数学とクイズでくつろいで数学の部屋「コマ大数学科」に挑む「コマ大数学科」に挑む・11年6月

「コマ大数学科」に挑む・11年6月

最終更新日2011年8月10日

フジテレビで深夜に放送されている「コマ大数学科」の問題に解く様子をご紹介します。数学をやってきたので簡単に解ける…と思ったものの…その奮闘振りをお楽しみに。なお、福岡での放送は二週間遅い模様です。そこら辺はご勘弁を。

「展開図 Part 2 (6/1)」
「反射 (6/8)」
「必勝法 Part 6 (6/22)」
「楕円 Part 2 (6/29)」

ご意見がありましたらtfujisaki2006@yahoo.co.jpまでお願いします。


「展開図 Part 2 (6/1)」

 今回はインターネットのサイトで出題された問題。

問題: 右の図はある立体の展開図です。

A:正三角形 B:正方形
A、Bの一辺の長さはともに等しい。

C:等脚台形 D:正三角形
CはAを3個つなげた形、Dの辺の長さはAの辺の長さの2倍。

Bの面積が72平方センチのとき、この立体の体積を求めなさい。

 コマ大の検証はシンプルに立体を作っていく。アクリル板、厚紙、紙粘土、竹ひご+ラップと4種類の材料で形を作っていき、中に水を入れていく。もちろん水が漏れ出たが、唯一アクリル板の立体が水漏れがなかった。というわけで、この立体の中に入った水の体積を解答にした。

 コマ大の検証で実際に作られる立体を見ることができたので、今回は早々と答えが出るかと思った。しかし、マスも東大生チームも展開図から立体を作り出した。そのあと立体を2つに切って…さてどうなったのでしょうか?

コマ大チーム1820 立方センチ検証の結果
マス・ポヌペア864 立方センチ2つに分けた一方が
正8面体の半分である。
東大生チーム一方は 1152 立方センチ
もう一方は…
2つに分けた一方が
正8面体の半分である。

 立体を2つに分け、一方が正8面体の半分になることは2組ともわかっていた。もう一方の立体の体積で苦戦した。東大生木村さんは2週連続の登場。ちょっと厳しかったかな?

正解… 1872 立方cm 全員不正解

 今回も私正解を出しました。2組が行ったように立体を2つに分けて、それぞれの体積を求める方法もありますが、私はちょっと「ひねって」体積を求めました。

 問題の展開図から作られる立体は図の左の立体である。この上の部分(灰色)を回転させると中央のような図になる。

 さらに三か所のBに四角すい(緑)を付けると右の図のように正八面体が作られる。このことから、求める体積は大きな正八面体から、付けた四角すいの体積3個分を引いたものになる。

 まず、四角すいの体積から求める。四角すいの底面は正方形Bである。Bの面積は72平方センチである。Bの面積は

(対角線の長さ)×(対角線の長さ)/2

で求めることができるため、対角線の長さは√(72×2) = 12センチ。このことから四角すいの高さが対角線の半分の長さ 6センチであることも分かる。以上から四角すいの体積は

正方形の面積×高さ/3=72×6/3=144立方センチ

となる。

大きな正八面体の半分にあたる四角すいは、上で求めた四角すいと比較すると各辺の長さが2倍である。このため、正八面体の体積は上で求めた四角すいの2×2^3=16倍である。

 求める立体は正八面体から四角すい3個分を除いた体積と等しいため、四角すいの16−3=13倍になる。よって体積は144×13=1872立方センチ

今回のコマ大フィールズ賞は実測値の勝利!コマ大チームに渡った。


「反射(6/8)」

 学園祭シーズン、東大生・秒殺コンビは学園祭で骨密度や血圧を測っているそうです。

問題:
AB = 120 を直径とする半円があり、A からの光が半円の内部で2回反射し、 OB 上の点 P を通るものとします。
 光をいろいろな方向から出したとき、OP の最小値を求めなさい。

 学園祭で種々様々なことがあったコマ大チーム。今回はグラビアアイドルを呼んで、問題のように2枚の鏡の反射を使って水着姿を見よう、という久しぶりの深夜番組の展開。最小値を求めるか水着姿を見たいか、という葛藤と戦うことなく水着姿を見ることに専念したが、答えを出したことは出したみたい。

 秒殺コンビは今回も秒殺、とまでは行かなかったが着実に計算を進め答えを出した。マスも分度器を使いながら図を書き答えを出した。

コマ大チーム48.5検証の結果
マス・ポヌペア60 cos36°光が正五角形を
描くように進むと考えた。
東大生チーム60 cos36°光が正五角形を
描くように進むと考えた。

ちなみに、私もマスチーム、東大生チームと同じく光が正五角形を描くように進むと考えて計算をしたが、答えは出せなかった。

正解…48、全員不正解

最初この答えを見たときは「四捨五入して48」と思っていたが、そうではなく答えはちょうど48。 意外や意外の解説はこちら。

 番狂わせの展開でコマ大フィールズ賞は一番近かった?コマ大チームに決まった(60 cos36°≒48.59)確かにほかの2つの答えと比べたらコマ大チームの答えは正解に近いけどね。


