数学とクイズでくつろいで数学の部屋「コマ大数学科」に挑む「コマ大数学科」に挑む・09年10月

「コマ大数学科」に挑む・09年10月

最終更新日2009年11月18日

フジテレビで深夜に放送されている「コマ大数学科」の問題に解く様子をご紹介します。数学をやってきたので簡単に解ける…と思ったものの…その奮闘振りをお楽しみに。なお、福岡での放送は二週間遅い模様です。そこら辺はご勘弁を。

「円すい(10/1)」
「コマ大プレイバック…アインシュタインに挑戦」
「サイコロ必勝法(10/21)」
「ポリアの壺(10/28)」

ご意見がありましたらtfujisaki2006@yahoo.co.jpまでお願いします。


「円すい(10/1)」

 「三次元空間内の直線Lとその上の点pを固定する…」とさすがの戸部アナも降参の長いコメントで始まった「円すい」の問題。ちなみに「すい」は漢字で書くと「錐」と書く。大工道具の「きり」と同じ漢字。ただ常用漢字でないため放送ではひらがなで書くことになっているみたい。そんな無駄話はさておいて、今回の問題


問題:直径4cm、母線(斜めの線)の長さ24cm の円すいのA地点から円すいにひもをぐるぐる5周巻いてAに戻ってくるまでの最短距離を求めなさい。
(点Aを通る母線を1回通過することを「1周」と数える)

多分あの方法で解けるはず

私はさっそく計算を始めた。

 東大生チーム、衛藤さんの18歳の彼氏(といっても馬ですが)の話で盛り上がりオープニングのネタがカットされたコマ大(机の上にボードがあったことを私は見逃さない!)とりあえず問題の寸法の円すいを探さなければいけない。各自よく分からない刑事の姿に扮して円すいを探した。工事現場で見かけるコーンやクラッカーなどを持ってきたが問題の寸法の円すいは見つからず。仕方なく、というか台本通り、いつもの粘土を使って問題の円すいを作り始めた…

 このあとはいつもの「コマ大方式」問題の通りにひもを5周巻いて、最短の距離を探した。各自、扮装の衣装のこともすっかり忘れて、答えを求めて何回もひもを巻いていく。ここで最短距離を見つけたのは(多分)渡哲也に扮したバンビーノ小林。ということで答えを見つけた模様。

 私も計算がほぼできました。


 まず、円すいの展開図を考える。側面は扇形になるが、その中心角をt度とすると

2×24×π×(t/360) = 4×π ⇒⇒⇒ t = 30

(左辺は扇形の弧の長さ、右辺は底面の円周の長さ)
 円すいの側面を1周するたびに 扇形の一方の半径からもう一方の半径に進むため、5周すると、側面を5つつなげた扇形の一方の半径からもう一方の半径に進む。このため問題の最短距離は扇形の両端の2点をつなぐ距離(赤線の長さ)となる。

「あとは上の図の赤線の部分の長さを求めれば…」と私は計算を続けた。テレビではマス北野、東大生チームが計算を始めた。東大生衛藤さんが「小数第何位まで答えれば」という質問に答えると同時に答えを書き始めた。

やっぱり「秒殺」が出たか

 最初にこの問題を見たときに、久しぶりの「秒殺」の解答が出る、と思っていた。それにしても

早い!

 一方のマス北野も答えの出し方はほぼ分かっていた模様で、紙に上の図を丁寧に書いていた。こちらも早く答えを出した。解答は次の通り。

コマ大チーム60cm検証の結果
頂点近くで3周する。
東大生チーム46.364cm扇形の図を描いて計算。
マス北野46.3644cm東大生と同じく図を描いて計算

 東大生チームとマス北野はほぼ同じ答え。あとで答えを出したマス北野がカンニングをして「同じ答えだ」とつぶやいたので値は違いますが、答えは同じようです。

 今回の問題は私の方法と同じく展開図を使った解き方で進めていく。で、肝心の図の赤線の長さの計算方法ですが、おそらく東大生、マス北野は三角関数を使って計算をした模様です(用意されている電卓にたくさんのボタンがあるため、関数電卓であることを私は見逃さない!)

