数学とクイズでくつろいで数学の部屋「コマ大数学科」に挑む「コマ大数学科」に挑む・08年12月

「コマ大数学科」に挑む・08年12月

最終更新日2009年1月11日

フジテレビで深夜に放送されている「コマ大数学科」の問題に解く様子をご紹介します。数学をやってきたので簡単に解ける…と思ったものの…その奮闘振りをお楽しみに。なお、福岡での放送は二週間遅い模様です。そこら辺はご勘弁を。

「マジック(12/4)」
「もう一つのオイラー数(12/11)」
「物理学Part2(12/18)」

ご意見がありましたらtfujisaki2006@yahoo.co.jpまでお願いします。


「マジック(12/4)」

 先日も書きましたが、私ここしばらくコマ大の問題に対して正解を導けない日々が続いています(普段はテレビを見ながら問題を解いています)朝早く頭の回り始めていない時間帯に見るためなのか分かりませんが、見返すと9月18日の「天保からの挑戦状」の回以来正解を出すことができていません。

問題:1から100まで数字を書かれた100枚のカードをA,B,Cの3つの箱に分ける。

お客さんが3つの箱のうち2つからカードを選び、その数の合計をマジシャンに伝えると、マジシャンは残り一つの箱を当てる。
(例えばAとCから1枚ずつカードを取り合計を言うと「Bの箱は選んでいない」と当てる)

このマジックが成立するようなカードの分配法を求めなさい。

解けました。

 マス北野並みのひらめきが働いたのか、分配法を見つけることができた。しかし相手はコマ大。何かある…

 コマ大の挑戦ではマジックとは縁の遠い(?)コマ大のために助っ人が登場。「東京大学 奇術愛好会」から3人の学生さんが来てくれた。愛好会の人がマジシャン役として問題の通りにカードを分配し、コマ大チームがお客さん役としてマジックを見ながらその分配法を見つけるという内容。はじめ当てられた時は「カードの山の厚みから分かるのでは」という難癖…いや、推理が出てきた。では外からカードが見えない状態でマジックをしてみたら、としたところやはり当てられる。その後枚数を少なくしたところ、何となく分配法が分かった模様。

 おそらく今回の問題は簡単だと思いますので、お先に解答を書いておきます。

分配法:3つの箱A,B,Cに順繰りに1,2,3…とカードを入れていけば問題のマジックができます。
 そんな簡単な方法でいいの?を思った皆さん。この分配法にはこんなカラクリがあります。この分配法でAの箱には3で割った余りが1の数,Bの箱には3で割った余りが2の数,Cの箱には3で割った余りが0(つまり3の倍数)に分けられます…ということは
  • AとBからカードを選ぶと、合計は必ず3の倍数になるので、3の倍数の入っているCが選ばれていない箱と分かる。
  • AとCからカードを選ぶと、合計は必ず3で割った余りが1になるので、3で割った余りが2(=3−1)となる数が入っているBが選ばれていない箱と分かる。
  • BとCからカードを選ぶと、合計は必ず3で割った余りが2になるので、3で割った余りが1(=3−2)となる数が入っているAが選ばれていない箱と分かる。

 いや〜〜久しぶりの正解。もう少し骨のある問題が良かったな…とのんきにテレビを見ていた。マス北野も私と同じようにひらめきで答えが見つかった模様。これには竹内先生も驚いた。一方、東大生組もしばらく考えて答えが出た模様。そこで戸部アナウンサーの実況。

まずは一つ答えを見つけた模様です。

…………??えっ??…………

他にも分配法があるの…

完全に終了していた私の思考回路を再び立ち上げるのにはあまりに時間が短かった。あっという間に時間終了。

 今回は実際に解答の分配法でマジックに挑戦してもらうことになった。
東大生チームは私の考えた分配法とは別に「1の位の3で割った余りで分配」という方法を考えたがマジックは失敗した。

分配法:
Aの箱には1の位が1,4,7の数字を入れる。
Bの箱には1の位が2,5,8の数字を入れる。
Cの箱には1の位が0,3,6,9の数字を入れる。
残り一つの箱の判定法は合計の1の位が入っている箱を選ぶ、という方法。
しかし、Aから1、Cから9を選んだ場合、和(10)の1の位は0となり「Cの箱」と答えてしまう。これは間違い。

