数学とクイズでくつろいで数学の部屋「コマネチ大学数学科」に挑む「コマネチ大学数学科」に挑む・12月

「コマネチ大学数学科」に挑む・12月

最終更新日2008年1月6日

フジテレビで深夜に放送されている「コマネチ大学数学科」の問題に解く様子をご紹介します。数学をやってきたので簡単に解ける…と思ったものの…その奮闘振りをお楽しみに。なお、福岡での放送は二週間遅い模様です。そこら辺はご勘弁を。

「運命の赤い糸(12/5)」
「サイコロ(12/19)」
「数学ワールドカップスペシャル その1(12/28)」
「数学ワールドカップスペシャル その2(12/28)」
「数学ワールドカップスペシャル その3(12/28)」

ご意見がありましたらtfujisaki2006@yahoo.co.jpまでお願いします。


「運命の赤い糸(12/5)」

 先週からコマ大チームに加わったたけし軍団の「赤P−MAN」の絵はポヌさんが笑ってしまうほど好評なようです。しかし福原愛が脱臼しているのに笑っている絵は少し気味が悪い… それはともかく今回の問題です。

  問題:図のように置かれてある8本の赤い糸を左右それぞれ2本ずつ結んだとき一本の輪ができる確率を求めなさい。ただし左右の糸がどのようにつながっているかは分からない。

私はすぐにひらめいた「これは全ての結び方から輪が2つ以上になるものを除けば良い」このあと集中して解けば良いのだがどうしてもコマ大チームの挑戦を見てしまう…

 コマ大チームは「運命の赤い糸 ⇒ 出会い ⇒ 合コン」ということでコマ大4人対女性4人の合コン形式で全ての結び方をして、一つの輪ができる確率を計算した。検証の後は女性を誘って…と思ったが、帰ってしまうというオチ。検証時間は5時間。おそらくこれまでで一番長い検証時間じゃないでしょうか。私は女性4人の中ではどなたでも構いません。

そんなことはどうでもいいんです!

 さて、問題を解きます。問題では左右の糸がどのようにつながっているかも分からず、左右どのように2本ずつ結ぶか分からない状態ですが、最初からこのような状態で右側がどのように結ぶかを考えればよいのです。

最初に書いたように「これは全ての結び方から輪が2つ以上になるものを除く」という方法で進めていきます。

8本の糸の右側を2本ずつ結ぶ方法は… 8!/2!2!2!2!4!=105通り
2本の糸からなる輪ができる結び方… 4×6!/2!2!2!3!=60通り
2本の糸からなる輪が2つできる結び方… 6×4!/2!2!2!=18通り
(この結び方は上の60通りの中に2回重なって数えているのでこの分を引く)

以上から 105−60+18=63…???
(これらの計算の意味が分からない方は詳しい本をお調べください)

「…何か足りない…」と考えている間にTIME UP。各組の解答です。
  • コマ大研究会…55%。140回のうち77回で一つの輪になったことから。
  • 現役東大生…44.4%。全ての可能性を数え上げる方法を取ったが間に合わず。40/90から計算。
  • マス北野・ポム組…16/35。
私もここまでの計算から「63/105=7/15」と一応答えを出した。

正解…45.7%(=16/35)

 計算方法はマス北野の解説がその通りであった。片方の8本を2本ずつ結んだあともう片方の8本を結ぶ方法を考える。

以上から確率は 6/7×4/5×2/3=16/35 となる。今回は正解を導き、解説も見事だったためコマネチフィールズ賞は文句なしでマス北野・ポヌ組に決まった。

 さて、気になっている人も多い、と願っていますが、私の計算はどこが悪かったか。輪ができる結び方を数えるのは問題ないがそのための場合わけがよくなかった。次のようにすればいいはず…

2本の糸からなる輪が4つできる結び方… 1通り
2本の糸からなる輪が2つ、4本の糸からなる輪が1つできる結び方…
 6×2=12通り
4本の糸からなる輪が2つできる結び方… 3×2×2=12通り
2本の糸からなる輪が1つ、6本の糸からなる輪が1つできる結び方…
 4×8=32通り

以上から2つ以上輪ができる結び方は1+12+12+32=57。 よって1つの大きな輪ができる確率は

(105−57)/105=48/105=16/35

 私もひらめいて計算を進めたが、マス北野のひらめきが断然上であった。完敗です。

 さて、こちらのほうを気になっている人が多いと思います。「コマ大」のエミー賞獲得か?という話ですが、結果から言うと残念ながら受賞はならずということでした。あまり話題に出ていないので書いちゃいけないかと思いましたが、ニュースに出ているみたいなので書きました。マス北野はじめメンバーのエミー賞授賞式の様子はこの番組の特別番組で放送するそうです。楽しみに待ちましょう。