 ここでは私が考えた計算方法をご紹介します。 

 今回、この問題に関してメールをいただきました。この方は別の解き方をしていましたので、この場を借りてご紹介します。

メールありがとうございます。今回の問題は三角関数も含め様々な解き方があると思います。皆さんも自分で新しい解き方を考えてみてください。

 今回のコマ大フィールズ賞は文句なし「秒殺シスターズ」に渡った。ここしばらく正解は出すもののコマ大フィールズ賞に届かないときもあるマス北野。脅威のひらめきはいつ出てくるのでしょうか。


数学とクイズでくつろいで数学の部屋「コマ大数学科」に挑む「コマ大数学科」に挑む・09年10月


「コマ大プレイバック…アインシュタインに挑戦」

 DVD「コマ大数学科・第2期」の始めの章のテーマは「アインシュタインに挑戦」アインシュタインがかつて新聞に載せた問題だそうです。

問題:右の図の四角の中に1〜9の数字をひとつずつ入れ、図の7つの三角形の頂点にある3つの数の和が等しくなるようにしなさい。
(赤の大きさの三角形4つと青の大きさの三角形3つ)

私もDVDを見ながら問題に挑んだ。この手の問題は解こうと思えば解ける。しかし問題は時間との戦い… TIME UPになるまでに解くことができるのだろうか。

 コマ大チームの挑戦は殺風景なスタジオで行われた。コマ大チーム4人にスタッフ5人を加えた9人が1から9の数字を担当して問題の条件に合うような並び方を見つけていく。とりあえず並んでみる。もちろん適当に並んで見つかるわけはなかった…と正面から大きなボールが転がってきた。正面の3人が見事にぶつかる。正解が見つかるまでボールは転がってくるらしい。

 問題が出されたときに「魔方陣はよく知っている」と話したマス北野、それに少し驚いた竹内先生。魔方陣は大きなヒントだろう。私もとりあえず魔方陣を書いたところふとひらめいた。

右の図のように9つの四角を3組に色分けする。各組に入る数字の和は等しい。

3組の数字は分かれているので1組に入る3つの数の和は

(1+2+…+9)/3
         =15

上の魔方陣の縦に並んだ3つの数字を青、茶、緑の組に振り分ければ答えが出る。

…DVDを見ながらいつになく鉛筆を進める私。

普段も鉛筆を進むことができれば良いが…

しかしあと一歩のところで答えができない。「TIME UP」の掛け声とほぼ同時に私は答えを出した。「何でDVDを止めて考えないの」とお思いの皆さん。止めない理由は

面倒なので

 3組とも数字の並びは違ったが条件を満たすように配置されていた。


コマ大チームはいつになく真剣な表情で考え、2時間かけて答えを出した。このときコマ大チームは様々な方法を取りながら答えを導き始めていた。
マス北野は答えは速くも答えを出していた。そのうえで「5通りの並べ方がある」と予想。
東大生チームは中央の小さい三角形に入る数字は「2,5,8」「4,5,6」と考えて答えを導いた。(ちなみにこのときの東大生チームは初代の木村・松江ペア)
私はあたふたしながらどうにか答えを出した。

 3組とも正解だった。コマ大フィールズ賞は配置の方法が何通りあるか考えたマス北野に渡った。当時はまだポヌさんもおらず、独りで問題に挑んでいたマス北野。

 実は解答を見ているときにあることに気が付きました。


左側の図のように別の色分けをしても各組に入る数字の和は等しい。

右図の色






青→
茶→
緑→

 魔方陣に対して上の2つの図の色の振り分け方にあわせて数字を入れていく。例えば右上の四角は左側では茶色、右側では青色のため、9を入れる。この方法で数字を入れていくと次のことが分かる。

横の列が大きい三角形の3つの数
縦の列が周囲3つの小さい三角形の3つの数
青で書かれて対角線の列が中央の小さい三角形の3つの数に並ぶ。

これで答えの数字の並びを作ることができる。

私の答えは上の説明の魔法陣に沿って作ることができる。他の組の解答も次の魔方陣で作ることができる。

コマ大チームマス北野東大生チーム

先ほど「魔方陣」と書いたが上の3つを見ると、縦、横の各3列と青で書いた対角線の1列の数字の和は15になるが、もう一つの対角線の和は15にならない。実は縦、横、一方の対角線の合計7列の和が15になるように並べることができれば答えを作ることができる。

 竹内先生の解説では合計7列の和が15になるような並び方が「24通り」と話していました。ここでは恐縮ですが補足を…

 3×3の魔方陣は上の並びのほかにもあるが、上の魔方陣を回転させたり左右の列を入れ替えることにより作られる。全部で8通りある。

左に90度
回転

←←←←←
左右の列を
入れ替える

→→→→→

 魔方陣の回転で4通り、回転した魔方陣の左右の列の入れ替えで2通り。 これによって4×2=8通り作られる。

これらの魔方陣に対して、縦の列、横の列をそれぞれ1つずつずらした並びを考える。この並びは縦、横の数字の和は15、対角線も右下がりの対角線(青の部分)の和も15だが右上がりの対角線は和が15にならない。しかしこの並びからも問題の配置の方法で答えを作ることができる。

