数学とクイズでくつろいで数学の部屋「コマ大数学科」に挑む「コマ大数学科」に挑む・10年1月

「コマ大数学科」に挑む・10年1月

最終更新日2009年2月16日

フジテレビで深夜に放送されている「コマ大数学科」の問題に解く様子をご紹介します。数学をやってきたので簡単に解ける…と思ったものの…その奮闘振りをお楽しみに。なお、福岡での放送は二週間遅い模様です。そこら辺はご勘弁を。

「コマ大プレイバック…畳・その1(2009/2)」
「コマ大プレイバック…畳・その2(2009/2)」
「タワー(1/13)」
「ラストナンバー(1/20)」
「16マス(1/27)」

ご意見がありましたらtfujisaki2006@yahoo.co.jpまでお願いします。


「コマ大プレイバック…畳・その1(2009/2)」

 今回はコマ大プレイバック。昨年2月の「畳」がテーマの放送。

問題:上の図のような4×5の十畳分の部屋に畳を10枚敷き詰める方法は何通りあるでしょう。(上下、左右にひっくり返すことで変わる敷き詰め方は別の敷き詰め方とします)

いくつか場合分けをしながら数えていくと答えは「95通り」です。

 解説では一般にm×nの部屋に畳を敷き詰める方法が何通りあるかの式が紹介されていました。

m×nの部屋に畳を敷き詰める方法は

通りある。

と書いたものの、式の意味が分からない方も多いと思います。今回はこの式の解説をしていきたいと思います。なるべく難しい言葉を使わないように書いていくつもりですが、分からなかったらごめんなさい。

 式の先頭の「2^(mn/2)」は分かると思います。「2をmn/2回掛ける」という意味です。問題は次の2つの記号…というか何と言うか良く分からないもの


 先頭の鳥居のような記号は円周率で使われる「π(パイ)」の大文字です。この記号の意味は次の通りです。

 つまり公式ではm×n回掛け算をするわけです。結構大変です。

では何を掛け算をしていくかというと


「1/4乗」とは「4乗根(雑な言い方をするとルートのルート)」のことです。 さて、後は「cos(jπ/m+1)」の部分です。これは次のようなものです。

座標平面で中心が原点、半径が1の円の上半分の半円を作る。

この半円の弧の部分を (m+1) 等分にして、等分に区切る点を右端から 「1,2…」と番号をつける。

このときj番目の点のx座標を「cos(jπ/m+1)」 と表す。

同じようにして半円を (n+1) 等分する点の k 番目の点のx座標は「cos(kπ/n+1)」と表されることになります。

 以上で式の中の謎の(?)記号の説明は終りです。これから、この式を使って実際に問題の畳に敷き方が95通りになるか計算してみます。


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「コマ大プレイバック…畳・その2(2009/2)」

 では先ほどの説明を元に問題の畳の敷き方が本当に95通りになるか計算をしていきます。今回の問題では「4×5の部屋」に畳を敷くわけですから「m=4、n=5」ということです。この値を式に代入すると。


先頭の数は「4×5/2=10」から「2^10」となります。大変なところはこの後の掛け算の部分です。これはつまり


ということです。20個の数を一つ一つ計算して掛けていく…と大変ですが、工夫すると少し簡単な計算で済みます。まずは「cos(…)」の部分を求めてみます。


cos(1×π/6), cos(2×π/6) … の値は正三角形の性質を使うと計算できますが、 cos(1×π/5), cos(2×π/5) … の値はちょっと複雑な計算が必要です。今回はここの所は省略。
 この値を見ると、それぞれ赤枠、青枠で囲んだ値はプラスとマイナスが逆になった関係になっています。公式では「cos(…) の2乗」を使うため、この2つは2乗すると同じ値になります。

このことを使って同じ値になるものを表にまとめると次のようになります。

j \ k


この表を使ってAからFまでの値それぞれの「1/4乗」を表に現れている回数だけ掛け合わせていけばよいのです。
 ここでもう一工夫です。答えの式では「1/4乗」を計算しなければいけません。しかし表を見るとAは4回ずつ現れています。ということは

