数学とクイズでくつろいで数学の部屋「コマ大数学科」に挑む「コマ大数学科」に挑む・09年9月

「コマ大数学科」に挑む・09年9月

最終更新日2009年10月6日

フジテレビで深夜に放送されている「コマ大数学科」の問題に解く様子をご紹介します。数学をやってきたので簡単に解ける…と思ったものの…その奮闘振りをお楽しみに。なお、福岡での放送は二週間遅い模様です。そこら辺はご勘弁を。

「正八面体(9/3)」
「ボヤイ=ゲルヴィンの定理(9/10)」
「アポロニウスの円(9/17)」

ご意見がありましたらtfujisaki2006@yahoo.co.jpまでお願いします。


「正八面体(9/3)」

 今回はさっそく問題。

問題:正八面体の一つの面を水平な面に置いたとき、 真上から見るとどのような形に見えるか図で描きなさい。

 先週の私の希望通り「んんん〜〜〜???」となる問題が出ました。しかし…

んんん〜〜〜???こんな簡単でいいのか?

ということ。私は問題を書いた早々答えの図も描いた。何はともあれテレビの内容を。

 博多めんたいが好きな無法松率いる(?)コマ大チームの検証は「科学技術館」にて行われた。職員の丸山さんと共に白衣を着ているコマ大チーム。ここで「正八面体を作る」と聞いたときに「まさか」と思ったら予想が的中した

ミョウバンの結晶を作り始めた。

ミョウバンの結晶は正八面体の形をしていることは化学の資料で見たことがある。しかし、実際に作るところは見たことがない。まして化学のド素人(失礼しました)が作ってきれいな結晶ができるのだろうか。簡単に行われた作業の説明を
  1. 水の温度を上げながら、ミョウバンを少しずつ入れ溶け切れなくなるまで入れる。
  2. ミョウバンが溶けた溶液をろ過させる。
  3. ろ過しきれずに残った塊からミョウバンの結晶ができる。
 顕微鏡を通してみると小さな塊ができていた。しかし正八面体には程遠い形。丸山さんの話では「何回か繰り返すと正八面体の結晶ができる」とのこと。時間がなかったため、これ以降はダンカン部長がこつこつと結晶を作ることに。スタジオにはミョウバンの結晶が入ったビーカーがあった。果たして正八面体はできたのか、そして、上から見た形は?

 先週、先々週と驚異的な底力を見せたマス北野。今回もひらめきで…と思ったら紙を切り始めた。コマ大の苦労して作った正八面体を紙で一気に作ろうとした。さすがの竹内先生も唖然。時間内に作ることができるのか。一方東大生チーム木村・山田ペアはこつこつと計算を進める…と思ったら「くねくねダンス」を踊り始める。これまた唖然。

 今回も解答が揃いました。


全チームこんな形

私も同じ形を描いた。色は私が勝手に付けました。コマ大チームは顕微鏡で結晶を見た結果のため、角の所が欠けている。これは不正解になるのか?

 コマ大チームは正確さには欠けるが正解…ということで今回は全員正解となった。東大生チームはこの形の一辺の長さを求めていた。竹内先生も同じ解説をした。


(正八面体の一辺の長さを1とする。)
 正八面体を真ん中で切る。ピタゴラスの定理を使って計算すると断面は 底辺が1、残り2辺が√3/2の二等辺三角形をくっつけた菱形になる。

 問題の通り、一つの面を水平に置いたとき、この菱形の一辺を水平にした形になる。 このとき4つの頂点間の横の距離を計算すると、右下のような距離になる。
(この計算は2つの緑の直角三角形が相似であることを使う…とのこと)

このことから上から見た図は正6角形になり、上の面が正6角形の対角線で作られる 正3角形になる。

 今回は一辺の長さを求めた、ということで東大生チームにコマ大フィールズ賞が渡った。調べたところ7月の「ソロバン」以来の東大生チームのコマ大フィールズ賞である。
 今回の問題は東京大学の2008年の入試に出された問題。「こんな簡単な問題が入試に?」と思われた方も多いかもしれませんが、もちろんこの問題には続きがあります。こちらは問題としては面白いですが、解くとなると難しいです。ご覧になりたい方は

東京大学 http://www.u-tokyo.ac.jp/index_j.html から「東京大学入学案内→過去問」

と進んでください。なお、問題に挑んで頭が痛くなっても私は責任を負いません


数学とクイズでくつろいで数学の部屋「コマ大数学科」に挑む「コマ大数学科」に挑む・09年9月


「ボヤイ=ゲルヴィンの定理(9/10)」

 思えばこのコーナーを作ってから2年が過ぎた。最初は簡単な問題でも解けずに悔やんでいたが、最近は正解を出すことが多くなった。だからといって私の数学の力が上がったわけではない。単なる「慣れ」である。


