数学とクイズでくつろいで数学の部屋「コマネチ大学数学科」に挑む「コマネチ大学数学科」に挑む・08年3月

「コマネチ大学数学科」に挑む・08年3月

最終更新日2008年3月30日

フジテレビで深夜に放送されている「コマネチ大学数学科」の問題に解く様子をご紹介します。数学をやってきたので簡単に解ける…と思ったものの…その奮闘振りをお楽しみに。なお、福岡での放送は二週間遅い模様です。そこら辺はご勘弁を。

「虫食い算(3/5)」
「展開図(3/12)」
「フーリエ(3/19)」
「Doing Math in English(3/26)」

ご意見がありましたらtfujisaki2006@yahoo.co.jpまでお願いします。


「虫食い算(3/5)」

 「コマ大」を見ている人は知っていると思いますが、放送では毎回番組の最初に今週の問題を出題し、戸部アナのコメント、タカさんのタイトルコール、雑談(コマ大のギャグも含む)と続く。

問題:右の図の四角の中に0〜9の数字を一つずつ入れて計算式が成り立つようにする。このとき、ある数字だけがこの四角に入らない。その数字を答えよ。

解けた!!

 タカさんのタイトルコールとほぼ同時にこの問題を解いてしまった。

 ここで「虫食い算」の説明を少し。問題のように四角の中に数字を一つずつ入れて計算式が成り立つようにする、というのは知っていると思います。念のために付け加えますと各数字の頭に0を置く(0421のように4桁の数字を3桁として使う)ことは出来ません。普通の虫食い算は答えが一つになるのですが、今回は答えが一つに決まらず、しかも入らない数字がある、という変則の虫食い算。ん〜〜、これぞコマ大

 コマ大の挑戦はシンプルに問題の虫食い算を解く、というものだが、趣向を凝らして、東京の一から九の数字がつく地名に行き、道行く人に解いてもらうことをした。訪れた先はご覧の通り

場所オフィス北野
(スタート)
ツ木通り子玉川軒茶屋
解いた人マネージャーサラリーマンマダム美容師留学生
結果解ける解けず解けず解けず解けず
場所反田本木通り丈島段下
解いた人セクシーギャル?ITサラリーマン解く人見つからず知り合いコマ大
結果解けず解ける解けず解ける解ける

「八」のとき、私は「八王子」かと思いましたが「八丈島」は思いつきませんでした。さあ、正答率40%から導いた答えは何だったのでしょう…

 タカさんの「Gaude Discere」の合図が激しくなる中、計算が始まった。普通の虫食い算と違うせいか、少々苦戦している。そのうえ「答えの数字が入らない理由も考える」という条件もある。

 さて、私がどのようにして答えを出したか説明します。まず図のAの四角には1か2が入ります。しかし2が入ると残りの8個の四角に0、1、3〜9を入れて合計が8になるようにしなければいけませんのでこれは不可能。よってAの四角には1が入ります。

 次にどこの四角を考えるか、ということですが、ここから発想の転換。四角一つ一つを考えずに縦に並ぶ同じ位の数字の列を考えます。100の位、10の位、1の位の縦の列の数字の和をそれぞれB、C、Dと置くとこの虫食い算を解くためには

100×B+10×C+D=1008

が成り立たなければいけません。このほかにもB、C、Dの取りうる範囲を考えるとB、C、Dの可能性は

B=9、C=9、D=18

となります。このときA+B+C+Dの値は四角に入った数字(位を考えずに)の合計になります。この場合は37になりました。一方0から9までの合計は45なので、この2つの数の差が使われない数字になります。よって答えは

」一文字で寂しいな…それはともかく余裕のよっちゃんでテレビの解答を見て行きます。

コマ大の答え検証で出てきた答え。「フジテレビの8チャンネルから」
という理由も。
東大生の答え私と同じように各位での合計を求めて答えを出した。
マス北野・ポヌ組の答えマス北野曰く「虫食い算を解いたから」。
ポヌさんも東大生と同じく各位での合計から考えた。
しかし説明は不十分。

福岡ではフジテレビは9チャンネルです…それはともかく、東大生の解説を見て私は少し不安になった。

正解…8

先週に続き、全員正解。中村先生の解説を聞いて私の不安は的中した。私が書いたように「100×B+10×C+D=1008」が成り立つB、C、Dの組み合わせを探せばよいのですが、B=9、C=9、D=18以外にもB=8、C=20、D=8という組み合わせがあったのです。もちろんこれら2通りのB,C,Dの組合せで確かに計算式を作ることが出来ます。