「Aの1/4乗」の4乗=A

が成り立ちます。同じようにB,C,Dも表の中に4回ずつ現れていますので、Aと同じことが成り立ちます。一方E,Fについては表の中に2回ずつ現れています。このときは

「Eの1/4乗」の2乗=Eの1/2乗(つまり√E)

となります。以上のことから式をまとめていくと。


最後の結果の分母を見ると「16×16×4」これはちょうど公式の先頭にある「2^10」になります。というわけで計算結果は「95」となります。

 今回は具体的な数を当てはめて計算をしていきました。しかし実際は具体的な数を使わなくても計算することもできます(ただ、その計算法はややこしいですが)今回なるべく難しい内容を避けて(一応中学生でも意味が分かる程度で)解説をしていたつもりです。これでも分からないという皆さんは何回も読み返し、計算をしていただくと理解できると思います。新年も始まったばかりですので

一年かけて理解してみてください。


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「タワー(1/13)」

 新年になったものの福岡ではいつものように12月の放送をするコマ大。今回の東大生チームは木村・山田ペア…ん??…このペア、前回と同じだ。そんなテレビの都合はさておいて、今回の問題。

問題:互いに見ることのできるABCD四つの塔がある。
BからAまでの距離はBからCおよびDの距離に等しく、
AからCおよびDまでの距離はDからBまでの距離に等しい。
DはAの東に位置し、
Cは少なくとも一つの塔より北に位置している。

BはAから見てどの方向に位置するか答えなさい。

 コマ大の検証は、とあるお宅のクリスマスパーティーを盛り上げながら検証を進める。訪れたのはコマ大チーム「お宮の松」の実際のお宅。お宮の松は検証が来ることを知らされておらず、まさにサプライズ。

 問題を解くために部屋を一室借り、塔の代わりにクリスマスツリーを使った。お宮の松の子供はたくさんのクリスマスツリーに大喜び。しかし問題を解くには邪魔。そんなこんなで距離の関係は分かったものの方角がまだ分からない。狭い部屋で男四人が少しずつクリスマスツリーを動かしながら答えの位置関係にすることができた。

 今回もいつものように…

すぐに解いてしまいました。

ポヌさんが帰ってきて調子が戻ってきたマス北野。得意な図形の問題だが今回はちょっと苦戦。一方早くも解き終えたのは東大生チーム。竹内先生に質問を投げかける。

木村さん:「正確に何度(方角の角度)まで答えを出さなければいけませんか?」
竹内先生:「何度まで答えを出すことができて100点とします」

その答えを聞いて方程式を作り答えを出そうとする東大生チーム。時間までに間に合うのか?各組の解答は次の通り

コマ大チーム
マス・ポヌペア南東?
東大生チーム東北方向

あれ??私の答えと全く違う??

私の答え(東から北に60度の方向)

私は何を間違えたのだろうか??問題文の書き間違いなのだろう、これは私のケアレスミス。情けない…

正解

 3組とも4つの塔の位置関係は正しかったが、方角まである程度の位置を定めていた、ということでコマ大チーム、東大生チームは正解となった。解説の前に私が何を間違えていたのか?実は問題文の意味を取り違えていたのだった。

…BからAまでの距離はBからCおよびDの距離に等しく…

この文の意味を「BA=BC=BD」と解釈して解いていったが、実際は「BA=BC=CD」が正しかった。同じように

…AからCおよびDまでの距離はDからBまでの距離に等しい。…

この文の意味を「AC=AD=BD」と解釈して解いていったが、実際は「AC=AD=BD」が正しかった。ん〜〜〜そういう意味に取れないことはないが…数学の文章題はややこしい。

 位置の決め方は2番目の「AC=AD=BD」(正解の図の青の線の部分) の関係から考えていくと決めることができる(解説を端折りすぎてごめんなさい)後は最後の2つの条件から方角の関係も決まる。
 問題は角度をどのように計算するか。

(正解の左の図について)