上の列を下
に移す

→→→→→
左の列を右
に移す

→→→→→
これからは
作れない
これから作る
ことができる

 これにより8個の魔方陣それぞれから3通りの答えを作ることができるため全部で8×3=24通りの答えがあります。解説では縦、横、一方の対角線の7列の数字の合計が15になる数の並びとして24個作りました。では、これ以外に他の並び方があるのでしょうか?答えは「他にはありません」これはちょっと難しいですが証明できます。こちらは皆さんで証明を考えてみてください。

意地悪な私でごめんなさい。


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「サイコロ必勝法(10/21)」

 しばらくお休みの期間があったコマ大。再開第1弾のテーマは「サイコロ必勝法」…確かこの前に「150回記念」があったはず。後日放送になるのでしょうか?そんなかすかな願いをこめて今回の問題。

問題:サイコロの目を交互に90度ずつ転がして、出る目の和が13になったら勝ちというゲームの必勝法を考えなさい。
(ちなみに使うサイコロは向かい合う目の和が7になる一般的なサイコロとする)

…必勝法か……苦手だ…

と嘆いていても仕方がない。ともかく考えよう。

 秋といえば「アンジェラ・アキ」とナウいネタを出したコマ大チーム。今回はサイコロなだけに「川崎ダイス」…いやいや「川崎大師」で検証を行った。仲見世の人と対戦をしながら必勝法を導き出す。

 1回戦…飴屋の店主と対戦したがあえなく負け。そんなときに見つけたのが占いの店。コマ大チームの中で誰が勝負運が強いか占ってもらったところ、勝負運が最も強いのはダンカン部長、一方最悪な運の持ち主は無法松、という結果に。そこで無法松の一大決心!「無法松」改め「二本松」としてあっさり芸名を変えてしまった。これで運が上がったかどうかは定かではないが、サイコロ勝負を続け必勝法を手にした…かのように思えるコマ大チームである。

 必勝法はマス北野に有利か…と思われたが、サイコロを持ってじっと考え込む。竹内先生と実際に対戦したが残念ながら2連敗。必勝法は見つかるのか?一方東大生はサイコロの目の出方を紙に書いていく。私も(いつものように)じっと考えても何も思い浮かばないため、同じように紙に書いていった。

ここでふと目に止まったのは「5」で始めたとき。先手が「5」を出して、後手が「3,4,6」を出してもこちらは次に「和を13」にすることができる。問題は後手が「1」を出したとき。これもじっくり考えたところ…

先手が「5」…これが必勝法です。

各組の必勝法は次の通り。解答のあとに実際に竹内先生と対戦をしてみました。

マス北野相手が「5,6」で始める。
先手は「1〜4」で勝てる?
やや理不尽な必勝法。
試しに他の方法でしたら
勝った。
東大生チーム出した後に和が6になれば
良い
あやふやな解答だったためか
対戦すると負けてしまった。
コマ大チーム先手「4」で勝ち。検証の結果。
対戦でも勝った。

マス北野、東大生に対してコマ大チームはしっかりとした解答。しかも自信満々!!ひょっとしたらひょっとするかも…

正解…先手「4」、コマ大チーム正解!

 コマ大の必勝法は正に実践で習得したものだった。

マス北野が再三「自分が上だ」と主張したが、コマ大フィールズ賞はコマ大チームに渡った。川崎大師でいただいたダルマに目を入れたコマ大。万歳三唱。

 一応…私の「先手『5』」はどこで勝てないのか、というと後手が『4』(和は『9』)を選ぶ。そうすると次に先手は『4』を選ぶことができずにずるずると負けてしまうのである(詳しくは上の図を参照してください)もう一度ビデオを見返したときに気が付いたが、マス北野がこっそりと竹内先生と対戦したときに先手がマス北野のときはこの「先手『5』後手『4』」という手順をしていた。ちなみにこの後竹内先生が先手で行ったときは見事に「先手『4』」で始めていた。

やっぱり必勝法は苦手だ…

何はともあれ今回はコマ大チームに脱帽でした。


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「ポリアの壺(10/28)」

 放送が4年目に突入したコマ大。DVDを見ると初期の頃は問題に挑む3組をやや重々しい雰囲気で紹介するところから始まった。戸部アナのコメントもしっかりしていた。番組の流れは少々変わったが、スタジオも問題の難易度も変わらない。ただ、4年の内2年も見ているが未だに悪戦苦闘している私も変わっていない。それはともかく、今回の問題は京都大学の入試問題として出された問題をアレンジした問題、とのこと