しかし、こんなややこしい計算をしなくても答えが出せる方法がある、と中村先生の解説が続く。それは「数字根」を使う方法。一般に足し算の場合

(問題の各桁の和)−(答えの各桁の和)は9の倍数

が成り立ちます。今回の問題の場合、問題の各桁の和は分かりませんが 「45−x」(xは今回の問題の答え) と書くことが出来ます。一方、答えの各桁の和は「2+0+0+8=10」となります。そうすると

 (問題の各桁の和)−(答えの各桁の和)
=(45−x)−10
=35−x

となります。xは0から9までの数字で35−xが9の倍数になるのは35−8=27の時しかないため答えは「8」となります。私、今回は正解したものの、ここまでの説明を考えるべきでした。浅はかでした…

 今回のコマネチフィールズ賞は解き方がしっかりしていたということで東大生チームがもらった。問題の解説の後に虫食い算とともに知られている「覆面算」の話がありました。覆面算は計算式のところに文字が書かれてあり、同じ文字には同じ数字、違う文字には違う数字を当てはめて計算式を成り立つようにさせる、というパズル。番組では次の2題が紹介されました。これらの解答は機会がありましたらお話します。

 蛇足ですが、この『「コマネチ大学数学科」に挑む』のページは好評のようで多くの方がご覧になっているようです。これからもこのページを発展すべく

私に SEND MORE MONEY をお願いします。


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「展開図(3/12)」

 「ダンカンで〜す。モヒカンで〜す」とお宮の松のモヒカンで始まったコマ大。マス北野こと北野武監督の映画に出演するためにモヒカンにした、とのこと。ん〜〜たけし軍団も大変ですね…

問題:図の立方体の点Aから全ての面を通り点Bまで達する線で最短のものを展開図に描け。

今回もまたシンプルな問題。「展開図に描け」ということは展開図の描き方が重要か?とあれこれ考える。いつものようにコマ大の挑戦が始まる。

 コマ大は立方体の各面にインクをつけ、展開図を作っていく。そのあと問題の点Aから点Bまでの道で最短と思われるものを探していく、というシンプルな方法。立方体を転がしながら紙の上に展開図を作る。時には紙から展開図がはみ出し、手を汚しながら展開図を次々と作る。そんなことなら

もう少し小さい立方体を用意すればよかったのに…

コマ大メンバーの中でお宮の松は立方体作りに苦戦したが、最短の道を発見。この答えを採用。これが凶と出るかでるか大凶と出るか…

 マス北野・ポヌ組と東大生組もインクをつける…まではしなくても紙に様々な展開図を描き答えを出そうとする。マス北野は切り取り立方体を作り始めた。その後、コマ大から何かを聞き出そうとする…何かひらめいたのでしょうか。

 私がこの問題を見て最初に考えたのが下左の図。しかし長すぎる気がする。あれこれ考えていたときに竹内先生の「ちょっとひっかけみたい…」という言葉を思い出した。もしやと考えた答えが下右の図。

最初と最後でちょこっと動く、という道のり。「ラッピング」の問題の時のように最短距離は限りなく短く出来るということなのだろうか。

それでは各自の答えです。

あっ、やられた!

確かにこの2つは私の答えより短い。もう少しじっくり考えればこの答えは出たはず。前回同様わたくし浅はかでした…

正解…コマ大、マス北野組の図が正解!

 東大生の答えはもしかしたら他の2組より短いかと思われたが…

コマ大、マス北野組の図の長さ√13+α(約3.605)
東大生組の図の長さ√2+√5+α(約3.65)
2つの近似値を逆に書いていました。失礼しました。(2008/6/22)

とわずかの差で2組の答えが最短であった。コマネチフィールズ賞は10分間という短い時間で答えを導いた、ということでマス北野・ポヌ組に決まった。

 問題の解説の後、展開図についての話がありました。オープニングでも話していましたが、展開図の概念はドイツの数学者でもあった画家のデューラーによって考えられたものでした。立体を平面に描くだけなのに15、6世紀になるまでこの概念は考えられなかったのですね。正に「コロンブスの卵」的発想だったのでしょう。

 今回問題で使われた立方体を含め5つの正多面体の展開図の形を数えると次の結果になるそうです(ただし、回転したり裏返したりして同じになるものは1種類とします)

正4面体2種類
正6面体
(立方体)
11種類
正8面体11種類
正12面体43380種類
正20面体43380種類

「正6面体と正8面体」「正12面体と正20面体」の展開図の数が同じになるのはそれぞれに相対性があるからでしょう。「相対性」の意味が分からない人は「よく似ている」と考えてください。それにしても正6面体の11種類は知っていましたが、正12面体と正20面体の43380種類は知りませんでした。どんな展開図があるか全て調べてみますので、

