数学とクイズでくつろいで数学の部屋「コマ大数学科」に挑む「コマ大数学科」に挑む・10年5月

「コマ大数学科」に挑む・10年5月

最終更新日2010年6月15日

フジテレビで深夜に放送されている「コマ大数学科」の問題に解く様子をご紹介します。数学をやってきたので簡単に解ける…と思ったものの…その奮闘振りをお楽しみに。なお、福岡での放送は二週間遅い模様です。そこら辺はご勘弁を。

「Le Rouge et le Noir (5/5)」
「正2010角形 (5/12)」
「フェルマー素数 (5/19)」
「スネルの法則 (5/26)」

ご意見がありましたらtfujisaki2006@yahoo.co.jpまでお願いします。


「Le Rouge et le Noir (5/5)」

 今回のテーマは「Le Rouge et le Noir」これはフランス語で、日本語に訳すると「赤と黒」そこでオープニングは先日カンヌ映画祭で賞をもらったマス北野の話で始まった。マス北野はフランスでは飛行機のチェックも無しで済むほどのVIP対応。街中でも大きくポスターが貼られていた。フランスの人たちが日本のテレビでマスが着ぐるみを着てコケている様子を見るとどう思うんでしょうか?

問題:赤と黒のカードがランダムに裏返して13枚並べてあります。カードを5回めくって、等間隔に並ぶ同じ色の3枚のカードを見つけるにはどのようにめくれば良いでしょうか?

 マス北野に同行してカンヌに向かったお宮の松とアル北郷はフランス語ペラペーラ(?)そんなコマ大チームはシンプルに13枚のカードを使って検証。もちろんですが、そう簡単に3枚の同色のカードが等間隔に並ぶわけではありません。そこで登場するのは「赤と黒の罰ゲーム」どす黒いノニジュースに始まり、ハバネロや赤いハイヒールで蹴飛ばされるなど数々の罰ゲームを受けてしまった。

 そんな中、1人罰ゲームから逃れられたのはアル北郷。他愛のない一人の男が次々と等間隔の3枚の同色のカードを見つけ出す。今回はアル北郷のエスパー(?)にかけることにしたコマ大チームである。

 今回の問題、じっくり時間をかければ答えは見つかるが難しい…しかし一つ手がかりは見つけていた。

5枚目をめくるとき、赤が出ても黒が出ても等間隔に並ぶカードが出るようにする。

例:

5枚目は分かったが、4枚目をどのようにめくれば良いのか…そこが問題である。

 テレビでは久しぶりのマス北野の閃きが出た。少しカードを使って検証して答えを出した。フランス語の自己紹介をした東大生、秒殺シスターズは着実に進めながら答えを導いた様子。私もあれこれ考えた末、時間ぎりぎりで答えを出した…いや、ちょっと遅かったかな?

 今回は各組が実際にカードをめくって解答をしていきました。

コマ大チーム アル北郷がエスパーを使い、見事に等間隔の
3枚のカードを見つけた。
マス・ポヌペア マスが中央と「中央から左右に一つ飛ばしたカード」
をめくってから等間隔の 3枚のカードを見つけた。
東大生チーム マス北野と同じく、中央と「中央から左右に一つ飛ばしたカード」
をめくってから等間隔の 3枚のカードを見つけた。

 アル北郷は見事に等間隔の3枚のカードを見つけたが、「見つからなかった場合は?」という中村先生の指摘に言葉が詰まった。

 マス・ポヌペアと東大生チームの解答が正解だった(私も正解でした)今回のポイントは始めに3枚めくった後、4枚目をめくる時に2通りの場合分けがあることである。

中央のカード(図の矢印のカード)と左右に一つ飛ばしたカードの3枚をめくる。3枚とも同じ色であれば等間隔の3枚のカードが見つかったため終了。

3枚が同じ色にならない場合は次の2通りの色の並び方がある。

  • その1:左右のどちらか一方だけ他の2枚と違う色
  • その2:中央だけ他の2枚と違う色
その1のとき

その2のとき

 今回フランスの数学者の話がありました。最後に「ブルバキ」という数学者の集団の話がありました。彼らはこれまでの数学の内容を抽象的に研究しまとめていきました。私も大学時代に図書館の奥の奥で彼らの本がずら〜〜っと並んでいたことを覚えています。数冊読んでみましたが、私にとっては抽象的過ぎて分かりにくかったです…

