数学とクイズでくつろいで数学の部屋「コマ大数学科」に挑む「コマ大数学科」に挑む・08年7月

「コマ大数学科」に挑む・08年7月

最終更新日2008年8月17日

フジテレビで深夜に放送されている「コマ大数学科」の問題に解く様子をご紹介します。数学をやってきたので簡単に解ける…と思ったものの…その奮闘振りをお楽しみに。なお、福岡での放送は二週間遅い模様です。そこら辺はご勘弁を。

「謎の難問(7/3)」
「物理学(7/10)」
「21(7/17)」
「回転(7/24)」
「正方形(7/31)」

ご意見がありましたらtfujisaki2006@yahoo.co.jpまでお願いします。


「謎の難問(7/3)」

 今回は番組に送られてきた問題から話が始まった。


問題:図の三角形ABCについて

∠BAC=20°∠DBC=30°

∠BCE=45°AB=AC

であるとき∠DEC、∠EDBの角度を求めなさい。

 この手の問題は見たことはある。しかし(このページを見続けている方々は分かると思いますが)

この手の問題は解いたことが無い。

 問題の送り主に聞いたところ30年近く答えが出ない問題で、なぜか「東大入試に出た」「ノーベル賞受賞者が考えた」などの都市伝説が生まれた、とのこと。

 この問題を解決すべく、到底解けそうに無いコマ大チームが向かったのは河合塾の数学の講師、岡田順一さん。その次に向かったのは「数学オリンピック金メダリスト」「第1回マス1グランプリ優勝」そして「現役東大生」の西本将樹さん。 しかし、河合塾の講師でも金メダリストでも途中までは計算できるもののこの難問を打ち崩すことができなかった。やはり伝説なのか…

 残る手段はコンピューターで計算をする手段。すると

X = 21.71416…
Y = 53.28584…

????何という中途半端な値。おそらくこの問題は手計算では答えを出せない、という結論に至った。そこで今回はこの問題の角度を変えたこの問題に挑む。


問題:図の三角形ABCについて

∠BOC=20°∠DBC=60°

∠ACB=50°OB=OC

であるとき∠ADBの角度を求めなさい。

 今回も東大生チーム、マス北野・ポヌチーム、コマ大チームの直接対決で答えを導く。私もとりあえず分かる角度を書き込んでいく(下の左の図)


この後は補助線を引くとかそういうことをするんだろう…と壁に当たったところで神の恵みか中村先生からヒントがあった。

上の右の図のように辺CD上に∠EBC=20°となる点Eを取る。そうすると三角形ABEは正三角形になる。

 正三角形になることは何となく分かるがその後は…私は完全に詰まった。仕方なく問題の図を見ながら目測で「30度」という解答を出した。

コマ大チーム29度4人が実際に図を描き分度器で角度を測った結果の平均。
東大生チーム30度中村先生のヒントから角度を求めた。
マス北野・
ポヌチーム
40度同じく中村先生のヒントから角度を求めたが、
計算間違いが…

 3組とも答えが分かれました(?)果たして正解は…

正解…30度。東大生チーム正解!

ちなみに、コマ大チームはバンビーノ小林が分度器で30度を測ったが、平均でずれてしまった。残念。

 解説は以下の通りです。



図1:三角形ABCは角Aと角Cが共に50°であることから二等辺三角形である。
   このことからBA=BCが分かる。

図2:三角形BCEは角Cと角Eが共に80°であることから二等辺三角形である。
   このことからBC=BEが分かる。
   また三角形ABEはBA=BE,角Bが60°であることから正三角形である。
   このことからBE=AEが分かる。

図3:三角形BEDは角Bと角Dが共に40°であることから二等辺三角形である。
   このことからBE=DEが分かる。

図4:AE=DEであることから三角形AEDは二等辺三角形である。
   角Eは40°であることから角D(=角ADE)が70°となり
   角ADB=70°−40°=30°

もう一つ、この二等辺三角形を3つ並べた形から角度を計算する方法も紹介された。こちらは省略。ごめんなさいね。

 今回は正解を出した東大生チームにコマ大フィールズ賞が渡った。 私は角度を書くだけ書いて最初の三角形ABCが二等辺三角形になることすら気付かず、コマ大方式で正解を出しました。まだまだ修行が足りません。


数学とクイズでくつろいで数学の部屋「コマ大数学科」に挑む「コマ大数学科」に挑む・08年7月


「物理学(7/10)」

 今回は数学の域を飛び出して「物理学」をテーマにコマ大が始まった。ご存知だと思いますが、解説の竹内薫先生は「99.9%は仮説」という本を書かれたこともある物理学専門の方なのです。実際、竹内先生が扱ったコマ大のテーマを見ていくと「数」を扱った問題より「長さ」とか「確率」を使った問題が多く見られます。番組ではまず例題が出されました。


例題:体重60kgの人が図のように滑車を使い自らを持ち上げるためには何kgの力が必要か。

 一見「60kg」のように思えたが、実は答えは「30kg」。60kgの体重を2本のロープで吊っているためロープ1本には半分の力をかければ十分、とのこと。実際に体重約60kgの〆サバアタルがロープで軽々と自分を持ち上げていった。「2本のロープで吊っている」ということは…


ロープを巻きつけると60kg?