痛恨のミスをした東大生チーム。さあ、マス北野の分配法はいかに…

分配法:
Aの箱には1を入れる。(つまり1枚だけ)
Bの箱には2から99までの数字を入れる。
Cの箱には100を入れる。(ここも1枚だけ)
2枚のカードを選んで合計が100以下ならCの箱、合計が101ならBの箱、合計が102以上ならAの箱が選ばれていない箱となる。

!!!!!!!!!!

 確かにこの方法でもできる。恐るべしマス北野。しかし衝撃はもう一つ…コマ大チームも同じ分配法を見つけていた。しかし「3で割った余り」による分配法は気が付かなかったらしい。

 正解は上に挙げた2通りの分配法で全てであった。もちろんコマ大フィールズ賞はマス北野チームに渡った。ん〜〜〜なぜもう一つの分配法を見つけられなかったのだろうか?すぐに問題を解いてしまったことが原因の一つだが、もう一つはマジックだから3つの箱には均等にカードが入っている、という固定観念があったからだと思う。例えて言えば「弱肉強食」と「焼肉定食」のようなものである(分かる人だけ分かってください)

 今回解説では先ほどの東京大学奇術愛好会の人達で別のトランプマジックを披露した。

一組のトランプからお客さんが5枚のカードを選ぶ。
その5枚のカードをマジシャンのアシスタントに渡す。
アシスタントは5枚のカードのうち4枚を1枚ずつマジシャンに渡す。
それを見てマジシャンは残り1枚のカードを当てる。

このマジックはアシスタントも重要な役割を担っていた…

しかし大失敗!!

このマジックの種は次の通り。

(1)5枚のうち少なくとも2枚は同じマークが入る。その2枚の数字をx、y(x<y)としたとき、(y−x)、(x−y+13)のうち一方は6以下になる。 最初に渡すカードは前者が6以下のときxのカード、後者が6以下の場合yのカードを渡す。
このときもう一方のカードが当てるカードになる(この時点で当てるカードのマークは分かる)

(2)当てるカード以外の残り3枚に次の条件で順序(強弱)をつける。

  • 数が大きいほど強いカードとする。
  • 同じ数のカードがある場合はあらかじめ決められたマークの順序で強弱を決める。
これによって3枚のカードは「弱いカード」「真ん中のカード」「強いカード」と強弱が決まる。

(3)この3枚のカードを渡す順番は全部で6通りある。渡す順番を(2)で決めた強弱による順序に置き換え、「1〜6」の数と対応させる(この対応もあらかじめ決められている)
 後は始めに渡したカードの数にその「1〜6」のいずれかの数を足せば(足して13を超えたときは13を引けば)残り1枚のカードが分かる。

番組で選ばれた5枚のカードは

クJ、ダ5、スJ、ス2、ク2

(「ク」はクラブ、「ダ」はダイヤ、「ス」はスペード)でした。
(1)クラブが2枚ありますのでどちらかを当てるカードにします。この場合「2−11+13=4」となりますので、「クJを渡してク2を当てる」という流れになります。

(2)残り3つのカードダ5、スJ、ス2について強弱の順序をつけると

スJ…強、ダ5…中、ス2…弱

となります。

(3)始めに「クJ」を渡して相手にクラブのカードであることを伝えた後「ダ5、スJ、ス2」と渡します。そうすると相手は「中、強、弱」の順番に渡されたため、これは「4」を表すことが分かります。後は「11+4−13=2」と頭の中で計算して「ク2(クラブの2)」と見事当てることができます。

 披露したマジックでは始めのカードは正しかったが、残り3枚のカードの出す順番を間違えて失敗してしまった。さすがの東大生もオロオロしていたけど番組としては面白かった…
 もう一つコマ大の挑戦で披露された「4枚のカードの表にした数字の合計をトランプで予言して当てる」というマジック。これの種はですね、始め選ぶトランプをですね、

