数学とクイズでくつろいで数学の部屋「コマ大数学科」に挑む「コマ大数学科」に挑む・09年11月

「コマ大数学科」に挑む・09年11月

最終更新日2009年12月2日

フジテレビで深夜に放送されている「コマ大数学科」の問題に解く様子をご紹介します。数学をやってきたので簡単に解ける…と思ったものの…その奮闘振りをお楽しみに。なお、福岡での放送は二週間遅い模様です。そこら辺はご勘弁を。

「交点(11/4)」
「ファレイ数列(11/11)」
「お見合い問題(11/18)」
「ダイアゴナル(11/25)」

ご意見がありましたらtfujisaki2006@yahoo.co.jpまでお願いします。


「交点(11/4)」

 この回の放送日は10月21日。この日はWBCの立役者、大リーガーイチロー選手の誕生日。ということで出演者にとっての『天才』を尋ねてみた。
 東大生チーム、岡本さんが答えた『天才』は将棋の羽生良治名人…

渋!

一方、小橋さんが答えた『天才』は、マージャンをやり始めたということで雀士の桜井章一さん…

渋!…というか何と言うか…

マス北野が答えた『天才』はフォンノイマン、アインシュタイン、そして長嶋茂雄。人それぞれ『天才』の取り方は違いますね。

問題:立方体の箱に100本の輪ゴムをかけるとき、交点は最も多くて何個できるでしょうか。

ただし、輪ゴムは立方体の辺に直角に交わり、向きが同じ輪ゴムは重ならないものとする。

 先週、蒲田の温泉でゆったりくつろいだコマ大チーム。今回はゴムつながりで蒲田にある「タイヤ公園」にやってきた。立方体の箱に実際に輪ゴムを100本かけて交点を数える。ここで登場したのはコマ大のAD。現在付き合っている彼女がいるが、先輩に誘われて夜のお店に行くことが多くなった。そこで店でもらった名刺を箱に入れて輪ゴムで封印して欲しいというお願い。よく分からないが、早速輪ゴムをかけ始める。

 輪ゴム100本をかけるのは意外と時間がかかるようで、交代で作業を行い、残りはタイヤ公園で遊んだ。1時間半後どうにか箱に輪ゴムが100本かけることができた。で、肝心の「交点の数」はADに数えさせてコマ大チームはとっとと帰ってしまった。 交点は数え切れたのでしょうか??

 竹内先生によると「簡単なのですぐに答えが出るのかも?」ということ。その予想通り、東大生チームは早々と答えを出した。マス北野も答えが計算が進んでいる様子。私も同じように計算が着々と進んでいる。

 上の式の括弧の中の2つの式が小さいほど元の式の値が大きくなる。b, a とも 整数であることを考えると。2つの式が小さくなるのは、

a=33, b=34

のときになる。これより c=33 となる。この3つの値を最初の式に代入すると求める交点の最大値は 6600 個となる。

この問題を見たとき、おそらく3方向に均等に輪ゴムをかけると交点が多くなる、と予想したがその通りであった。

 各組の解答は次の通りになりました。

コマ大チーム4200個検証の結果。おそらく30本と
70本の2方向にかけていた。
東大生チーム6600個式を作って計算
しかし後で間違いに気付く。
マス北野6666個東大生と同じ計算法
後は力づくの計算、とのこと

しっかりと計算をした東大生と同じ答えで喜んだ私。しかし「間違っている」と気が付いた東大生の話から私の間違いにも気が付いた(きちんと計算すると分かります)これを「ぬか喜び」というんです。

正解…6666個、マス北野正解!!

 私も東大生も簡単な計算ミスで最後の最後に間違えてしまった。このあとの「ちょっといい話」は交点の話ではなく、ゴムの話になった。よほど話題がなかったんでしょうね。そしてコマ大フィールズ賞は文句なしでマス北野に渡った。

 放送を見た後、交点が最大になるかけ方の証明を考えてみた。いくつか思いついたがここでは帰納法を使った方法を御紹介します。

 何本か輪ゴムがかかっている状態で新たに1本輪ゴムをかけて、交点を一番多く増えるときは…

加える輪ゴムと交わる輪ゴムの数が一番多いとき

逆に考えると

加える輪ゴムと交わらない輪ゴムの数が一番少ないとき

  • 3方向に同じ本数だけ輪ゴムがかかっているとき
    このときはどの方向にかけても交点の数は変わらない。 (左の図)
  • 1方向が残り2方向より1本だけ多く輪ゴムがかかっているとき
    交点が少なくなる方向は1本少ない2方向のいずれかになる。どちらかに輪ゴムをかける。 (中央の図)
  • 2方向が残り1方向より1本だけ多く輪ゴムがかかっているとき
    交点が少なくなる方向は1本少ない1方向になる。その1方向にかける (右の図)

他にも答えを求める方法があると思います…何?