さて、問題に行きます。


問題:身長160cmの人が鏡を使い自らの全身の姿を見るためには鏡の上下の長さは最低何cm必要か。また、そのときの鏡と人との距離も求めなさい。

これも聞いたことのある問題だ。

確か多湖輝さんの「頭の体操」にあったはず。答えは80cm…だったよな…

 私の苦悩はさておいて、コマ大の挑戦。今回コマ大が最初に向かったのは国立科学博物館。ここで展示されている「身近な科学」というところに行った。 ここには例題で出されたような滑車の実験や、光のトリックで作られる「見えない壁」などがある。コマ大は遊びたいだけ遊ぶ…問題はどうなったの?

 というわけで今回の問題の検証はいつものスタジオで行われた…

さっきの博物館はなんだったんだ。

 「身長160cm」のお宮の松を鏡に映したとき全身の姿を見られる鏡の上下の長さを調べる。実は「鏡と人との距離」の関係は知っていましたが、やはり実際に見るとその関係に驚きます。詳しくは後ほど。

 さて、「鏡は80cmで十分」というのは覚えていたが、どうしてだったかを思い出していると戸部アナの実況が聞こえてきた。「マス北野が芸術的な絵を描いています」 描いているのは鏡の両端に人が立っている絵。

驚くほど芸術的とは思えなかった。

 一方の東大生チームも鏡の両端に人が立っている絵を描き、答えの説明を考える。その間ポヌさんの不思議な不思議なキリンの絵に始まりいつの間にかキリンをうまく書けるか、という競争になった。さらに「血管フェチ」と発言した東大生、生駒さんに触発されなぜか「血管浮き出し大会」になる…

むなしく時間は過ぎた…

 それでは各組の答えです。

コマ大チーム81cm検証の結果。さらに人と鏡の距離は関係なく81cm
あれば姿を見ることができることを実証。
マス北野・ポヌチーム80cm頭と足元を見るために必要な鏡の長さを求めると
ちょうど身長の半分で十分。
東大生チーム80cm上の考え方と同じ。
こちらは入射角、反射角の関係を使い説明。

正解…80cm。

 マス北野・ポヌチームと東大生チームは正解。コマ大は1cmの違い…と、ここでお宮の松の一言「身長は162cm」コマ大はお宮の松に振り回されてたが、見事に身長の半分を計測。これはある意味素晴らしい。

 今回の問題の解説は次の通りです。



鏡で頭の上を見るためには、目と頭の半分の高さの鏡が必要。
(上の赤線の部分)

鏡で足元を見るためには、目と足の半分の高さの鏡が必要。
(下の赤線の部分)

つまり全体を見るためには鏡の高さは身長の半分、80cmは必要である。 しかも、この鏡の高さは鏡と人との距離には関係しない。

今回のコマ大フィールズ賞はお宮の松の身長のちょうど半分を計測したコマ大チームかと思われたが「芸術点」と今回もちょっと苦しい規準でマス北野・ポヌチームになった。オープニングに「日本では物理を受ける人が少ない」という話が出ました。私も理系人間とは言うものの完全に「数学人間」のため理科系は今一つ。高校のときも物理ではなく生物を受けていました。物理も嫌いではありません。力学とか光学は何となく分かりますが、電磁気学や量子学になるとさっぱりです。

竹内先生ごめんなさい。


数学とクイズでくつろいで数学の部屋「コマ大数学科」に挑む「コマ大数学科」に挑む・08年7月


「21(7/17)」

 今回のテーマは「21」。オープニングではコマ大のスタッフに「21」と聞いて思いつくことはというアンケートの結果を発表。1位は「ブラックジャック」…確かにそうだよな。その他ありましたが少々マイナーな回答がありましたので少し解説を… 何はともあれ、今回の問題です。


問題:図の丸の中に5つの数字を入れ、隣り合う数字を和が1から21まで作られるようにしなさい。
(1個の数字の数も5つ全ての数字の和も「隣り合う数字の和」として考える)

な〜〜んだ、今回は簡単だ。

まず、1は入れなければいけないから入れて、2も必要だから入れて、そして…ん、できない???何か間違えたかな?