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「サイコロ (12/19)」

 オープニングではポヌさんが普段何をしているか、という質問に答えていました。最近視聴者からの質問に答えるという番組を見かけなくなりましたね。地方の番組ではあると思いますが、全国版ではそう無いと思います。思いつくものといえばNHKの「週間子供ニュース」ぐらいですね。

  問題:図のような三角形が並んだ線の上にサイコロの出た目に従って動くことにする。三回サイコロを振ったとき中央の赤い丸に戻る確率を求めよ。

私はしばし沈黙…「今度こそは正解を出そう」…先週、先々週と2週連続で正解を出せず、しかもこの番組を見始めて確率を求める問題を正解したことがない。今回はぜひとも正解したい…

  サイコロを3回振って出る目の並びは全部で6×6×6=216通り。
3回振って赤い丸に戻るためには右の図のように三角形を一周するような ルートを通る必要がある(矢印と反対方向の一周も含む)
このルートは全部で12通り。ということは確率は

12/216=1/18

答えが出ちゃった。この計算で一番苦労したのは最後の分数の約分です。

 コマ大数学研究会の挑戦は、とある会社に行きサイコロをもらうことから始まった。そのサイコロは非常に高い技術を元に各さいころの目の出る確率は1/6に限りなく均等になるように作られている。日本の技術力は素晴らしいです…ただし1個2万5千円。

 そのようなすばらしいサイコロを使って検証。体育館を借りサイコロの目に従って数学研究会の各人がルートに立ち、最後にゴムパッチンでゴムを顔に当てる。日本のお笑い力は素晴らしいです…ただし典型的なネタです(研究会の皆さん、ごめんなさい)

 さて、実際に計算開始…と思ったら、マス北野組、東大生組ともにすぐに答えを出してしまった。しかも私の答えと同じ。これは怪しい。どこか落とし穴があるかも…しかし落とし穴が見つからない。答えは「1/18」で決めた。各組の解答は以下の通り。

 あまりにもあっけないが故の不安の中(よく意味は分からない)正解を待つ。

正解…1/18

 その後の解説で竹内先生が謝ったとおり今回は比較的簡単な問題を出した模様です。問題の解説を少しした後、サイコロの目で出やすいものを物理的に解説していました。もう一つ「ランダムウォーク」の話をしていました。これは簡単に言うと「どこへ行くのか分からない」ということ。これを数学的に定義したものをランダムウォークといいます。

 今回も正解を導いた東大生チームがコマネチフィールズ賞をもらいました。それにしてもポヌさんはどのようなルートを数えたのでしょう。もう一つ気になったのは問題の図の青の丸。ひょっとしたら最初は「サイコロを3回振って青の丸のいずれかに止まる確率は?」という問題を考えていたのでしょうか?そうすると確率は???…ん〜〜〜っと…???

あのサイコロを借りてこようっと


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「数学ワールドカップスペシャル その1(12/28)」

 今回のコマ大は1時間の拡大版。いつものメンバーに加えて外国から数学のつわものが参加して数学の戦いに挑んだ…という内容ですが

詳しくは後ほど。

 この前半ではこの番組が最終段階にノミネートされた「国際エミー賞」の授賞式の様子が放送された。ここで国際エミー賞の解説を…

国際エミー賞とは…

アメリカ以外の国で放送されたテレビ作品を対象に、番組や出演者に贈られる国際賞。2007年で35回を数える。現在は国際テレビ芸術科学アカデミーというところが主催している。

 日本の番組では1999年にNHKの「課外授業 ようこそ先輩」が受賞している。今年はコマ大のほかNHKの「サラリーマンNEO」なども最終ノミネートされている(いずれも受賞はならず)コマ大がノミネートされた「Non-scripted entertainment」とは「台本の無い番組」という意味、日本では「バラエティ部門」ということ。

 国際エミー賞のホームページから「Nominees」の部分をクリックするとマス北野、吉田プロデューサー、戸部アナの写真を見ることができる。

今回の授賞式に参加したのは出演者からはポヌさんとたけし軍団以外、その他スタッフも何名か参加。出演者はアカデミー賞を思わせるような赤じゅうたんの上を歩き、取材に答えていく。東大生2人はドレスだったが、戸部アナは振袖で登場。庄司敏江の再来かと思われた。(分からなかったらごめんなさい)吉田プロデューサーもタキシードで登場。背は高いしあの頭だから目立つ!!しかし、その中でもオーラを放っていたのはマス北野、いや、北野武だった。インタビューにも一言

寒い!