モゴモゴモゴ…(奇術愛好会の人に口を押さえられる)


数学とクイズでくつろいで数学の部屋「コマ大数学科」に挑む「コマ大数学科」に挑む・08年12月


「もう一つのオイラー数(12/11)」

 「去年の今ごろはエミー賞で盛り上がっていましたね…」とタカさんのコメントで始まったコマ大。もうそんな時期なんですよね。エミー賞の最終候補に選ばれたという話が出てからコマ大の人気は上がりました。それに伴って内容も…何の進歩もありませんね。それがコマ大のいい所なのでしょう。

問題:それぞれ1から8までの数字が書かれた8枚のカードをシャッフルして、次の条件で順番に赤と青の箱に入れていく。

1枚目は赤の箱に入れる。
2枚目以降は
それまでで出たカードのいずれよりも大きい数字ならば赤の箱に入れる。
それ以外なら青の箱に入れる。

 全てのカードを入れ終えたとき、青にカードが1枚だけ入っている確率を求めよ。

 コマ大は控え室で問題の検証を開始。検証方法はシンプルに8枚のカードを問題の通りに赤と青に分けることを繰り返していく。いつものように確率が求まるだろう…と前向きな姿勢で検証を繰り返すコマ大。
 しかし、何度繰り返しても問題の「青の箱にカードが1枚」という状況が出てこない。ついには検証方法をめぐってダンカン部長と分裂、その後に仲直りというありきたりのシナリオで検証を再会。その際おなじみ歯医者の小林先生が登場。

だから歯医者の仕事は大丈夫なのか?

とにもかくにも解答は出たみたい。

 先週の問題の反省を踏まえて、今週はしっかりと考えることにした(何しろ先週は紙に「1,2,3」と書いただけで考えることを止めてしまったからな…)とりあえずはカードの枚数が少ない時から考えることにした。

カードが2枚のとき

カードの出る順番結果
1→2赤「12」青「  」
2→1赤「2 」青「1 」

カードが3枚のとき

カードの出る順番結果
1→2→3赤「123」青「   」
1→3→2赤「13 」青「2  」
2→1→3赤「23 」青「1  」
2→3→1赤「23 」青「1  」
3→1→2赤「3  」青「12 」
3→2→1赤「3  」青「21 」

 カードが2枚の時は2回のうち1回、3枚のときは6回のうち3回青の箱に1枚だけカードが入る。答えは「1/2」なのか?…いや、何かある。思い切ってカードが4枚の場合で調べたら24回中8回青の箱に1枚だけカードが入る。ということは「1/3」

 私が悩んでいるうちに東大生衛藤・伊藤ペアが早くも答えを出した。おなじみの秒殺である。それにやや遅れたもののマス北野組も答えを出した。私は 3枚で「1/2」、4枚で「1/3」ということから、8枚だと「1/7」という結論を出した。それにしてもコマ大が検証で青にカードが1枚しかない状況が出なかったのが疑問に思う。

 各組の答えは次の通りだった。

コマ大チーム0/20002000回検証したが1回もできなかった。
「未解決問題」と豪語。
マス北野・
ポヌチーム
1/20160「21345678」「23145678」
の2通りのみと考えた。
東大生チーム1/1440青の箱に入る1枚に注目して考えた。

 この解答を聞いているときに私は4枚の時の間違いに気が付いた。3組の答えを見ると確かに「1/7」は高すぎる。

正解…1/1440。東大生チーム正解!

 正解の求め方は以下の東大生の解説の通りであった。

 青の箱に1枚だけ入っているとき、そのカードは1〜7のいずれかである。さらに赤の箱に入った残り7枚のカードは小さい順に並んでいなければ赤の箱に入らない。
 例えば3が青の箱に入っているとき、残り7枚の順序は

1,2,4,5,6,7,8(3がどこに入るかは不明)

でなければいけない。3が1、2、4の前に並んでいれば、3は赤の箱に入ってしまう。一方3が4〜8のいずれかの後に並んでいれば、3は青の箱に入る。よって3が青の箱に入るようなカードの並びは5通りある。

 これを他の数字の場合で考えると1ならば7通り、2ならば6通り… 7ならば1通り、となる。つまり青の箱に1枚だけ入るカードの順番は

7+6+5+4+3+2+1=28通り

カードの並びは全部で8!=40320通りあるため、確率は

28/40320=1/1440

カードがn枚の時、条件を満たすカードの順番はn(n−1)/2通りあるため確率は

1/(n−2)!