60年ほど待っていてください。


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「フーリエ(3/19)」

 ここしばらく「ラグランジュ」「ハミルトン」と数学者をテーマにして話を進めていることが多いと思う。今回のテーマ「フーリエ」はフランスの数学者。『フランスといえば「(浅草)フランス座」出身のマス北野』と話があらぬ方向へ行きそうだった。ちなみに「浅草フランス座」とは浅草にあったストリップ劇場(現在は『浅草東洋館』という演芸場となっている)で、マス北野ことビートたけしや萩本欽一などが下積み時代に舞台に立ったことがあるそうです…といっても彼らが脱いでいたわけではいからご安心を??

問題:右の図の一番下の四角に1〜9の異なる数字を一つずつ入れて 隣り合う2つの数字の和を上の四角に書き込んで、一番上の四角の和が100になる場合、一番下の四角の和の最小値を求めなさい。

私は早速、一番四角に左から a, b, c, d, e を文字を入れて一番上の和がいくつになるか計算した…ま、詳しい解説は後回しにしてコマ大の挑戦でも見ましょう。

 今回コマ大はホストになって問題を解く??と思ったら、ホストのパフォーマンスでおなじみ「シャンパンタワー」で問題を検証。しかしシャンパングラスは検証しにくいので100mlのメスシリンダーで代用…だんだんホストから離れていく…時に足りず、時にメスシリンダーからこぼしながら、きっちり100mlに成功。さて答えはどうなのでしょう。

 一方問題を解くマス北野組と東大生組。と、いきなり東大生が答えを出した模様。思わず「そんなに簡単なの?」を驚きました。私は、というとピラミッドの一番上の値が

a+4b+6c+4d+e=(a+e)+4(b+d)+6c

となることが分かったがその後の計算法が分からず。仕方なく一つずつ数字を入れて上の式の値が100になるものを探してみた。

c=9のときb+d は最大で10。このとき a+e は66+4×10+6×9=100
で下の数の合計は25
c=8のときb+d は最大で12。このとき a+e は44+4×12+6×8=100
で下の数の合計は24

それぞれの場合、b+dの値を1下げるとa+eの値は4上がるので最後の合計の値も上がる。そのためb+dが最大の場合だけを考えればよいのです。

 時間終了。ひょっとしたら他の可能性があるかもと思ったが上の表から「24」を答えとして選んだ。各自の答えは以下の通り

コマ大の答え30検証で出てきた答え。数字の並びは
「2,4,7,8,9」
東大生の答え28数字の並びは「4,1,9,8,6」
解説の途中で「26かも?」という発言。
マス北野・ポヌ組の答え30最初の「25」を消しての答え。しかし計算では
「1,6,7,8,5」の並びが。

あれ?私間違えたかな?

 きちんと数字を並べて計算すると答えが100になる足し算の答えも24。疑問が疑問を生む中正解が発表された

正解…24!やった〜〜正解だ!!

 朝方ひとりでガッツポーズをとる33歳がそこにいた。私だけ正解ということで取り乱してしまいました。

問題の解説の後に今回のテーマ「フーリエ」の話がありました。私はフーリエと聞くと「フーリエ変換」を思い出しますが、 熱力学の上でも功績を残しているという話を聞いて「確かフーリエの名前を聞いたことがあったな」とおぼろげながら思い出し ました。さらに熱力学の研究のきっかけとなったのがエジプト考古学の研究であった、ということも全く知りませんでした。
 今回正解者は出なかったものの、3組の解答の中でもっとも値の小さかった東大生組がコマネチフィールズ賞をもらった。そして最後に中村先生から衝撃的な一言が…

「コマ大の答えは最後が100になりません」

各組の答えを検証すると…

確かにその通りです。コマ大は検証で誤差が生じたためでしょう、しばらく良い戦いをしていたコマ大だけに残念です。

そして番組を見終わって約4時間後。ふと考える。

今回の問題とフーリエの関係は何だったの?

解説で中村先生が話していた連想ゲーム「ピラミッド→エジプト→暑い→熱→熱力学→フーリエ」 ということでフーリエがテーマだったのか?

