数学とクイズでくつろいで数学の部屋「コマ大数学科」に挑む「コマ大数学科」に挑む・10年8月

「コマ大数学科」に挑む・10年8月

最終更新日2010年9月7日

フジテレビで深夜に放送されている「コマ大数学科」の問題に解く様子をご紹介します。数学をやってきたので簡単に解ける…と思ったものの…その奮闘振りをお楽しみに。なお、福岡での放送は二週間遅い模様です。そこら辺はご勘弁を。

「数検からの挑戦(8/4)」
「九州大学に挑戦(8/11)」
「物理学 Part 3(8/18)」

ご意見がありましたらtfujisaki2006@yahoo.co.jpまでお願いします。


「数検からの挑戦(8/4)」

 先週「数検(数学検定)」の問題を取り上げたコマ大。今回はその「数検」から解いてみてください、と問題が送られてきた。数検VSコマ大のガチンコ勝負です。

問題: 一辺の長さが1の正六角形の紙があります。この紙に先端にインクをつけた19本の針を落とし、紙の上に少なくとも1ヵ所はインクの跡が付いたとします。 このとき少なくとも2箇所のインク跡は距離が√3/3以下であることを証明しなさい。

来た!証明問題!

解説の竹内先生も話したとおり、これまでコマ大では証明問題を避けてきた。これは解説等がややこしくなるからという理由がある(コマ大の本でも書かれていました)コマ大初の証明問題、正解を出せるのでしょうか?

 コマ大チームの検証は「針」ではなく「釘」。昔懐かしい遊び「釘刺し」で地面に釘を刺しながら検証を行う。しかし、ダンカン部長以外は釘刺しの経験無し、ということで釘指し名人から指導を受けることになった。地面に釘を刺せばいいのだが、釘を投げつけて指さなければいけない。これが意外と難しく未経験者3人衆は苦戦している。釘が指すようになったら次は狙ったところに刺す練習。

 指導が終わってやっとで検証開始。地面に六角形の枠を作って釘を刺していく。問題では19本釘を刺さなければいけないが、10本程度で√3/3以下の距離の2本が2組出てきてしまう。初の証明問題にコマ大チームが出した結論はどのようなものなのでしょうか?

ごめんなさい、今回も解いてしまいました。

 今回の問題は2級か準1級の問題だと思います。おまけにこの形式の問題はよく見かけますのですぐに解いてしまいました。ただ、はまると答えを出すことはできなくなりそうです…

 今回は証明問題でありながらマス・ポヌペア、東大生チーム両方とも問題の六角形に図を描き始めた。おそらく証明の方法は分かっているようです。しかしその証明のために必要な図を作るのに苦戦。竹内先生が「領域を作って考える」というヒントを出してすこし考えがまとまったように感じられましたが、解答はどうなったでしょうか?


コマ大チームの解答:「13個が限界」という結果?

 図の位置に釘が刺さると次にどこに釘が刺さっても √3/3以下の距離が出てしまう。


マス・ポヌペア: 上の左の図のように18個の領域に分けると、19本の針の先端のうち2本は必ず 同じ領域の中に入る。その2本の距離が√3/3以下である??

東大生チーム: 上の右の図のように18個の領域に分けると、19本の針の先端のうち2本は必ず 同じ領域の中に入る。その2本の距離が√3/3以下である??

 マス・ポヌペア、東大生チームとも証明の方法は一致している。しかし証明のための図が異なり、共にその証明に確信がない様子。

正解は以下のように領域を分けるといいのです。

 左の図のように18個の領域に分けると、19本の針の先端のうち2本は必ず 同じ領域の中に入る。(ここまではマス・ポヌペア、東大生チームと一緒)

 2本が入っている領域で2本のインクの跡が最も遠い距離に位置するのは、領域の対角線の両端にあるとき。この両端の距離を計算すると右の図から1/√3=√3/3であることが分かる。

マス・ポヌペアも東大生チームも2本のインク跡が付いている領域が正三角形のところならば距離は最大√3/3となるが、細長い三角形のところのときは距離は最大1であるため、十分な証明とはいえない。
(注意:今回の問題の内容は「19箇所のインク跡があれば必ず√3/3以下の距離の2箇所がある」ということである。だからといって「18箇所のインク跡があれば√3/3以下の距離の2箇所がない」という証明にはなっていない。「19箇所」というのは余裕を持たせた上限である。実際に「最低何箇所のインク跡があれば必ず√3/3以下の距離の2箇所があるか」という答えは調べないと分からないが、おそらくコマ大チームが検証したように13個位かもしれない)

 今回も正解は出なかったが、18個の分割を早く考えていたマス・ポヌペアにコマ大フィールズ賞が渡った。竹内先生が解説のときは前回、前々回と連続してコマ大フィールズ賞が出ていなかった。今回も該当者無しとなったら、以降の問題を考え直す必要があります(というほど難しい問題はないけどな)


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「九州大学に挑戦(8/11)」

 「国立大学に挑戦」シリーズ。最初は北海道大学、続いて名古屋大学だった。今回は関門海峡を渡って(という表現も死語かな?)九州大学。そう私が卒業した大学である。さて、どんな入試問題が出てくるのか?

