑色)一つに対して、

中心のナノチューブが1本配置されている。
周辺のナノチューブ1本当たり、1/3の面積の分だけ配置されている。

よって小正六角形一つに

1+6×(1/3)=

のナノチューブが配置したことになる。小正六角形の直径はケーブルの2本分、つまり 20 nm である。

1 nm = 10^(-9) m = 10^(-6) mm

であることから

    (ケーブルの直径)/(小正六角形の直径)= 1mm / (20 × 10^(-6) mm)
                        = 5.0 × 10^4

であるため、

    (ケーブルの面積)/(小正六角形の面積)= (5.0 × 10^4)^2
                        = 25.0 × 10^8
                        = 2.5 × 10^9 (解答群の8.


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