「コマ大数学科」に挑む・08年6月
最終更新日2008年7月20日
フジテレビで深夜に放送されている「コマ大数学科」の問題に解く様子をご紹介します。数学をやってきたので簡単に解ける…と思ったものの…その奮闘振りをお楽しみに。なお、福岡での放送は二週間遅い模様です。そこら辺はご勘弁を。「置換(6/5)」 |
「ペル方程式(6/12)」 |
「トランプ(6/19)」 |
「釣り銭(6/26)」 |
ご意見がありましたらtfujisaki2006@yahoo.co.jpまでお願いします。
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問題との関連性が全く分からないと思います。
オープニングの戸部アナのコメントで「置き換えるの『置換』ですよ」と話していたときのBGMは山手線の駅の音だった。どうしても某元教授が手鏡を持ってした「チカン」をイメージしてしまう…何はともあれコマ大の挑戦を…コマ大は今回もロケ。先週と同じく3人、そして悪天候でジャージに雨合羽、ということで今回のロケ地は…
やっぱり千葉県金谷町!!
今回最初に訪れたのは御年96才の嶌津(しまづ)さんのお宅。この嶌津さんは金谷町で石切り一筋、いまでは金谷町唯一の石きり職人となった。この方に作っていただいたのは一辺が20cmほどの石で作ったサイコロ。しかも2個。今回はこれを使って問題を解きます。金谷町の小学校の校庭の一角の一角の一角を借りて問題を解くコマ大。しかし石で作ったサイコロなので重い!金谷町の人々の応援を受けながら、黙々と重い石のサイコロを動かすコマ大。何となく石器時代の人々を思わせる感じがしました。荒れた天気の中、そして奥に満開の桜が見える校庭で答えは出たのでしょうか…
さて、この問題、まず問題の START と GOAL のサイコロの場所が同じところに注目します。サイコロを動かして最初の位置に戻るための動かし方は次の4つの動かし方が基本になります。
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(上前右)(下奥左)の各面の動き
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問題の最初と最後のサイコロの状態を見ると
上の面 ⇒ 下の面(下の面 ⇒ 上の面) 前の面 ⇒ 奥の面(奥の面 ⇒ 前の面) 左の面 ⇒ 左の面(右の面 ⇒ 右の面) |
上の面 ⇒ 前の面 ⇒ 下の面 前の面 ⇒ 右の面 ⇒ 奥の面 左の面 ⇒ 下の面 ⇒ 左の面 |
上の面 ⇒ 右の面 ⇒ 下の面 前の面 ⇒ 下の面 ⇒ 奥の面 左の面 ⇒ 前の面 ⇒ 左の面 |
コマ大チーム | 8回 | 大きな石のサイコロを動かした結果。 「金谷町の末広がりな発展を願って」という意味も込めて? |
マス北野・ポヌチーム | 8回 | 始めはコマ大が使った石を使って検証? 以降はサイコロの向かい合う面と隣り合う面の関係から求めた。 |
東大生チーム | 8回 |
「上下の面が入れ替わる」というところからサイコロの動きと 上の面の変化の関係を見て求めた。 |
正解…8回
なぜ答えがボードの下のほうに書かれてあったか気にはなったが、ともかく全員正解だった。中村先生の解説では私が考えたような面の移動を表し方を紹介していた。使う記号も移動の表し方も違って見えるが、同じことを表している。
たとえば(上前右)(下奥左)を解説の置換の書き方で書くと…
となる。 T,Bは上下、N,Sは奥前、E,Wは右左に対応。 |
置換といえば群、群といえばガロア、と分かる人には分かる関連性でガロアの話が問題の解説の後にあった。彼が21歳にもならずにこの世を去り、そのわずかな生涯の間に群という概念を生み出したことから、彼の偉大さがわかるかもしれませんが、実際に彼が死の直前に残したものは「群」という概念ではなく「方程式の解」についての定理を証明なのです(このことは中村先生の解説であったようですが省略していました)その定理を元に「群」という概念が生み出されていきました。
今回は全員正解でしたが、群に近い理論を進めていた、ということで東大生チームのコマ大フィールズ賞が渡った。3週間に渡って千葉の金谷町でロケをしたコマ大。やはり悪天候が似合う(?)コマ大ですから、次回ロケをするときは
台風接近中の南大東島とかいかがでしょうか
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「ペル方程式(6/12)」
今回は早速問題を…
問題:同じ大きさの正方形の形に並んでいる兵士の軍団が60あります。 ここに王様1人が加わり、大きな正方形に並べなおすことができるとき、王様を含めた全体の人数は何人か? |
…は?