 コマ大はまずは公園に行き空き缶を集め始めた。その後、いつものスタジオに戻り缶を縦につなげて、空き缶の柱を作る。同じ高さの柱の使い問題の条件が成り立つようにおいて1缶から21缶の高さの柱を作り上げることに挑む。
 「今回はすぐに終わるでしょう」という言葉を発したお宮の松。しかし彼は柱を作る役。慎重に倒れないように柱を作るがたびたび失敗。しかも問題の条件が合わないと一からやり直し…「すぐに終わる」の言葉とは裏腹に5時間を越える検証時間だった。空き缶集めの時間も含むのか?

 まず、「隣り合う数字」は全部で何通り作ることができるかを考える。

「数字1個」から「隣り合う数字4個」までの
各個数で5通りの選び方がある。
さらに「5つ全て選ぶ」方法もあるため全部で

4×5+1=21通り

ちょうど21通りなので、同じ和ができないように作ればいい。しかも…

 和が一番大きくなるのは「5個全ての和」⇒5つの数字の和は21

 次に、大きい数の和については以下の考え方を使う。
例えば「15」を作るときは21から15を引いた「6」の和を作るときに
選ばなかった数字を全て選ぶと和が「15」になる。

つまり、和が21になる5つ数字を入れて、1から10までの和を作ること
ができれば11以降もできる。


ここまでは分かってるんだけどな。

ダンカン部長が話していた「罠にはまってしまった」のか。その上マス北野、東大生両チームも答えを見つけた。いよいよ焦る…降参。 今回は全員答えが揃いました。



全員の答え


私の苦労の後

ダンカン部長が話していた「罠」とは、1と2を隣り合わせに並べること。2つの数字を離して置けばすんなりと入る数字も決まる…完全にやられた。

 正解はもちろん上の数字の並びである。解説では最初に丸の中に入れる5つの数字を見つけて、条件に合う並び方を探すという方法を紹介。そうすると答えはこの並び一通りしかないことが分かる。コマ大フィールズ賞はきちんとした解説をした東大生チームに渡った。

 悔しかった。今回はとにかく悔しかった。ただそれだけである…


数学とクイズでくつろいで数学の部屋「コマ大数学科」に挑む「コマ大数学科」に挑む・08年7月


「回転(7/24)」

 7月24日午前0時26分頃岩手県を中心とした最大震度6強の地震が発生。広範囲で被害が出た。もちろん福岡に住んでいる私にもその被害が及んだ。その被害は

地震情報で「コマ大」の放送がなくなってしまった。

 実際に被害に遭われた人が見ると腹を立てると思いますが…まずはお見舞い申し上げます。

 さて、今回放送されなかった分が時間を変えて放送されるのか分からない状態である。そこで今回はお世話になっているブログガスコン研究所で問題をちょっと拝見して解いていきたいと思います。


問題:図のように並べた同じ大きさの円の周囲に沿って赤の円が滑らず一周したとき、赤の円は何回転するでしょう。

 コマ大の検証はどのようなことをしていたか。無法松が「ラート師匠」として登場。よく分からない設定である。ドラム缶を使い問題の形にドラム缶を並べ、無法松が回るドラム缶に入り回転数を調べるという検証。残念ながらコマ大の検証の様子は伺うことができませんでした。

 では私の苦悩を書いていきたい、と思いますが、このページを見ている人の中には「私は本当は答えを先に知っているのにわざと間違えているんじゃないの」と思われているんじゃないでしょうか。そんな方々に納得してもらえるかどうか分かりませんが、今回は私がこの問題を解くために紙に書いた図をお見せしたいと思います。どうぞ!!


何を書いているかさっぱりわからないと思います。

おまけに広告の裏を使っています。わからないと思いますのできれいに書き直した図をお見せします。


 まず簡単な例として1個の黒の円の周りを同じ大きさの赤の円が1回転するときを考えます(左の図)円の周りは1回転だけしていますが動いた円は2回転しています。円の中の青の矢印は回転を表すために書いています。
 同じように2個の円を周りを同じ大きさの円が1回転するときを考えます(右の図)水色の矢印は1周した後の矢印の位置になります。そうすると今度は2回転と2/3回転で終わります。この2つを見ると「1周する間の円の接点の長さ(右の図での紫の部分)×2」回転が答えになりそうです。

 そうすると問題の状態では円が一周する間に図の紫の部分を通ります。この部分の長さは11/6。これから答えの円の回転数は2倍の11/3、つまり3回転と2/3回転です。念のため円を動かした様子を描いたものが左の円がたくさんある図です。


 3組の解答は以下のようになりました。

コマ大チーム3回転と2/3回転検証の結果。
マス北野・ポヌチーム11/6回転一周の円の中心の軌跡の長さから求めた。
東大生チーム11/6回転こちらもマス北野チームと同じ考え。

 この解答を見て思わずニヤリとしてしまいました。

正解…3回転と2/3回転。コマ大チーム正解!