問題:円に内接する5角形ABCDEがあります。以下の条件を満たすとき∠BCDと∠CDEの大きいほうの角の角度を求めなさい。

  • AB=BC,DE=EA
  • ∠BAE=105度
  • ∠BCDと∠CDEの角度の差は25度

今回も簡単に解けるな

と思いながら私は図を描いて補助線を引きながら計算を始めた。

 前回は見事なミョウバンの結晶を作ったコマ大チーム。今回は打って変わって体力勝負(?)。両国国技館の近くにあるとあるお店。そこには大相撲の土俵と同じ大きさの土俵がある。その土俵を使って問題の5角形を作ることに挑む。
 角度はどのようにして作るか?相撲の基本「股割り」で角度を作る。しかし平均年齢40歳前後のコマ大チームに股割りは無理だった。ということでゴムパッチンを使って5角形を作る。何度も顔面にゴムが当たりながらもどうにか正解の5角形を作り上げた。検証時間1時間20分。お疲れ様でした。

 さて、私の計算はどうなったかというと、どうも答えが出ない。私が進めた計算は以下の通り。


 ∠ABCと∠DEAの角度の差が25度と見て考える。 例えば ∠ABC=a度 とすると ∠DEA=(a+25)度 となる。

 ABCとDEAが共に二等辺三角形になることから2つの三角形の残り2つの角度がそれぞれ求まる。

 5角形の内角の和540度からこの2つの三角形の内角の和を引いて、ACDの内角の和を計算する…

これで「a度」が求まるかと思っていた。あとでゆっくり計算をしていったら、これでは答えが出ないことが分かった。テレビでは私が悩んでいる間にマス北野がさっと答えを導き、答えを書いていた。一方東大生チームもちょっと計算違いがあった模様でマス北野から一歩遅れて答えを出した。さすがの(?)私も今回はギブアップ。一歩どころか百歩二百歩も遅れていた。今回は全員答えが揃った。

コマ大チーム125度検証の結果
正直「よく答えが出せたな」と感心
東大生チーム125度対角線を引いて計算。
マス北野125度中心と各頂点を結んで計算

もちろん正解は「125度」今回の謎のテーマ「ボヤイ=ゲルヴィンの定理」の紹介の前に、東大生とマス北野はどのように計算したかをご紹介。

東大生の解法(下左の図):
 5角形の対角線を引く。「同じ長さの弦からの円周角は常に同じ」という性質から 黒丸の角度と赤丸の角度はそれぞれ等しい。このことから

黒丸+赤丸+(180−2×(黒丸+赤丸))=105
|黒丸−赤丸|=25…両端の縦棒は絶対値のこと。

これを計算すると(黒丸、赤丸)は(50、25)または(25,50)となる。 これから∠BCDと∠CDEは125度か100度になる。よって大きいほうの125度が答え。


マス北野の解法(上右の図):
 5角形の各頂点と円の頂点を結ぶ。このとき図の青と緑の三角形はそれぞれ合同な二等辺三角形である。このことから

∠ABC+∠DEA+∠EAB=3×(黒丸+赤丸)=315度

このことから∠BCD+∠CDE=540−315=225度となる。この式と∠BCDと∠CDEの差が25度であることから2つの角度が125度、100度であることが分かる。

言われればそうなんだよな…

と私のぼやきはさておいて、「ボヤイ=ゲルヴィンの定理」とは「2つの同じ面積の多角形があるとき、一方の多角形をいくつかの多角形に分けて組み合わせるともう一方の多角形を作ることができる」と一見単純そうで証明が難しい定理。このような「切って並べ替えて」という操作を行うと今回の問題は次のような解き方もできる。

 下の四角形BCDEを裏返して上の三角形ABEと合わせる。

 このときABEと合同な三角形(青と緑の三角形)が2つ作られるため、上の3つの角度が共に105度になる。
 これより残り2つの角(∠BCDと∠CDE)の角度の和は540−3×105=225度。
 この2つの角度の差が25度である条件から2つの角度が125度と100度であることが分かる。

 今回は全員正解だったが、やはり一番先に答えを出したマス北野にコマ大フィールズ賞が渡った。中学生でも解けるような問題を解けずに、茫然自失と解説を聞いていた私の頭の中には

言われればそうなんだよな…

という言葉が何回もよぎっていた。


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「アポロニウスの円(9/17)」

 東大生チームは4月からの新コンビ小橋・岡本ペアが登場。スタジオには岡本さんの母親と妹が見に来ていた。一方の小橋さんはこの夏の間にちょっとイメチェン(死語かな?)をした模様。茶色に染めていた髪を黒に戻していた。あまり話しにあがらないので参考までに…