 三角形ABCと三角形BCDは3辺の長さが等しいことから合同。二等辺三角形であることから図の緑の丸の角度は同じ角度になる。
 合同であることからADとBCは並行になるためBCAとDACは同じ角度(緑丸)
 三角形ABDと三角形DCAについても3辺の長さが等しいことから合同。二等辺三角形であることから図の緑の丸の角度は同じ角度になる。
 三角形ACDの三つの角度は緑の丸「1個分」が一つと「2個分」が二つとなる。 よって

 三つの角度の和=緑の丸「5個分」=180度
⇒緑の丸「1個分」=36度

 よってAから見たBの方角は『東から北に緑の丸「2個分」つまり72度』となる。

 右の図については左の図を上下逆にした形(塔の配置は異なる)になるため、Aから見たBの方角は『東から北に緑の丸「1個分」つまり36度』となる。

 今回は100点の正解を出したチームはいなかったが、計算を進めたという点から東大生チームにコマ大フィールズ賞が渡った。最後にちょっと良い話として見る方角によって見える煙突の本数が変わる「お化け煙突」の話があった。実は「タワー」というテーマを聞いたとき、見る方角によってこの本数が変わるという内容の問題が出てくると思っていた。2010年、今年も私の勘は当たらない…


「ラストナンバー(1/20)」

新年明けましておめでとうございます!

と年末のスペシャルをすっ飛ばして2010年のコマ大(in 福岡)が始まった…

問題:1から100までの数から適当に2つを選び、その数を足して1引いた数を戻す、という操作を繰り返したとき最後に残る数を答えなさい。

例えば「10」と「20」の2つの数字を選んだとき、この2つの数字の代わりに「10+20−1=29」を戻す。そうすると99個の数が残る。この操作を1個の数が残るまで繰り返す…

はい!解けました!

今回の問題は暗算でも解ける問題。でも一応紙に書いて計算をした。

 コマ大の検証はお正月、ということでカルタで検証。100枚の「コマ大カルタ」の裏に1から100までの数字が書かれている。2枚ずつ読み上げた札の裏に書かれている数から新しい数を書き入れ、1枚を戻す。これを繰り返す…結構大変なカルタ取りだなあ。

 今回の東大生チームは「秒殺シスターズ」衛藤・伊藤組。私でも解ける問題だから久しぶりの秒殺が見られる、と予想していた。

出た!秒殺!

タカさんの「始めてください」の言葉と同時に東大生チームは答えをボードに書き入れた。しかし…

ポヌさんも秒殺!!

今年の目標として「もっと数学を知りたい」と話していたポヌさん。東大生チームと負けず劣らずの速さで答えを書いた。その横でじっくりと計算を進めるマス北野。しかしマス北野も答えをすぐに出すことができた模様。

 それにしても

もう書くことがない

早々と(私も含め)答えを出したものだから、番組でも単なる雑談コーナーが始まった。その中の一つとしてコマ大の検証で使われたカルタの紹介があった。コマ大に関連した内容が書かれてあるこのカルタ。コマ大チームはカルタの文章ベスト5を選んだ(読み札の関係で始めの句が平仮名になっています)

第5位らんぼうな くせに泣き虫 牧ディレクター
第4位なけてくる 50を超えた タカのポーズ
第3位よめにゆく 気配すらない 戸部洋子
第2位 かいせつが 眠気を誘う 中村先生
第1位 ます北野 コマ大だけは 皆勤賞

さて、雑談はここまでで、解答です。

コマ大チーム 4951 検証の結果
マス・ポヌペア 1から100の合計(5050)
から99を引く。
東大生チーム 上のマス・ポヌペアと同じ理論

正解…4951 全員正解!!