 すっかりお馴染みになった「秒殺シスターズ」こと東大生の衛藤・伊藤ペアも、今回の問題の引っ掛けに見事に引っかかったようです。しかし、この問題はコマ大チームのように実際に円を動かしてみないと分からないのかもしれません。

 今回は正解を出したコマ大チームにコマ大フィールズ賞が渡った。私も答えを出すことができて素直に嬉しかったです。ん〜〜もしかしたら

番組見ないで解いたほうが解けるのかな…


改めて考えてみる。

 なぜ1周する時の接点の距離の2倍の回転数になるのだろうか…


 例えば平らな状態のところで円を円周の半分の長さだけ転がしてみる。そうすると転がった円は普通に半回転した状態になる。この転がす動きは実は2つの動きが合わさったものになっている。その2つの動きは

「円を回転させずに移動」と「円を移動させずに回転」である。

 平らのところで転がす場合は

「円を回転させずに移動」させても円自体は回転していない。
「円を移動させずに回転」させて円は半回転する。

しかしこれを円周に沿って円周の半分の長さだけ転がした場合は

「円を回転させずに移動」させたら円は半回転する。
「円を移動させずに回転」させたら円はさらに半回転する。
 ⇒結果として転がった円は1回転したことになる。

 これは1個の円周を半回転させた場合だが、回転させる円の形がどうであれ、必ず転がす回転数の2倍回転することが分かる。


数学とクイズでくつろいで数学の部屋「コマ大数学科」に挑む「コマ大数学科」に挑む・08年7月


「正方形(7/31)」

 先週は地震情報のため放送がお休み。時間を変えて放送があるか、とわずかな望みを持っていたが放送はなかった。今回のテーマは「正方形」…ん? Yahoo! のテレビ欄では「マッチ棒」って書いていたぞ!ま、放送があるだけでもありがたいかな。


問題:図のように棒を並べられている状態から全ての正方形をなくすには最低何本の棒を取り除く必要があるか?

皆様お待たせいたしました…

見たことはあるけど解いたことのない問題の登場です。

 マス北野が頓智を聞かせて(これも私語に近い)「1本のマッチで全部を押し流しちゃう」と答えたけど、それなら手で押し流せば0本で済むでしょ…そんなことはどうでもいいんです。

 コマ大の挑戦。コマ大が訪れたのはとある木材店。何をするかはもうお分かりでしょう。今回の問題を角材を使って解いていきます。木材店の一角に問題の通りに角材を並べて問題を考える。と、いきなり正解が出たのか、かなり少ない本数で正方形をなくすことができた…みたい(何しろコマ大メンバーのどアップばかりだったので)しかし、更に考えるコマ大。ときに角材の声を聞きながら(?)更に少ない本数の答えを導き出した。

 私も問題に挑む。問題の図では小さい正方形が16個並んだ状態だが、小さい正方形を4個、9個組み合わせた大きい正方形、更には外側の大きい正方形もなくすように棒をとらないといけない。とりあえずコマ大の挑戦もヒントにしながら考えてみる…


これで10本。でももう1本少なくできないかな?あれこれ考える…小さい正方形16個をなくすためには最低8本は取り除かないといけない。8本か?9本か?10本か?マス北野の試行錯誤の様子がテレビに映される…

私もマッチ棒が欲しい。せめて角材でも…

 と、悩んでいる間に時間切れ。各組の解答はこちら

コマ大チーム9本検証の結果。
マス北野・ポヌチーム9本マス北野がマッチ棒を並べながら導いた答え。
東大生チーム10本こちらも試行錯誤の結果。
元の正方形が小さいところから規則性を考えた。


 東大生チームだけが「10本」残りの2組が実際に9本で正方形をなくしている以上10本は正解ではない。残念(私も含む)。あとは正解が9本か8本か?

正解…9本。コマ大チーム、マス北野チーム正解!

 この問題を見て規則性はないのではないか、と高をくくっていたが規則性があることをその後の解説で話していた。


これで元の正方形が小さいときから順次マッチ棒を取り除いて最低本数で正方形をなくすことができる。今回は「取り除く」方法ではなく「並べていく」という発想の転換で答えを導いたマス北野・ポヌチームにコマ大フィールズ賞が渡った。実は番組を見たあと復習をしていると気が付いた。私は棒を10本除いた形をもう一つ考えていた。それを見ると…


今回も悔しい結果に。ん〜〜やっぱりコマ大は見ないで解く方がいいのかな?


数学とクイズでくつろいで数学の部屋「コマ大数学科」に挑む「コマ大数学科」に挑む・08年7月