って数冊も読まないと分からない私です。

 今回のコマ大フィールズ賞は閃きの勝利、マス・ポヌペアに渡った。解説の中村先生も「この短時間で答えが出るとは思わなかった」と驚いた様子。マス北野ますます元気なご様子です。


数学とクイズでくつろいで数学の部屋「コマ大数学科」に挑む「コマ大数学科」に挑む・10年5月


「正2010角形(5/12)」

 私事で恐縮ですが、4月からコマ大の問題をノートに書いて解いております。これまでは広告の裏に書いていましたが、しっかりと記録をしておこうと思いノートを使い始めました。もっともこのノートは使いかけで、初めは他のことが書かれてあり、途中からコマ大用にしています。

問題:正2010角形の異なる3頂点A,B,Cの組のうち三角形ABCの内角がすべて整数度となるものの個数を答えなさい。
(ただし、A,B,Cを並べ替えた組は同じものとみなします)

どんな形なのかまったく見当も付かない正2010角形。計算すると一つの内角は179.82度。ほぼまったいら。5メートルのロープでこの多角形の周囲を作るとなると、1辺の長さはおよそ2.49ミリ。作れないことはないがやっぱり見当の付かない図形である。

 コマ大の検証はとりあえず正2010角形を作ることから始めた…が、やはり正2010角形は作れない、ということで正201角形を作ることにした。ひもに等間隔にテープで201個の印をつける。これで一応正201角形ができた。大喜び…をしている暇はない。問題の条件を満たす3頂点を探さなければいけない。そこで白羽の矢が立った(刺さった?)のはお宮の松。1人自宅にロープを持ち帰り、3頂点を一つ一つ数えていった。

 今回の問題、じっくり考えれば解けそうだが時間が短いのが難儀である。しかし解き方は分かっていた。

2頂点A,Bを決めたとき∠ACBの角度はCがどこの頂点でも一定である (ABを挟んで反対の位置にあるときは除く)

そこで∠ACBが整数度となるときのA,Bの条件(何個離れているか)を 調べる。この条件はB,Cの組およびC,Aの組に対しても同じ様に成り立つため、 3組に対する条件を満たすA,B,Cの組を数えていく…

何ともあいまいな説明でごめんなさい。詳しくは後ほどお伝えします。計算を着々と進めたがとんでもない答えになりそうなので、途中から電卓を使った。テレビでも電卓を使っているから、私が使ってもいいでしょ。コツコツと計算した結果は

217750個

計算を見直すのも面倒なので、これを答えにします。今回はスッキリした答えが出てこないためか、マス・ポヌペアも東大生チームも半信半疑で計算を進めていった。マス北野もお宮の松にちょっと誘導尋問。さてさて、どのような答えが出たのでしょうか?

コマ大チーム 27510個 正201角形で2751個
見つかったためその10倍。
東大生チーム 4060個 正30角形の頂点のうち
3個を選ぶ個数を計算。
マス・ポヌペア 8,160,600個 東大生チームの4060個
に2010を掛けた値。

 5桁、4桁の答えが出たと思ったら、マス・ポヌペアは正に桁違いの7桁の答えを出してきた。それぞれのチームの苦労の跡が見える。ところで私の6桁の答えはないの??

正解…272,020個 全員不正解

何と何と久方ぶりの全員不正解!!しかし比べてみると正解の数は東大生チームの67倍、マス・ポヌペアの30分の1である。さあ、どのようにして答えを導くのでしょうか?

正2010角形の隣り合う2頂点に対する中心角を求めると

360/2010 = 12/67 度

となる…

えっ?そうなの?

失礼しました。説明を続けます。

隣り合う2頂点ともう1頂点Pを選び三角形を作ったとき、Pでの角度は上のことから 6/67度となる。
 つまり三角形を作って、各内角が整数度になるためには、二つの頂点の間隔は67の倍数でなければならない。逆に二つの頂点の間隔は67の倍数である3つの頂点を決めると、これらで作られる三角形の内角は整数度になる。

 一つ頂点を決めて、そこから67個ごとの頂点を決めていくと、2010/67=30個で一周し、最初に決めた頂点に戻る。つまりこれらが正30角形の頂点をなす。 上の計算からこれら30個のうちどの3個の頂点を選んでも、これらで作られる三角形の内角は整数度になる。このような三角形の個数は