計算法をたくさん思いつくなら、正解を出せ

…確かにその通りです。


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「ファレイ数列(11/11)」

 今回の放送日はハロウィンが行われている、ということから様々なお祭の話から番組が始まった。正直ハロウィンがこんなに一般に広まるとは思わなかった。ところで「ハロウィン」って何のお祭だっけ?そんな私の疑問は置いといて今回の問題。

問題:ある線分の2等分点、3等分点、4等分点と順に新しい等分点にだけ印をつけていきます。15等分点に印を付けたとき、新たに増える印の数を答えなさい。

上の図では4等分点まで印をつけたところ。4等分点のうち一つは2等分点ですでに印があるため、新たに付けるのは2点のみ

あっ、あの数列のことか。

先週の予告で「ファレイ数列」と書かれてあった。どんな数列かな?と悩んでいたが、この問題を見て思い出した。どんな数列かは後ほど。

 コマ大の検証は先週、先々週と続き、蒲田で行われた。この商店街で毎年行われた「ハロウィン祭」が今年はインフルエンザの影響で中止。ということでコマ大が少しでもハロウィンで盛り上げたいと立ち上がった…
 問題の線分に見立てた発泡スチロールのブロックの列に2等分点、3等分点…と印をつけていく。印にはハロウィンのかぼちゃのイラストや、蒲田の名物「羽付き餃子」の写真などが使われた。一つ一つ印をつけていき、最後の15等分点も終了。答えも出た模様である。というわけで、蒲田の人が一切出演しなかった3週間のロケであった。

 今回の問題。いきなり東大生チームが答えを出した。

やっぱり

マス北野も東大生チームまでは行かないものの早くも答えを出した。かく言う私もコマ大の検証を見ながら答えを出していた。「何か引っ掛けがあるのかな?」と思ったがストレートに答えを出した。

もう少し難しい問題お願いしますよ

 各組の解答は次の通り。

コマ大チーム8個検証の結果
東大生チーム8個計算の結果
マス北野8個計算の結果

正解…8個、全員正解!!

 今回の問題のポイントは印をつける位置を分数と見るところである。

線分の長さを1とすると15等分点の各点の間の長さは 1/15 となる。 線分の左端から各等分点の間の長さは

1/152/153/15=1/54/155/15=1/3
6/15=2/57/158/159/15=3/510/15=2/3
11/1512/15=4/513/1514/15

このうち赤で書かれている2個は3等分点としてすでに印がつけられている。同じく 青で書かれている4個は5等分点としてすでに印がつけられている。つまり新しく印をつける点は14−2−4=8個である。

 このあとの解説ではテーマである「ファレイ数列」の話があった。この数列は次のように作られる。

2以上の自然数 n に対して、0以上1以下で分母が n の既約分数(それ以上約分できない分数)を小さい順に並べる(ただし 0=0/1, 1=1/1 も加える)n が2から6までの時の数列を作ると次のようになる。

0/11/21/1
0/11/31/22/31/1
0/11/41/31/22/33/41/1
0/11/51/41/32/51/23/52/33/44/51/1
0/11/61/51/41/32/51/23/52/33/44/55/61/1

この各数列を「ファレイ数列」と呼ぶ。

ファレイ数列の性質、その1:
a/b と c/d がこの順序で隣り合って並んでいるとき、bc-ad = 1 が成り立つ。
例:3/5 と 2/3 が隣りあっている、このとき 5*2-3*3 = 10-9 = 1 となる。

ファレイ数列の性質、その2:
a/b, c/d, e/f がこの順序で隣り合って並んでいるとき、c/d = (a+e)/(b+f) が成り立つ。
例:2/3, 3/4, 4/5 がこの順序で隣り合っている、このとき (2+4)/(3+5) = 6/8 = 3/4 が成り立つ。

 今回のコマ大フィールズ賞は速さで勝った東大生チームに渡った。私も先週は計算違いをしたが、今回はしっかりと確かめて答えを出した。やっぱり計算はしっかりしないといけませんね…


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「お見合い問題(11/18)」

 今回の問題は「お見合い問題」ということで、ノリノリなのは未だ独身の戸部アナ。一方「お見合い」といってもピンと来ないのは東大生、衛藤・伊藤ペア。これが木村さんだったらノリノリだったかも…