解説の竹内先生曰く「お年玉問題」だったようです。

 ポヌさんが話していた「1から100の合計から99を引く」という考え方は正しかった。ではなぜその考え方になるか。

1 から 100 までの合計は 100 (100+1) / 2 = 5050. これを 式で書くと

1 + 2 + ... + 99 + 100 = 5050

この中から2つの数 a, b を選ぶ。上の式で数を並び替えて、この2つの数 が最後になるようにすると

(a, b 以外の 100 までの数) + a + b = 5050

となる。a, b を取り出して a+b-1 を戻した99個の数の合計を計算すると

 (a, b 以外の 100 までの数) + (a+b-1)
= (a, b 以外の 100 までの数) + a + b - 1
= 5050 - 1 = 5049

つまり「2つの数を選び、その数を足して1引いた数を戻す」という操作を 1回するたびに、使われる数の個数が1個ずつ減り、すべての数の合計も 1 ずつ減っていく。
 問題では最後の1個残る数を求めるため、問題の操作を99回行うことになる。 このため、数の合計は「その数そのもの」になり、その数は 5050 - 99 = 4951 となる。

この計算は「1から100まで」の数字に限らず、100個の数(同じ数字が入っても構わない)であれば、問題の操作を行うと最後に残る数は「(100個の数の合計)−99」になる。

 今回はタッチの差で早かったポヌさんとマス北野ペアにコマ大フィールズ賞が渡った。今年はポヌさんの年になるのか。


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「16マス(1/27)」

 「洋子はまだ16だから〜〜」と「よく放送したな!」と感心したくなるような歌を披露した戸部アナおよびコマ大スタッフ。この曲は松本伊代さんの「センチメンタルジャーニー」が原曲。そのとき伊代さんの後で踊っていたのが、今回登場していただいた「キャプテン」のお2人。結構手の込んだオープニングなんだが、歌がな…

問題:4×4の16マスに区切られた紙を2人に渡し、それぞれが渡された紙のマスを2つ塗りつぶす。2人の紙を表を上にしてどのように重ねても、塗りつぶされたマスが重ならない確率を求めなさい。
(紙を裏返すことはできないが回転させることはできる。
また4隅は重ねるものとする。)

上の図の塗り方の場合、2番目の紙を上下逆にすると重なるマスがある。
下の図の塗り方の場合、どのように回転させても重なるマスはない。

今回の問題は大阪大学の入試問題に出されたもの。今回は「閃き」よりか「こつこつ計算」で答えを出さないといけないみたい。

 コマ大の検証は16マスの正方形の形をした障子2枚を使って検証。各障子の2枚のマスの障子紙を破り、重ね合わせて同じところの紙を破ったか否かで確率を計算していく。破ったマスが重ならなければOK。しかし重なった場合は障子の向こうからきついお仕置き。最初は水鉄砲で水をかけられるという優しいものだったが、次第に墨汁やタバスコなどバラエティ番組特有のお仕置きが登場。そんな(やや楽しそうな)苦労に絶えながら100回の検証が終了。答えが出た模様。それにしても検証場所は小さめな和室だったが、どこだったのだろうか?

 先週の秒殺、いや「超秒殺」とは違い、今回はマス・ポヌペア、東大生チーム(小橋・岡本ペア)は計算を続けている。マス北野はポヌさんに言われるがままに問題文のマスを切っていく。今回もポヌさん中心で解いていく。マス北野の威厳はいずこへ…

 私の解答は次の通りになりました。

多分違うと思う…

発想は間違っていないと思うが場合分けがややこしい。時間ぎりぎりまで計算した2組、そしてコマ大の答えは次の通りになった。

コマ大チーム 26/100 検証の結果
マス・ポヌペア 23/32 「角を塗ったとき」「それ以外」
と場合分けをした。
東大生チーム 89/300 5つのパターンに場合分けして計算

正解…89/300 東大生正解!!

テレビでは話していなかったが正解の確率を小数で表すと「約0.29」コマ大が出した答えは近い値になっていた。ま、偶然でしょう。

 今回の問題、東大生チームは5パターンに分けたが、もう少し少ないパターンで計算することができた。

 今回は文句なし、東大生チームにコマ大フィールズ賞が渡った。ポヌさん先週の力を発揮できず残念…と言いたい所だが、よく考えるとコマ大の収録は「3本撮り」とのこと。マス北野、ポヌさんは3回とも出演だが、東大生チームは1回ずつ出演。そこら辺の差が今回出たのでしょうか。最近テレビの展開が面白いものですから、私の話が少なくなりました。ま、少ない方がいいのかな?


数学とクイズでくつろいで数学の部屋「コマ大数学科」に挑む「コマ大数学科」に挑む・10年1月