30×29×28/3×2×1=4060個

 この個数は一つの正30角形に対しての個数である。実際は頂点に選ばれていない正2010角形の頂点があるため、それらについても正30角形の頂点を決めて4060個ずつの三角形を見つけることができる。このような正30角形は全部で67個あるため、問題の三角形の個数は

4060×67=272020個

となる。

マス北野は2010個の頂点それぞれに対して4060個の三角形を数えたが、重なって数える分がいくつか入っていた。一方何とな〜〜く近かった答えのコマ大チーム。お宮の松は一生懸命数えていたが、上の計算法で正201角形の場合を考えると、実は正三角形67個しか見つからないことがわかる。検証のときダンカン部長が話したとおり「1人だけ倒れた」状況である。
 今回は正解者はいなかったが、考え方が最も近かったマス・ポヌペアにコマ大フィールズ賞が渡った。これでマス・ポヌペア2週連続でもらった。

 さて「えっ?そうなの?」と言ってしまった私。中心角を求めるときに12/67度をなぜか12/77度としてしまった。何とも痛恨のミス…というかいつものようなミス。皆さんコマ大の問題を解くときは

最初から電卓をご用意ください。

悔しい…


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「フェルマー素数(5/19)」

 …というわけで

電卓を用意しました。

話の流れが分からない方は前回の問題をご覧ください。では問題です。

問題:線分CDを一辺とする正五角形ABCDEの頂点Aの位置を作図しなさい。

テーマが「フェルマー素数」であることを知っていたため、数論関係の問題かと思われたが作図問題と来た。この問題を見て「フェルマー素数」の関連が分かる人は数学通(いや、コマ大通?)それにしても

どうやって作図するんだったっけ?

 100以下の素数を織り込んだ歌を披露したコマ大チーム。正直、この歌は結構役立つかも?と思うがそんなことはさておいて。今回の検証は「道具にこだわってみよう」ということで向かったのは製図道具の会社。ここで今回の作図の問題で使うコンパスを探す。小学生でも持っているコンパスだが種類も様々で高いものは一万円以上もするとのこと。多くのコンパスの中から選びに選んでダンカン部長が最後に一言「このコンパスでスタジオで作図をしていきます」…

えっ?

今回は3組同時に問題に挑むことになった。

 検証で登場したコンパスに感心して問題に集中できない私。多分黄金分割と関係があると思う。確か「(1+√5)/2」だったよなあ…

で、どこに黄金分割を使うんだっけ?

 試行錯誤の上で考えた答えがこちら。

どう考えても違うな…これからどこかの線分を半分にすることなどを考えていた。 テレビではマス北野の閃きが相変わらず健在であった。少し計算をしたあと、鼻歌交じりでコンパスを動かしながら作図をした。着実に計算をして、答えを導こうとしているのは東大生チーム。ここしばらく東大生のプチ情報がないのは問題に集中しているのか、それとも単なるネタ切れか?そしてこだわりのコンパスを駆使しているコマ大チーム。閃いた…と思ったらコンパスを2つ使い始めた。さあ、答えは出せたのでしょうか?解答は以下の通りです。

コマ大チーム CDの垂直二等分線上に点Aを探してみた。
マス・ポヌペア (1+√5)/2の長さを作り、この長さを持つ
2等辺三角形を作った。
東大生チーム (1+√5)/2の長さを作り、この長さを持つ
2等辺三角形を作ろうとしたが…

 コマ大チームは線対称の一辺がCDの長さの五角形を書いたが「正五角形」かどうかは疑問符が沢山現れそう… 東大生チームは計算で時間を取りすぎた様子。そして高笑いのマス北野。

 中村先生の判定の結果、マス・ポヌペアは文句なしの正解。コマ大チームは「運がよければ」正解…要するに不正解、ということであった。マス北野は√5の長さの線を作図してから点Aを求めた。かなり横長の作図の跡が見られたがもう少し簡単に作図ができる、とのこと。

もう少し続きます。

 中村先生はコンパスをディバイダー(コンパスに似た長さを固定させる器具)のような使い方をしていたが、正式にはこのようなコンパスの使い方は正しくない(意味が分からない人は読み飛ばしてください)ちょっと手間がかかるが上のような作図方法が正しい…と思います。