数学者のテーマもそろそろ限界なのだろうか…


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「Doing Math in English(3/26)」

 今回のコマ大の問題は一味違っていた…

タカさん:Today's title is "Doing Math in English."
戸部アナ:Hello, I'm very fine girl. …

 先日のエミー賞授賞式の様子を見て気が付いた。戸部アナは英語が得意でない。「Math」とは Mathematics(数学)の略。つまり今回は英語を覚えながら数学を解こう…いや、数学を解きながら英語を勉強しよう…いや…まあ、とにかくそういった趣旨の内容だった。

 マス北野こと映画監督北野武は海外のインタビューにも受け答えできる程度の英会話の力がある。東大生二人もTOEICで800点以上はとったつわもの。しかし上には上がいた。ポヌさんは日、英、仏、さらにベナンの言語を3つ話すことができるという超つわもの。もちろん解説の竹内先生は英語が出来る、と思ったら帰国子女とのこと。しかし

インドとか中国からの帰国子女ということもありますからね。

 肝心の問題はこちら。

The intersection of a unit cube and a plane passing through its center is a regular hexagon.

What is the area of the regular hexagon?

 メンバーの英語力が垣間見れる中取り残されてしまったのはオープニングから「White Flag(白旗)」を掲げた我等が(?)コマ大数学研究会。毎回数学の問題を解くのに悪戦苦闘しているのに今回はそれ以前に問題の意味が分からない。そこで問題の意味を教えてもらうために向かったのは武さんがCMに出ている英会話学校ECC。ここの一日体験入学コースに参加。金髪の女性講師にコマ大は興奮。しかし、ここは英会話学校。意味を教えてくれるといっても解答は英語。例えば、

"intersection" の意味は "two lines meets"
"a unit" の意味は "all side have the same measurement"

これらの解答を理解するのにもさらに苦戦。

おそらく江戸時代の蘭学者もこんな感じだったのでしょう

 さて、マス北野組と東大生組の戦いが始まった。おそらく2組とも問題理解していていると思います。私も大学で数学を学んできたので意味はすぐに分かりました。問題はこんな問題です。

問題:一辺が1の立方体とその中心を通る平面との断面が正6角形になっています。

このときの正6角形の面積を求めなさい。

この問題の一番のポイントは正6角形が立方体のどの場所に出来るかということ。それが分かればこの問題は中学生でも解くことが出来ます。毎回私の悪戦苦闘を期待している皆さん、申し訳ございません。

今回はすぐに解かせていただきました。

というわけで今回は

私の知識をひけらかしてみます。

 問題を解いている途中に東大生が竹内先生に質問をしました。タカさんからの「英語でお願いします」という注文にも忠実に従って質問が行われました。意訳ですがその日本語訳を書いておきます。

松江さん:答えは一通りの書き方ですか。
竹内先生:一通り…数字で答えてください。
マス北野:どういうことですか?
竹内先生:xやyは使いません。数字で答えてください。
…………………………………………………………………………
ダンカン:ウィー アー カッティング(私たちは切っています)

発泡スチロールで出来た立方体を切り始めたコマ大チーム。しかし正6角形の切り口が出来なかった…

 また、問題文で「a unit」となっています。「『u』で始まっているのに『an』ではなくて『a』なのはどうして?」と疑問に思っている人もいるはずです。実は『an』が付くのは単語の最初の文字が「aiueo」である場合ではなく、発音が「アイウエオ」で始まる場合です。今の場合「unit」は「ユニット」ですので始まりは「ウ」ではなく「ユ」です。そのため「a unit」となります。また逆に「hour(時間)」は「アワー」と「ア」で始まるため「an hour」となります。

私の知識のひけらかし、終了

各自悪戦苦闘の上の答えは以下の通り

コマ大の答え下の図問題の後半を「その正6角形をこのスタジオで見せなさい」と解釈。
「area」を「この場所(スタジオ)」と考えた。
マス北野・ポヌ組
の答え
9√3/8しぶしぶ見せた答え。立方体の対角の頂点を通る平面との断面が
正6角形を考えた。
東大生の答え3√3/4断面はコマ大が作ったものと同じ。この正6角形の一辺が1/√2
となるところから計算。

 英語に奮闘しながらも答えを出したマス北野・東大生両チーム。そして「やっぱり」という結果になってしまったコマ大チーム。一日体験入学の成果は出ませんでした…

正解…3√3/4。東大生組が正解。

 この後の「美しき数学の時間」でも問題の解説は英語尽くし。しかし手間がかかるのでここでは日本語のみで解説です。

番組では話はしませんでしたが、マス北野が書いた図に沿って立方体を切ると、コマ大が失敗したひし形(または平行四辺形)の断面図が出てきます。

 さらにこの後に数学で使われる言葉の英語訳を紹介。その中でも私たちも聞き覚えのある「プリズム(prism)」「ピラミッド(pyramid)」という単語もそれぞれ「角柱」「角錐」の意味があります。ということは

 つまり、普段イメージする「プリズム」「ピラミッド」とは程遠いものも呼ばれるわけです。


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