 授賞式の会場でコマ大の内容が映し出される。そして受賞作品は…コマ大…ではなかった。イギリスBBCが放送したオーディション番組「マリア様のように解決できるか?」が受賞した。泣き崩れるスタッフ。残念だったという気持ちより、ほっとしたという気持ちが強かったのでしょう。何はともあれお疲れ様でした。

 受賞式の様子の後、吉田プロデューサーが準備していた受賞スピーチを披露。すると突然QUEENの「We Are The Chanpion」を歌いだした。もし受賞していたら

歌っている写真がホームページに…

 さて、コマ大はいつかエミー賞を取れるのでしょうか。そしてダンカンその他はニューヨークにいけるのでしょうか?ま、そんな夢のまた夢はおいといて、次に参りましょう。


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「数学ワールドカップスペシャル その2(12/28)」

エミー賞受賞の様子を伝えた後はいつものように数学のバトルが始まりました。今回は「ワールドカップスペシャル」ということで世界各国から数学の精鋭が集まりました。

日本代表

今回東大生2人は1人ずつで参加です。コマ大チームはいつものように4人一組です。

外国代表

  • ポヌ・ジョジアヌ(ベナン代表、マス北野の右腕として活躍中)
  • ジョナサン・ヘッド(アメリカ代表、東京大学に留学経験あり)
  • ジョン・フン(韓国代表、ソウル大学医学部卒の韓流スター)
今回のバトルは前後半に分かれています。ここでは前半3問をご紹介します。前半は「数学閃きバトル」というタイトルで各3問を早く正解を導くほど高得点が得られる方式で競います。

  第一問:正五角形の対角線を加えてできる図形の中に二等辺三角形はいくつあるでしょう。

「ん〜〜いたってシンプル」二等辺三角形を見つけたら正五角形に沿って回転させると他の二等辺三角形が見つかる、と思い考えていたら次々に手を上げていく。私も確認をしないまま「30個」と答えを出した。各自の答えは20から35の間で分かれている。

正解…35個

上の7個の二等辺三角形を五角形に沿って回転させた三角形が5個ずつある。

私は最後の5個を数え忘れていた。しかしテレビでも正解はジョナサン一人だった。

第二問:12,345,654,321 と 1,234,321 の最大公約数を求めよ。

「ん〜〜これもまたシンプル」 私の考え方は…

12,345,654,321 = 111,111 × 111,111、1,234,321 = 1,111 × 1,111

ということは 111,111 と 1,111 の最大公約数を求めればその2乗が答えの最大公約数になる。

111,111 = 11 × 10,101、1,111 = 11 × 101

となるため、とりあえずは11の2乗、121は公約数。そして…

と考えているうちに、また手を上げる人が出てきた。私も第一問と同様、確認をしないまま「121」と答えを出した。

正解…121

今回はどうにか正解だった。解説でユークリッドの互助法を使って最大公約数を求める、と話していた。ただ問題の大きな2つの数からではなく私が計算した途中から考えるともっと早く答えが出せる。なぜなら。

10,101 ÷ 101 = 100 あまり 1
101 ÷ 1 = 0

これで 10,101 と 101 との最大公約数は 1 となるので、これで答えが 121 と早く求めることができる。

  第三問:右の図形を2本の直線で3つに分け、それらを並べ替えて正方形にしなさい。

「これはパズルの本であった」確かこれでいいはず。

右端の辺の真ん中と上と左下の頂点を結ぶ2直線で切る。
できた四角形の4辺は同じ長さで、内角のうち一つは90度。以上からできた四角形は正方形。

テレビでは問題の形をした紙を切って正方形を作っていた。マス北野が早くできた、と思ったら正方形を作るのに手間どり、その間にジョン・フンさんが正方形を作り一番を取られた。正解は上の図の通り。今回は正解者が多かった。

 これで3問が終了。この時点での得点は以下の通り。


第1問第2問第3問合計
ジョン・フン152035
マス北野201535
松江由紀子101020
ジョナサン・ヘッド2020
木村美紀
ポヌ・ジョジアヌ
コマ大

さて、次が最後の問題。最後の問題は次の段へ…


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「数学ワールドカップスペシャル その3 (12/28)」

 数学ワールドカップ、最終ラウンドのテーマは「ハノイの塔」 これはよく知っているから簡単に解けるでしょう…

  問題:図のように置かれている円盤を真ん中に一つにまとめるには最低何回円盤を動かさなければいけないでしょう。
 ただし1回に動かす円盤は1枚のみ。また、大きい円盤を小さい円盤より上に置くことはできない。

???何〜〜〜???