 今回のテーマ「フェルマー素数」とは 1 + 2^n という形をした素数のことで 5=1+2^2, 17 = 1+2^4 などがある。1 + 2^n がフェルマー素数であるとき、正 (1 + 2^n ) 角形をコンパスと定規のみで書くことができる。今回の問題に出てきた正5角形も、正17角形も書くことができる。辺の数が大きいところでは正65537角形もコンパスと定規のみで書くことが一応できる。前回の正2010角形の話でも出てきたが5mのロープで正65537角形を作ろうとすると一辺の長さは約 0.076 ミリでなければいけない。

 コマ大フィールズ賞は今回も黄金比の勝利、マス・ポヌペアに渡った。私は解説を聞きながら「言われればそうなんだよな」と思った。ふと机を見ると

使われなかった電卓が…

次回は電卓使うのかな。


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「スネルの法則 (5/26)」

 今回はスネルの法則。マス北野は「悪いことがあった後は良いことがある」という法則。一方コマ大チームは「お宮の松がいると正解を出せない」という法則を見つけた(?)確かにこの2週コマ大チームは正解を出せていない。もう1人この2週正解を出せていない人がいる…私です。今回は正解を求めたい。

問題:一辺が10mの正方形のプールの一つの角に監視員がいます。

 この監視員が水中を1m/秒、プールサイドを2m/秒で移動する場合、 この監視員がプールのどこへでも到達しうるには最短で何秒必要でしょうか

 プールサイドのある地点へ移動するときは途中を泳ぐよりプールサイドを移動するほうが当然速い。しかしプールの中の地点へ移動するには近いところまでプールサイドを移動してそこから泳ぐと速く到達できる。
 今回のテーマ「スネルの法則」は光の屈折に関する法則。これは以前「物理学Part2 (2008/12)」の中で登場した。またこの問題は東京工業大学のAO入試で出題された問題。おそらくかなりの難問である。

 難問であれ何であれ挑戦するコマ大チーム。今回の検証場所はスパリゾートハワイアンズであった。ハワイのようでハワイでない近くのプール。しかし今回は施設の協力でプールを貸しきって検証をすることができた。問題の通りの10m四方のプールで泳ぐ役のお宮の松、プールサイドを歩く役のアタルが移動の時間をロープで計測。施設が大々的に協力してくれたが、検証は至って地味にしらみつぶしに最短時間を調べた。

 ここしばらくマスの閃きに負けているのは東大生チーム。今回は秒殺シスターズ。久しぶりの秒殺が出るかと思ったが、地道に計算をしていく。マス北野も閃きが出ない模様でポヌさんと話し合いながら計算をしていった。しかし答えにたどりつけない2組…

 ここで竹内先生からちょっとしたヒントが出た。「答えとなるプールの地点は(監視員がいる)対角線上」とのこと。私も何となくは考えているが…

これを微分するのか…と思った瞬間私の脳みそは止まってしまった。とにかく答えを出そうとコマ大方式で場所を決めてその場所までの最短時間を計算してみた。そこで出た私の解答は「11.25 秒」実は、改めて計算に使ったノートを見返したが

なぜ、この答えが出たか覚えていません。

悪戦苦闘の末の各組の解答は以下の通り

コマ大チーム 10.6 秒対角線上の奥から1/4の 地点までの
最短時間
マス・ポヌペア 11.030 秒ポヌさんの解答を採用
東大生チーム 5(2√3+3√6)/6 秒約 9 秒。スネルの法則に基づき
60°の角度でプールに入る計算をした。

東大生の解説で「10秒は切る」と話していたが「それはないだろう」と思った。しかし、私の解答が一番遅いため、余り人のことをあれこれ言うことは出来ない。

正解… 5(3+2√3)/3 秒、全員不正解

竹内先生はスネルの法則を使わないと解くのに1時間近くかかる、と話していたがそこまで時間はかからないと思う。実は私の計算を進めていけば答えを出すことができたのである。

両方の時間が等しくなる地点が最も時間がかかる地点になる。

この t の値を上の式の時間の式に代入すると答えの時間が出てくる。

 今回は「論より証拠(?)」実際に時間を計って一番近い答えを出したコマ大チームに金星のコマ大フィールズ賞が渡った。私も着実に計算を進めることができれば答えを出すことができただけに悔しい。

がんばれ!俺の脳みそ!


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