問題:7人の男性と1人ずつ順番にお見合いをします。女性はお見合いの場で男性と交際する断るかを決めてください。
 いったん交際を決めたらそれ以降のお見合いはなくなります。また、交際を決めた後、他の相手に変更することもできません。

 一番良い男性と交際する確率を最大にするためにはどのような戦略をとれば良いのでしょうか。

 実は今回の問題は鳩山由紀夫首相が論文としてまとめたテーマである。

 コマ大チームの検証は実際にお見合いをしてみよう。ということで女性2人を呼んで、7人の男性とお見合いを行った。1人が4人目の構成作家と交際を決めた。もう1人が6人目の男性を選んだところで、すでに相手を決めた一人目が乗換え(?)を希望。しかしこれはルール違反。かくして一応2組のカップルが決定。このあと実際は誰が一番だったかを聞いたところ、コマ大チームは意外な戦略を見つけたみたい。

 この問題を見てマス北野は一言「これは『ナンパ問題』だな」と宣戦布告。これはマス北野には有利か?さらにマス北野には助っ人ポヌ・ジョシアヌが帰ってきた。約半年振りのマス・ポヌペアである。

 実は私もこの種類の問題は聞いたことがある。たしか答えはこんな感じだったはず。

1,2人目見過ごす(2人とも断る)
3,4人目初めの2人より上ならば
交際する
5,6人目初めの4人より1番上、または
2番目ならば交際する
7人目交際する

でも「2番目の人と交際する」ということは「一番良い男性と交際する」という問題の意図には合わない。どうしたらいいのか??そこでこのように考えた。

1,2人目見過ごす(2人とも断る)
3,4,5人目初めの2人より上ならば
交際する
6,7人目交際する

たぶんこんな感じかな…と全く数学的な計算もないまま私は結論を出した。

 さあ、ポヌさんが帰ってきて、マス北野のひらめきは更に増したのか?各組の解答は次の通り。

コマ大チーム1番目の人と交際検証の結果。
女性2人の解答が一致した。
東大生チーム1番目より上の人がいれば
交際する。
7人の男性に順位をつけ
期待値を計算
マス北野
ポヌペア
3番目以降、上位の人が
いれば交際(詳しくは下を)
こちらは確率の計算と
マス北野の記憶から

マス北野の解答(詳細)
1,2人目2人とも断る
3人目前の2人より上ならば
交際する
4人目前の3人と比べ上位2番
までなら交際する
5人目前の4人と比べ上位3番
までなら交際する
6人目前の5人と比べ上位4番
までなら交際する
7人目交際する

半ば勘で答えを出した私にとってはどれも正解のように感じる。それにしてもコマ大の「1番目の人と交際」はちょっと軽率すぎるかも。

正解の戦略…次の通り

1,2人目見過ごす(2人とも断る)
3,4,5,6人目初めの2人より上ならば
交際する
7人目交際する

……どうしよう……

私の答えが一番近い

私のことはさておいて解説を。次のような戦略で交際する相手を決める。 問題は「データとする男性の人数」である。人数を変えながら、一番良い相手に交際を求めることができる確率を求める。

一番良い男性をAさんとする。 データとなる人数を(s−1)人とし、残りのs番目以降中から交際する相手を決める。
  • Aさんが1番目、2番目、…、7番目に出てくる確率はそれぞれ1/7と等しい。
  • Aさんがs−1番目までに現れたら、データとして断るため交際することはない。そのためこのときの確率は0になる。
  • Aさんがs番目以降(例えばk番目)に現れるとき、k−1番目までに現れる男性の中で一番良い男性(例えばBさん)がいつ現れるかを考える。
    • Bさんがデータの中に入れば、Bさんより良い男性で最初に現れるのはAさんになるため、見事Aさんと交際することができる。
       こうなる確率は(s−1)/(k−1)になる。
    • Bさんがデータの中に入らなければ、データを取った後、AさんよりBさんが先に現れるため、良くてもBさんと交際することになる(Bさんより前にデータより上の男性が現れるとその人と交際する)少なくともAさんと交際することはない…というよりか会うこともない。

以上よりAさんと交際する確率は

となる。

 データの人数が少ないとAさんより良くない男性と交際する確率が高くなる。一方データの人数が多すぎるとAさんがデータに入る確率が高くなる。程よい人数でなければいけないが、計算すると次のようになる(これはテレビの板書を見て書きました。手抜きでごめんなさい)

確率
7/20(=0.35)
29/70(=約0.414)
57/140(=約0.407)
37/105(=約0.352)
11/42(=約0.262)