問題の細かいところまであまり把握できなかった。その後いつものように戸部アナのコメント。
そういえば、昔私が飼っていた犬の名前は、ポチでした。 あんまり私に懐いてくれませんでした。 そんなワンちゃん大好き、戸部洋子です。 |
…は???
「ペル」という名前が犬の名前にありそう、というところからこのコメント。ややこしや、ややこしや…ちなみにペル(ジョン・ペル)とは17世紀のイギリスの数学者。今回のテーマの方程式を本に載せるときに手助けをした、というだけで本人はこの方程式の研究は何もしなかった、とのこと。しかしなぜかこの方程式を「ペル方程式」と呼ぶようになった。やっぱり、ややこしや、ややこしや…コマ大チームの挑戦。今回は「マッチ棒」を使って検証。まず最初にマッチ棒の先端に人の顔を書いていくことから始まった。いつものように無駄な作業が続く。
作業開始から4時間後…長いよ!
顔が描かれたマッチ棒に王様のマッチ棒を加えて検証開始。蛇足ですが王様のマッチ棒をおなじみ吉田プロデューサーが持ってきたとき「大きなマッチ棒こと吉田プロデューサー」と書かれてあった。その通り!
検証場所はなぜか海岸。土俵のように丸く作られた場所の上にマッチ棒を立てて正方形を作っていく。しかし顔を描く作業から4時間もかかったため、日は落ち始めていた。そのため、潮が満ち始め、海が土俵を侵食しそして崩壊。あえなく検証は中止。続きはスタジオで…最初この問題を見たとき「正方形の集団」は正方形の周囲だけを形成しているかと考えていたが、コマ大の検証を見てきちんと中も並んでいるという ということに気付いた。
右の図のような並び方をしている。 |
(x1)2+(x2)2+ ... +(x60)2+1 = y2
と考えた。でもこれは難しい…そんな時「秒殺シスターズ」の東大生衛藤・伊藤チームの計算を見て気が付いた。「同じ大きさの正方形の集団」だったんだ。それならこんな方程式ができるんだ。60x2+1 = y2
勘違いの連続だったがどうにか中心となる方程式までたどり着いた。さあ、いざ解こう。と思ったが分からない。某かの方法はあったと思ったが思い出せない。因数分解をしたり、変数を置き換えたりしたが、一向に解決の糸口が見えなかった。仕方ない、実際に数を当てはめてみよう…
としたところで時間切れ…各組の解答はご覧の通り。
コマ大チーム | 答えを見つからず | 検証と同じくマッチ棒を使ったが、時間までに 答えが出せず。マッチ棒で大きな「?」を作った。 |
マス北野・ポヌチーム | 961人 | 方程式から実際に数を当てはめて計算。 y2の1の位が1から他の解を探したが見つからず。 |
東大生チーム | 961人 | マス北野・ポヌ組と同じく数を当てはめて計算。 mod (余りの数)からの解き方を考えたが見つからず。 |
60×42+1 = 961 = 312
となって確かに方程式が成り立つよな…でも、それで終り?正解…961人
今回の「60x2+1 = y2」を正の整数 D (ただし D は整数の2乗ではないもの)に置き換え、「+1」を「-1」とした方程式「Dx2+1(or Dx2-1) = y2」を「ペル方程式」と呼んでいる。この方程式については解説であったようにラグランジュをはじめ多くの数学者が研究がされており解法も分かっている。この解法で登場するのが、以前「ラマヌジャン」のところで登場した「連分数」これを使うと簡単に(???)方程式の解が出てくる。一つでもペル方程式の解が見つかれば、以下の方法を使えば無限に解が出てくることも分かっている。
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今回はコマ大チームの検証のビデオを見ながら「ひらめき」で答えを導いたマス北野・ポヌ組にコマ大フィールズ賞が渡った。ところで、今回の問題のペル方程式「x=0, y=1」としても方程式が成り立ちますよね。でも「60の軍団」がいなければいけないためこの答えは不適当でしょう。それに
王様ひとりぼっちじゃ可哀想ですからね…
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「トランプ(6/19)」
「コマ大は放送90回目」とタカさんのコメント。約2年ですね。コマ大チームはロケでの裏話をした。「検証時間が遅くなっても残業代が出ない」「撮影用のカメラを大きくして欲しい」など、少しでもいい条件でロケをしたいということですが…きちんと正解を出すようにしてから要求しましょう。
並べ終わったときに「7」が残っている確率を求めなさい。 |
コマ大の挑戦はトランプといえばマジック、というわけで「港マジック同好会」の方々が登場。まずは紹介も兼ねて普段しているマジックを披露。花を出したり、鳩を出したり…さあ、一通り終えたところで、問題の検証を開始。方法はコマ大メンバー、マジック同好会の皆さんで問題の通りに実行し、「7」が残る回数を数える。
いたってシンプル!!