問題:5個の白球と3個の赤球の入った壺から1個ずつ球を取り出し、以下の 条件のとき4回目に白球が出る確率を求めなさい。

条件:
白球が出る⇒その白球に新たに白球1個を加えて戻す
赤球が出る⇒その赤球に新たに赤球1個を加えて戻す

 毎回検証ロケで酷使されているコマ大チームに朗報が来た。今回は慰安旅行で温泉に行ける!!向かった先は都内の「蒲田温泉」この温泉場をお借りして検証を行った。この温泉の特徴はお湯が黒いこと。そこで湯船の中に問題の5個の白球と3個の赤球を入れて問題の通りに球を取り出していく。4人ゆったりと湯船につかりながら、のんびりと検証を続けた…
 …とうまくいくわけがない。検証の回数が進むと、すっかりのぼせてしまった。温泉から上がってコーヒー牛乳をゴクリ、そしてその後は宴会場で一杯(といってもこれもコーヒー牛乳)…しかしこれらも検証の一環で牛乳瓶やお猪口の底に赤、白の印があり 検証の回数を増やすために飲まなければいけない。思う存分お風呂につかり、飲み干した結果、確率はどうなったのでしょうか?

 私は確率の問題は苦手だが、今回の問題は何となく解けそうな気がした。とにかく図を描いて考えた。

青の四角の中の数字は白球(黒)と赤球(赤)の個数
四角の間の矢印の数字は矢印の先の状態になる確率。例えば「5,3」から「5,4」になる確率は「3/8」ということ。
一番下の矢印の数字は白球を引く確率

一番上から一番下の矢印まで途中通る確率の値をかけて、それらを全て足せば答えの(4回目に白球を出す)確率が求まる。

…ややこしい…

しかし、これを一つ一つ解かなければ答えが出ない。

答えは「5/8」、これで間違いない

…えっ??…

確率が「5/8」ということは「1回目に白球が出る確率と同じ」ということなのか?試しに「2回目に白球が出る確率」を計算してみた。

あら、やっぱり同じだ、と感心している間に時間終了。今回の東大生チームは前回久々の「秒殺」を見せた「秒殺シスターズ」衛藤・伊藤ペア。最近はまっているものとして、衛藤さんは寒天にいろいろなものをかけて食べる寒天パーティー。伊藤さんは「スラムダンク」の流川楓にはまっている。この人ホントにバスケットが好きなんだなあ。ちなみに漫画に疎い私、スラムダンクで知っている登場人物は主人公の桜木花道のみです(どんな風貌かは全く知りません)

 さて、各組の解答は次の通りになりました。

コマ大チーム61/100検証の結果。
100回中61回
マス北野13/22場合分けをしたが
計算で混乱してしまった
東大生チーム5/8こちらも場合分けを
して、しっかり計算

 東大生チームと同じ解答であることに思わずガッツポーズをとる私…はさておいて正解です。

正解…5/8、東大生チーム正解!

 今回は見事東大生チームが正解を出したが

5/8    = 0.625
61/100 = 0.61
13/22  ≒ 0.591

と偶然、3組とも僅差の答えを出していた。私が驚いたように「白球を出す」確率は何回目でも「5/8」となる。一般に「白球の数」「赤球の数」「加える数」を一定にした場合、「白球を出す」確率は何回目でも一定になる。

a個の白球とb個の赤球の入った壺から1個ずつ球を取り出し

条件:
白球が出る⇒その白球に新たに白球c個を加えて戻す
赤球が出る⇒その赤球に新たに赤球c個を加えて戻す

ということを行う。このとき1回目に白球が出る確率は a/(a+b) 2回目に白球が出る確率を計算すると

やはり確率は a/(a+b) になる。

 問題の計算で使った図を3回目以降の流れに注目する(1回目、2回目の流れは省略)

上の計算式を左図の水色の四角の中で考えると「7,3」から2回目に白球を引く確率は「7,3」から1回目に白球を引く確率と同じになる。

これを他のところにも使うと右図の流れの確率と同じになる。これは「3回目に白球を出す確率」を計算するときの図になるつまり

「4回目に白球を出す確率」=「3回目に白球を出す確率」

となる。上の式の変形を繰り返すと

「4回目に白球を出す確率」=「3回目に白球を出す確率」
             =「2回目に白球を出す確率」
             =「1回目に白球を出す確率」

となって、答えは「1回目に白球を出す確率」の「5/8」となる。

今回のテーマに登場する「ポリア」とはハンガリーの数学者で確率や組み合わせ論などで功績を残した人である。今回のコマ大フィールズ賞は「秒殺」とまでは行かなかったが正解を導いた東大生チームに渡った。最初に書いたようにこの番組を見て2年が経つが、つくづく思う

数学のこと、あまり知らないな…

今回の問題のからくり位は知っておくべきなんだけどなあ…


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