問題:図のような3つの円に接する円が何種類あるか答えなさい。

ま〜〜、シンプルな問題。

 「アポロニウス」は古代ギリシアの数学者で円や接することについて色々調べていた。今回は「円」に「接する」という問題である。

 「叙々円」ならぬ「叙々苑」に行きたいコマ大チーム。今回は今や世界に情報を発信する街となった秋葉原にやってきた。秋葉原のとある建物の一部屋を借りて検証…だが、先客(?)があり。実はアイドルの写真撮影の会場の後で検証を行うため、アイドルのファンがすでに部屋の中にいた。たらいの底に問題の3つの円の図があり、スポイトで水を落とした波紋を撮影。うまく三つの円に接する円の波紋を撮影することを行った。場所はともかく検証は地味なのか凄いことなのか良く分からない。

 地道に波紋を作りながら検証を続けていた。一方撮影会は水着の撮影会に移った。それに魅かれたのはあろうことか妻子持ちのダンカン部長であった。 端からこそっと撮影を試みたところ、カメラのフィルムがなくなってしまった。現像に行っている間に撮影会も検証も終了。何はともあれ答えは…出たのかな?

 今回の問題ですが…

答えは8種類です。

唐突でごめんなさい。これは問題の三つの円に接する円が各円に外接するか内接するかで8通りの接し方があります。その8通りそれぞれに1つずつ円が決まります。理屈はともかく円を描くと次のようになります。


 竹内先生は「どのように作図をするかも考えて欲しい」とのこと。ただ…

作図は難しかったはず…

これは「3つの円の半径」と「3つの円の中心間の距離」を決めないと接する円の中心と半径は決まらないはず…一応3つの円の中心を結んだ三角形を書いたが、それ以降が全く何もできず。

 そんなテキトーな計算をしていた私とは違って、マス北野と東大生チームは真剣に計算をしていた。東大生チームは座標を取って計算、マス北野は定規で何本も線を引いていた。しかしやや諦めムードのマス北野であった。解答は次の通りであった。

コマ大チーム2種類3つの円の内側と外側に接する円
2通りの写真を撮った。
東大生チーム8種類座標を使って計算したが断念
マス北野8種類中心を結んだ線の垂直
二等分線を引いたところで断念

 もちろんですが…

正解…8種類。東大生、マス北野正解!

円の個数に対しては先ほど話したとおり、一つの円に対して外接するか内接するかで2通りあるため、3つの円の場合は2×2×2=8通りとなる。では肝心な作図はどうか…

 3つの円の半径と互いの距離が分かっているとき、座標を使って3つの円に接する円の中心の座標と半径を求めたところ、2次方程式を解かなければ行けない。これを8種類で計算をすると大変なことになる。「そこで…」と竹内先生が取り上げたのは「反転」を使った円の求め方である。テレビでは少し解説が足りなかった感じがしましたので、付け足しをして説明をします。


反転を使った計算法:
  • 3つの円の半径を大きくして、2つの円が接するようにする。
    ここでは3つの大きくした円をA,B,CとしてAとBが接するとする。
  • A,Bの接点を中心として新たな円(中心をRとする)を描く。半径(rとする)は自由。
  • この新しい円を使って次のように平面上の点を変換させる。

     点Rから平面上の点Pの距離を「r/(RとPとの距離)」倍した点を点Pの 変換した所とする。

    この操作を「反転」と呼ぶ。

  • この操作を行うと2つの円A,B(最初の問題の円とは異なることに注意)は平行な直線になる。また円Cは円になる
  • 平行な2直線と円に接する円Dを描く。これはちょっと簡単。
  • この円Dに先ほど行った「反転」を再度変換させる(タカさんの言うおいしそうな「再反転」)そうすると3つの円A,B,Cに接する円D’になる。
  • 円D’の半径を大きくすると最初の3つの円に接する円を描くことができる。

ん〜〜やっぱり説明が難しい。そこで反転について少しでもイメージしやすいように次のような解説をご紹介します。


 平面の上に半球状の鏡を置きます。

 真上から鏡をのぞいたとき鏡の外側の平面は全て鏡の中に映し出されます。鏡に映った点の位置が最初に決めた点を「反転」した点になります。

 反転は2回繰り返すと元に戻るため、鏡に映った箇所の点の反転した点は始めの平面上の点になります。

 今回のコマ大フィールズ賞は2チームが正解を出して、判定に困ったものの座標を使った計算をした、ということで東大生チームにコマ大フィールズ賞が渡った。私も今回は円の個数は求めたものの作図の方法までは考えることができなかった。ん〜〜今回は簡単だったのか、難しかったのか??数学は奥が深い。


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