順調に検証をしている…と思いきや、マジック同好会の皆さんは老人ホームの慰問のため退室。残りはコマ大の4人が宿題の居残りのように検証を続けた。検証時間6時間16分。よく見ると後に張られていた「マジックショー」の張り紙もはがれかけていた…コマ大の挑戦のビデオの後、マス北野が「鳩を帽子から出そうとしたら頭を出した鳩をステッキで叩いて落としてしまった」という人の話をした。私も聞いた話ですが、牛乳を入れてもこぼれなかった新聞紙を広げて牛乳が消えたことを見せようとしたら牛乳が飛び出て客にかかってしまったことがあるそうです。念のため付け加えておきますが
私じゃないですよ!
さて、今回の問題。最初のカードの出す順番で「7」が残るかどうかが分かるわけです。ですから全ての順番を調べればよいのですがもちろんそれは無理!問題では1から13までのカードでちょうど真ん中の「7」が残る確率を当てるわけですが、まずは簡単な場合から考えてみました。
1から3までのカードで、同じ条件でカードを並べ、真ん中の「2」が残る確率を調べる。 | ||||||
カードの出す順番 | 123 | 132 | 213 | 231 | 312 | 321 |
カードを並べた結果 | 123 | 13 | 23 | 23 | 3 | 3 |
青で書かれた3箇所が「2」が残ったのでこの場合「2」が残る確率は1/2 |
1から5までのカードで、真ん中の「3」の前に「3」より大きい数が並んでいない順番を調べる。 | ||||||||||||
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以上の確率を足し合わせると1/3になる。 |
コマ大チーム | 166/1000 | コツコツと1000回検証をした結果 |
東大生チーム | 6/13 | 「7」が出る前に「13」がでるか、というところから計算。 |
マス北野・ ポヌチーム | 1/7 | 「7」が出る前に「8」から「13」が出ない確率を計算。 |
正解…1/7。マス北野・ポヌチーム正解!
マス北野の解説の通り、この問題を考える上で「1」から「6」までのカードは関係がなく「7」から「13」を順番に並べて最初に「7」が出る確率を考えればいいわけである。これはすぐに1/7と計算ができる。というわけで今回もひらめきの勝利でマス北野・ポヌチームにコマ大フィールズ賞が渡った。と淡々と書いていきましたが、私はこの解説を聞いているときにはどうして「1」から「6」までのカードは関係がなくても良いのかが分かりませんでした。ただよく考えると今回の問題で「1」が残る確率、「2」が残る確率を調べると…
「1」が残る確率 | 最初に「1」が出るカードの順番のため、確率は1/13 |
「2」が残る確率 | 最初に「2」が出るカードの順番になる確率は1/13 最初が「1」その次に「2」が出るカードの順番になる確率は 1/13×1/12 この2つを足し合わせると確率は1/12になる。 |
今回の東大生チームの二人は駒場祭でファッションショーに出たことがある、ということでショーでのウォーキングを披露。なかなか様になっていました(足の形がきれいと戸部アナが話していても写っていませんでしたが) 初代東大生チームの二人も今回のようなウォーキングを披露できればよかったのですが
あの「ピッピッピ」は何だったのでしょうか…
数学とクイズでくつろいで<数学の部屋<「コマ大数学科」に挑む<「コマ大数学科」に挑む・08年6月
「釣り銭(6/26)」
今回のテーマが「釣り銭」ということから、オープニングではポヌさんの故郷(?)ベナン共和国の物の値段についての話があった。久しぶりにポヌさんにスポットライトが当たった。食事などの物価は安い反面、ガソリン代は日本よりも高いとのこと…皆さん、これがアフリカの実情なんです
今回の問題は「日本数学オリンピック」の予選問題として出されたもの。
問題:太郎君は1000円札、100円、10円、1円を一枚ずつ持って買い物に行き、これらのお金を全て渡して買い物をしました。このとき考えられる買い物の値段は何通りか。 ただし、太郎君は自分の支払うお金と釣り銭とに共通のものがないような支払い方のうち、釣り銭を渡された後の手持ちのお金の枚数が最小となるような支払い方を選ぶものとする。なお、釣り銭は枚数が最小になるように渡されるものとする。 |