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「必勝法 Part 6 (6/22)」

 どうにかテレビ慣れした?東大生杉山・瀬戸山ペア。そろそろコンビ名が欲しいところ…と話したところで今回の問題。

問題:
AくんとBくんが図のア〜ケ9つのマスに1,3,4〜10の数字を交互に一つずつ入れ ていく。

ルール
・先手はAくん。
・Aくんは上段と下段に入れた数字 (ア、イ、ウ、キ、ク、ケ)の合計を得点とする。
・Bくんは左列と右列に入れた数字(ア、エ、キ、ウ、カ、ケ)の合計を得点とする。
・2人のうち得点の多いほうが勝ちとする。

 このとき先手のAくんは、どのマス目にどの数字を入れると良いでしょうか。

 3連続コマ大フィールズ賞を獲得しているコマ大チーム。今回は数字の書かれたボールを9つの的に当てる形式で検証を行う。完全なおっさん集団のコマ大チーム。ボールを狙ったマスに当てるどころかボールを当てること自体で一苦労。そこで登場したのは「杏林大学野球部」、その一人が飯塚甲子園君、そうダンカン部長の息子である。見事に狙ったところにボールを当てていく。それを見ながら久々のアタルチャンス!正解は導けたのでしょうか?

 「必勝法」シリーズに断然強いのはマス北野。しばらく考えて答えを早々と書いた。東大生チームも負けじと答えを出した模様。

コマ大チームエまたはカに1を入れる検証の結果
アタルの結論
マス・ポヌペアエまたはカに1を入れる2が入る場合は
引き分けになることも解説
東大生チームエまたはカに1を入れる相手が最善手をとっても
勝てないことを解説

 今回の問題は算数オリンピックで出題された問題。私はこの問題知っていました。しかし入れる数字を「1〜9」と勘違いしていた。最初に「イまたはクに10」と思いましたが、考えなおして「エまたはカに1」という結論を出しました。

正解…エまたはカに1 全員正解!

では早速解説を

Aくんの点数とBくんの点数の差を求めると

 (ア+イ+ウ+キ+ク+ケ)−(ア+エ+キ+ウ+カ+ケ)
=(イ+ク)−(エ+カ)

つまり「イ+ク」の和が「エ+カ」の和より大きいときにAくんの勝ちとなる。

 Aくんが「エに1」を入れる
⇒Bくんは「エ+カ」の値を最大にするために、「カに10」を入れる。
⇒Aくんは「イ+ク」の値を大きくするために、「イに9」を入れる。

クに入る数字は3以上であるため

 (イ+ク)−(エ+カ)
=(9+ク)−(1+10)
≧12−11=1

となるため、Aくんの勝ちが決まる。

マスに入る数字に「2」があるときは「クに2」を入れると引き分けにすることができる。

Aくんが他の数字の入れ方をした時を考える。

 Aくんが「イ+ク」を大きくするために「イに10」を入れる
⇒Bくんは「イ+ク」の値を最小にするために、「クに1」を入れる。
⇒Aくんは「エ+カ」の値を小さくするために、「エに3」を入れる。

⇒Bくんは「カに9」を入れる。
 (イ+ク)−(エ+カ)
=(10+1)−(3+9)
≧11−12=−1

となるため、Bくんの勝ちが決まる。

見事な三つ巴の戦い(?)だったが、引き分けの解説がなされていた、ということでマス・ポヌペアにコマ大フィールズ賞が渡った。


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「楕円 Part 2 (6/29)」

 前回の「楕円」の問題をあっさり解かれてしまった、ということで中村先生のリベンジをかけて新たな楕円の問題。

問題:
長軸の長さ10の楕円の2つの焦点を中心として半径2の円をかきます。
楕円上に点P,2つの円それぞれに点Q,Rを取るとき、線分PQ,PRの 長さの和PQ+PRの最大値を求めなさい。

 前回はコマ大フィール賞は取れなかったものの正解を導いたコマ大チーム。今回は明らかに前回と同じ場所と分かる広場で検証を行う。スタッフの知り合いというラグビー経験者が登場。楕円上の点から円上の点へトライを試みその距離を測る。何とも地道な検証である。
 中村先生の思いもよそに、マス・ポヌペアも東大生チームもあっさり解いてしまったみたい。

コマ大チーム14.20検証の結果
マス・ポヌペア14円上の点と焦点との距離の和が
一定であることから計算
東大生チーム14円上の点と焦点との距離の和が
一定であることから計算

正解…14 マスチーム、東大生チーム正解!

あっさり解かれて中村先生がっくり。解説を加えることも無かったみたいです。

点 Q, R のある円の中心をそれぞれ A, B とすると

  PQ ≦ PA + AQ, PR ≦ PB + BR

PQ = PA + AQ となるときは点 Q は直線 PA と円 A の交点にあるときである。 点 R についても同様に考えると

  PQ + PR ≦ (PA + AQ) + (PB + BR) = PA + PB + 4

A, B は楕円の焦点であるため PA + PB は P の位置にかかわらず長軸の長さ 10 と等しい。
 よって PQ + PR の最大値は 10 + 4 = 14 である。

問題で使った図は見栄えをよくするため、焦点の位置や円の半径や変えました。正しく図を書くと…


こうなります。

今回、秒殺を見せたのはポヌさん。というわけでコマ大フィールズ賞はマス・ポヌペアに渡った。


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