 いくつかの半径3の円を半径2の円Qに接し、かつ互いに交わらないように 配置します。
 このとき配置できる半径3の円の最大個数を求めなさい。

ん〜〜、シンプル

「国立大学に挑戦」シリーズは、いつものように「タイムトライアル」早く解いた組がコマ大フィールズ賞を手にすることができる。

 コマ大チームには強い味方がいた。熊本県出身、九州男児の無法松。強力な助っ人を探しているのか、と思ったら実家への電話、というショートコントを見せたところで本題。今回は2人の九大OB、OGに来ていただいた。幼なじみで共に会社を経営している。

 さっそく問題を解いてもらった。黙々黙々…と解いて、早々と答えを出した。かかった時間は4分22秒。今回も強敵である。マス・ポヌペア、東大生チームはこの時間に勝つことができるのでしょうか?…一つ、忘れていました。

ごめんなさい、私はまだ解けていません

実際に図を描いて、最大個数はこのぐらいだろう、という見当は付いている。しかし、その個数が最大であることを証明しなければいけない。その証明もほぼ出来上がっている

 半径3の円の中心をPとする。Qから円Pへの接線と円Pの接点をT、T’とする。 半径3の円がn個接するとき

n×∠TQT’≦360度

が成り立つ。さらに 三角形PQTと三角形PQT’は合同であるため

∠TQT’=2×∠PQT

以上から n の最大値は「180/∠PQT’」以下の最大の整数。

 ∠PQT’<45度であれば、180/∠PQT’>4

 ∠PQT’>36度であれば、180/∠PQT’<5

となるため「45度>∠PQT’>36度」を証明できればnの最大値は 4個であることが分かる。

この後の計算が面倒

「45度より小さい」ということは簡単に計算ができる(詳しくは後ほど)が、「36度より大きい」ということを証明するためにはおなじみの「黄金比」を使うとできる。ただ、その計算にはじっくり時間をかければできるが、4分ではちょっと無理…と諦めかけているうちに時間が終了した。ただ、何となく「最大4個」のような気がする。

 テレビでもマス・ポヌペア、東大生チームは苦戦していた。苦戦しているのは私と同じく「36度より大きい」ということの証明である。苦戦した結果は以下の通り。

コマ大チーム4個九大OBの解答
東大生チーム5個「30度より大きい」(6個より小さい)
事は証明した。
マス・ポヌペアポヌさん 5個
マス北野 4個
ポヌさんは「30度より大きい」事を証明
マスは図を描いて見当をつけた

マス・ポヌペアは久しぶりの合わせ技(?)マス北野は始め「6個」と書いたが終了間際に変更した。

 正解は九大OBの方が求めた「4個」である。では、どのようにして「36度より大きい」ことを証明するのか?

実際に作図すると、半径3の円を5個描くと重なる部分が出ることが分かる。

 今回はマス北野が一応正解を出した。解答までの時間は…5分42秒。 約1分差で九大OBが早かった。ということで今回もコマ大フィールズ賞は九大OB(代理でダンカン部長)となった。今回私も一応正解を出しましたが、証明ができませんでした。時間が欲しかった。皆さん分かったと思います。

急いで答えなくても、九州大学に入学することはできます。

20分ぐらいあればなあ…


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「物理学 Part 3(8/18)」

 今回の問題は1970年の東京大学の入試問題。マス北野はすでに大学を中退していた。

 図のように鉛直な側面を持った水槽が水平な床の上に置かれており、水面の高さは床から 1 m である。

 いま、側面に小さな穴をあけて水を水平方向に噴出させる。噴流が穴の真下の床上の点から最も遠くに落ちるためには穴の位置を水面から何 cm にすればよいか。また噴流が落ちる点までの距離を求めよ。

 「鉛直」やら「噴流」やら、いかにも大学の問題らしい言葉が並んでいるが、要は最も遠くまで水を飛ばす穴の位置を求めればよい。穴の位置は見当が付くが、その証明と距離をどう求めるか…確か放物線か何かを使って考えるんだよなあ…

 オープニングのトークを見事に吹っ飛ばしたのはコマ大チームダンカン部長の噛みっぷり。そんなコマ大チームの検証は水と言えば海、ということで海辺で検証を行った。 しかしやることはシンプルに1m の水槽から穴を開けて、水が遠くまで飛ぶ位置を見つける。それだけでは味気ない、ということで水着姿(ダンカン部長曰く「ダイナマトーボディーのみじょぎ」)のフィギュアが登場。フィギュアに向かって水槽から水がかかるかどうか実験を行った…って「味気ない」というか「情けない」というかそんな検証であった。

 東大生チームは前回久しぶりの秒殺を見せた衛藤・伊藤ペア。今回も秒殺か…と思われたが、鉛筆が止まっている。「高校では物理を習っていたが…」と一言。意外に苦戦していた。一方、着々と計算を進めるのはマス北野。こちらは「だって工学部だもん」と一言。解答は以下の通りであった。

コマ大チーム高さ:50cm
距離:50cm
検証の結果
東大生チーム高さ:100cm
距離:200cm
物理で習った記憶を
頼りにしたが…
マス・ポヌペア高さ:50cm
距離:1m
位置エネルギーと運動
エネルギーの関係から計算

東大生チームには申し訳ないが「高さ100cm」はないと思う。勘で「高さ50cm」で一番遠くに飛ばせると思うが、マス・ポヌペアの書いたように「距離1m」も水が飛ぶのかな??

正解…高さ:50cm、距離:1m、マス・ポヌペア正解!

今回はマス北野がズバリ正解を出した。解説は以下の通り

「1mも水が飛ぶのかな」という疑問に対しては、水の性質や穴の開け方、空気抵抗などから実際には50cmぐらいしか飛ばない、とのことである。あくまで「理論上は」1m水が飛ぶらしい。

 今回のコマ大フィールズ賞はズバリ!マス・ポヌペアであった。今回は完敗です…っていつものことか。


数学とクイズでくつろいで数学の部屋「コマ大数学科」に挑む「コマ大数学科」に挑む・10年8月