 ハノイの塔に関しては様々な問題があるが、2つの山を一つにまとめる問題は初めて見た。

 ここでいつものコマ大数学研究会の挑戦。ニューヨークに行けなかったコマ大チームのために「気分だけでも」ということでフジテレビ近くの自由の女神のレプリカの前で検証開始。今回はシンプルに問題の模型を使って動かす、という方法。9時間も検証を続け、あたりも暗くなった頃に答えを導いた。そしてこの後はニューヨーク、ならぬ、入浴で検証終了。このコマ大チーム、後ほど意外な健闘をします。お楽しみに。

 さて、この問題。普通のハノイの塔と同じような要領で考えれば分かるのでは、ということで次のように考えた。

(それぞれの枠は3つの山、
同じ数字が並んでいるのは
同じ大きさの円盤を重ねて
いることを表しています。)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
11
22
33
44
 
 
 
 
 
 
 
 
 
11
22
33
44
11
22
33
44
 
 
 
 
 
 
 
 
11
22
33
44
 
 
 
 
55
 
 
 
 
 
 
 
 
 
11
22
33
44
55
 
 
 
 
 

以上から上の4枚ずつの円盤を左右どちらか一方に集める(赤の矢印)ための回数を数える必要がある。あとはその8枚を他のところに移動させる(青の矢印)には4枚のハノイの塔の回数15回の2倍、30回必要なのが分かるのでそこから全体の回数が計算できる(黒の矢印が1回…というのは分かるかな。)

 では赤の矢印のように4枚ずつの円盤をどちらか一方に集めるには何回動かす必要があるか、ということですが…

 
 
 
 
 
 
 
11
22
33
 
 
 
 
 
 
 
 
11
22
33
 
 
 
 
44
 
 
 
 
 
 
 
 
 
11
22
33
44

…というわけで上の3枚ずつの円盤を中央に集めるための回数を数える必要がある。

もともとの問題が小さくなっただけである。

まあ、これから後は実際に円盤を動かして考えると早いと思います。3枚ずつの円盤を中央に集めるためには 19回必要です。これから4枚の場合、5枚の場合を計算していくと「96回」と答えが出た。テレビでの各自の答えは以下の通り


解答答えの出し方
ジョン・フン112回私と同じように下の円盤を動かすための回数を計算した。
マス北野238回計算したり、円盤を使ったりしたが最後は「江原さんの声」で答えた。
松江由紀子91回枚数が少ない場合の回数から漸化式を考えて計算した。
ジョナサン・ヘッド107回計算をして
木村美紀160回実際に円盤を使って回数を数える
ポヌ・ジョジアヌ105回こちらも実際に円盤を使って回数を数える
コマ大ロケ113回
スタジオ96回
スタジオで検証したところロケより少ない手数を見つけた。

では正解です。

正解…96回!何とコマ大は見事に正解!(ついでに私も正解)

実は最初コマ大が「96回」と出したのを見たときはとてもビックリしました。しかし、解答がばらばらだったためあまり自信はもてませんでした。まさかのコマ大の正解で得点はどうなるのか…

 しかしこの問題の点数は考え方そのほかを含めて100点満点で竹内、中村両先生が点数をつける


第1問第2問第3問第4問合計第4問の得点について
ジョン・フン152080115計算の方法を考えたため
マス北野201570105ハノイの塔の基本形を知っていたため
松江由紀子101090 110少ない枚数での回数を求めたため
ジョナサン・ヘッド206080コメントなし
木村美紀6065コメントなし
ポヌ・ジョジアヌ6065コメントなし
コマ大9095正解は出したが理論が無かった

これにより優勝はジョンフンさんとなった。コマ大は最後の問題を当てたものの、3位以内にも入れず…妥当といえば妥当な結果です。

さて、この問題、どのようにして計算するかをもう一度見直してみます。一般にn枚の円盤で上の問題のように2つの山を中央にまとめるための回数を x(n) と置きます。また途中の計算で出てきた2つの山を左右どちらか一方にまとめるための回数を y(n) と置きます。そうすると上の考え方から

x(n) = y(n-1) + 2^(n+1) - 2
y(n) = x(n-1) + 2^n - 1

この2式から

x(n) = x(n-2) + 5 * 2^(n-1) - 2

以上から

x(n) = (40 * 2^n - 18 * n - 39 - (-1)^n) / 12

が出てきます。ただこの式を出すのは至難の技ですので

よい子はまねしないように

来年のエミー賞を目指して進みだしたコマ大、2008年はどのような難問、奇問を出題するのでしょうか。火曜日の夜が待ち遠しいです。


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