ん〜〜何だ?後半の長い注意書きは
注意書きは読み飛ばして考えてみようと思った。その前にコマ大の検証から。
コマ大が向かったのは「お台場1丁目」というところ。ここは昭和30年代の町並みを再現したショッピングモール。その中の一角「駄菓子屋」で問題の通りに買い物をして検証をする。コマ大メンバーが駄菓子屋の思い出を語りながら買い物をする。
思い出に浸りすぎて問題の条件に合わない買い物をしたダンカン部長。
どでかいお菓子を買い予算オーバーしたお宮の松。
一個だけ買い、お釣は飲み代にしようとしたアル北郷。
しっかりと代金を考え、ちょうど1111円分買った〆サバアタル。
素晴らしいほど四者四様の買い方をしたコマ大。果たして答えは出せたのでしょうか…一つ気になったのはレジにいた人がTシャツの若い男性だったこと。せめてエプロンを着た40代の女性のほうが雰囲気が出るんじゃないですか…
さてさて、今回の問題です。後半の注意書きを読み飛ばしたのには理由がありました。おそらくこういう問題では注意書きの意味は「無駄な支払、釣り銭」がないように、ということだろうと思ったからです。この条件は例を挙げると分かるかもしれません。
10円と1円の2枚を持って買い物をした場合を考えます。 ちょっと現実的ではないですが話を簡単にするため。 |
4円の買い物をしたとき、10円と1円を渡しても釣り銭は7円のため、1円が入っている。つまり渡した1円はそのまま返ってきたことと同じ。 同じように9円の買い物をしたときも釣り銭は2円のため、渡した1円はそのまま返ってきたことと同じ。 |
6円の買い物をしたとき、10円だけを渡すと釣り銭の4円をもらう。そうすると渡してない1円と合わせて1円が5枚手元にある。 手元のお金の枚数を少なくするため、払うときに10円と1円を渡して釣り銭の5円をもらう。これですっきり。ま、釣り銭をもらって1円5枚を5円に両替してもらってもいいがどちらにしろ同じことか… |
上の「10円玉と1円玉」の例では6円の一通りのみが条件を満たす支払方法になる。ではこれに1000円と100円を加えるとどうなるのか。ややこしいなあ、と悩んだときにふとテレビを見ると問題のところに
支払うお金と釣り銭とに共通のものがない |
…ん?ということは…
例えば50円を2枚釣り銭でもらうことはない。なぜならこれは100円1枚と同じこと。つまり釣り銭で使われる5円、50円、500円は多くても1枚しかもらえないことになる。ということは
それぞれ「もらう」「もらわない」という2通りの方法があるため。全体で2×2×2=8通りの釣り銭のもらい方があることになる。各組の解答はご覧の通り
コマ大チーム | 8通り | 検証の結果 |
マス北野・ポヌチーム | 8通り | 上の考え方と同じ。 |
東大生チーム | 8通り | 上の考え方と同じ。 |
正解…8通り!全員正解!
今回の問題はちょっと簡単すぎたようです。ちなみに条件に合う買い物の金額を計算すると以下のとおりになります。
買い物の金額 | 釣り銭の金額 |
1111円 | 0円 |
1106円 | 5円 |
1061円 | 50円 |
1056円 | 55円 |
611円 | 500円 |
606円 | 505円 |
561円 | 550円 |
556円 | 555円 |
あまりにも簡単に答えられたため解説の竹内先生も苦笑い。コマ大フィールズ賞も「2×2×2」という計算があった、という少々無理な理由から東大生チームになった。今回の問題は数学オリンピックの予選問題とはいえちょっと簡単…しかし、マス北野、東大生だったので解けたのでしょう。ちなみに数学オリンピックの出場者は高校生です。今回の問題を難しくするために「1万円札」も加えたらどうだったのでしょうか。「それでも答えはすぐに出るでしょう」と思われた皆さん。
2千円札があったじゃないですか。
覚えていますか。1万円札を加えたら何通りに買い物ができるかはお考えください。