ということで「s=3」つまり初めの2人は断り3番目以降で2人より良い男性がいれば交際する、という方法が確率が良いことが分かる。(ちなみにs=1、7のときは確率は1/7となる。つまり「一発勝負」型や「残り物に福がある」型はあまり確率は高くないということである)ちなみに人数が多くなるとこの方法で相手を探すと36.8%の確率で最良の相手と出会う、ということ。この確率、高いのか低いのか…ま、あくまで理論上ですからね。

 今回はぴったしの解答をした人はいなかったが答えが近いこととポヌさん復帰記念ということでマス・ポヌペアにコマ大フィールズ賞が渡った。今回の問題を見ながらふと思った。

お見合い…してみようかな…

もし良い相手がおられましたらご連絡ください。


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「ダイアゴナル(11/25)」

 今回のテーマ「ダイアゴナル」とは「対角線」という意味。対角線を使った問題、どんな問題でしょうか。早速問題を

問題:1辺の長さ1の正方形のタイル800枚を隙間なく並べて縦25、横32の長方形を作ります。
 この長方形の対角線1本が通過するタイルの枚数を求めなさい。

これね、簡単な計算方法があるんですよ…
…どんなんだったけな?

思い出すのが先か、地道に計算をして答えを出すのが先か…とりあえず小さい長方形を作って考えよう。

 たけし軍団への「就活」ならぬ「弟子入り」の話をしていたコマ大チーム。今回は久しぶりにスタジオの屋上で検証を行った。検証は正方形の折り紙を問題の通りに並べて対角線を通る折り紙の枚数を数える、といういわば「コマ大方式」の検証。しかし、検証の日は台風が通過している日だったため、正に悪天候。折り紙を並べられないため検証を中断する場面もあったが、どうにか折り紙を並べ終え、答えも出すことができたようである。

 今回の問題、真っ先に答えを出したのはマス北野であった。久しぶりの「閃き」と復活の「ポヌパワー(?)」なのか。一方少し遅れて東大生チームも答えを出した。私はあれからも

…どんなんだったけな?

と計算方法を思い出していた。とりあえずコマ大よりも無理やりに答えを出した。

上の図は縦4、横7の場合。縦の線それぞれについて下の辺から対角線までの長さを測ると図のように4/7ずつ増える。この長さが1、2…を超えるたびに一つ上の列に移動するため、対角線が縦に二枚の正方形を通過することが分かる。

 問題では下の辺から対角線までの長さは25/32ずつ増えている。これを上の例と同じように考えると

1列目25/321枚通過
2列目50/32>12枚通過
3列目75/32>22枚通過
4列目100/32>32枚通過
5列目125/32>31枚通過
6列目150/32>42枚通過
7列目175/32>52枚通過
8列目200/32>62枚通過

このまま「1,2,2,2…」と通過する枚数が増えると…28枚ぐらいかな?

時間ギリギリになったので半ば勘で答えを出した。各組の答えは次の通りになった。

コマ大チーム56枚検証の結果。折り紙を貼り
富士山の絵を描いた
東大生チーム56枚縦の枚数+横の枚数−1
という法則を見つけた。
マス北野
ポヌペア
56枚東大生と同じく
縦の枚数+横の枚数−1の計算から

あ!間違えた!

私の考え方は間違っていなかったが、計算を半分の地点で終えてしまった。皆さんは私の「うっかりミス」にはもう慣れてしまったのでしょうか…

と言うわけで、正解…56枚、全員正解

この問題の答えの出し方は東大生やマスが話したとおり「縦の枚数+横の枚数−1」で答えを出すことができる。2組はいくつかの例から答えを出したが次のように証明することができる。

 対角線が縦、横の線を通過する回数を考える。1回通過するたびに新しい正方形に移るため、通過する正方形の枚数は「通過する縦、横の線+1」となる。

 上の図の「縦4、横7」や問題の「縦25、横32」の場合、縦と横の枚数の最大公約数が1であるため、対角線が通過する回数は

(縦の列−1)+(横の列−1)=縦の列+横の列−2

となる。このため通過する正方形の枚数は

(縦の列+横の列−2)+1=縦の列+横の列−1

となる。また「縦4、横6」のように縦と横の枚数の最大公約数が2以上であるとき も含めて、通過する正方形の枚数は

縦の列+横の列−最大公約数

となる。

上の図は「縦4、横6」のとき。このとき通過する正方形の数は 4+6−2=8となる。

 今回のコマ大フィールズ賞は一番早く正解を出したマス北野・ポヌチームに渡った。ポヌさんが帰ってきてひらめきが戻ってきたか。私は不正解でしたが考え方は正しかったんです…一応。余りの不甲斐なさで字を大きくするのも恥ずかしい…


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