となる。

 確率1/1440、ということは1500回やって1回ということ。コマ大の検証でそう簡単に出ないのも無理はありませんでした。今回のコマ大フィールズ賞は文句無し東大生チームとなった。私は4枚の時に間違えて数えてしまったため確率が高くなった。実際は6通りなので、4枚の時の確率は6/24=1/4。これは上の解説の計算と合致する。
 (この後オイラー数についての解説がありましたが、かなり端折られていました。これについては機会があれば解説します)

 話は変わってエミー賞の話。今年は候補に選ばれなかったようですね。もし今年最終候補に選ばれてニューヨークに行くことになったら、東大生は7人全員連れて行ったのでしょうか?それだったら

コマ大チームを連れて行ったら安上がりかも?


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「物理学Part2(12/18)」

 今年は4人もの日本人のノーベル賞の受賞者が出ました(南部氏はアメリカ国籍として)ということでコマ大も「物理学」の問題でした。

問題:正方形の土地が芝生と砂地に分かれている。

 芝生と砂地の幅の比は1:2。また芝生と砂地を進むときの速さは2:1である(つまり、砂地の速さは芝生の速さの半分になる)

 このときPからQまで最も早く到着するためにはどのような道のりを取ればよいか。

物理学か?

そんな疑問はさておいて、問題を解こう。

 コマ大は秋葉原にある鉄道模型の店にやってきた。久しぶりのしっかりとした(?)ロケである。店で電車の模型を借りて問題の通りに電車を進めて時間を計る…でもその前に楽しんじゃおう、とジオラマの線路に模型を走らせるコマ大。すっかり「鉄ちゃん予備軍」のように楽しんでいた。もう少し遊びたい…でもその前に問題を解いちゃおうと、問題を検証する。試行錯誤を繰り返した結果はいかに。

 私は「とりあえず式を書いて」と式を立ててみた。



この後は…

 「微分」という手も考えたが、途中であきらめた(正直に話すと、上の式のルートの前の「2」を始めのルートに付けていました。後で間違いを発見。) 何となく、で別の方法を考えてみた。

いい加減な考え方でごめんなさい。

 しかし、私にはこれが限界だった。マス北野、東大生も大体の解答はできているが説明で難儀していた。竹内先生がヒントとして「『こうがく』の授業で習った定理を使う」と話した。『こうがく』って「工学」?「光学」?実は図を見ながら「光の屈折みたいだな」と思った。定理のようなもののあったはず。

 そんな中のんびりとコマ大チームは鉄道のイラストを書いていった。それを見て戸部アナ「すばらしい路線図が出来上がっています」

すばらしいか?

 まあ、とにもかくにも答えが出揃った。

縦の線を1:2に分ける箇所まで進む。

今回は解答が全て同じになった。各組の解説は以下の通り

コマ大チーム検証の結果
マス北野・
ポヌチーム
マス北野は図を広げて考えた。ポヌさんは
「キュ〜リ(距離)」を計算して考えた
東大生チーム距離からの計算と屈折率の計算から答えを
出した。

 正解は全員の図の通りだった。しかし解説は、というと…


(「芝生と砂地」を「空気中と水中」と見た場合、正解の経路は光の屈折の関係に当たる)
「しかしこの計算法を0から導くのは難しい。そこで…」と竹内先生が見せたのがマス北野の解答。

砂地の部分を縦に2倍に広げて、
対角線に沿って進む道を考える。

芝生と砂地の境目と道(赤線)との交わった箇所から求める道のりが分かる。

この図を見て感嘆した竹内先生。今回はマス北野チームにコマ大フィールズ賞が渡った。もしかしたら私も同じ図を考えることができたかもしれない。しかし私だったら…

こんな図を描くかも…
(横に2倍に広げる)


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