数学とクイズでくつろいで数学の部屋「コマ大数学科」に挑む「コマ大数学科」に挑む・11年8月

「コマ大数学科」に挑む・11年8月

最終更新日2011年10月14日

フジテレビで深夜に放送されている「コマ大数学科」の問題に解く様子をご紹介します。数学をやってきたので簡単に解ける…と思ったものの…その奮闘振りをお楽しみに。なお、福岡での放送は二週間遅い模様です。そこら辺はご勘弁を。

「生育条件 (8/3)」
「コマ大ファンからの挑戦状 (8/10)」
「階段 (8/17)」
「ウラムの螺旋 (8/31)」
「奇跡の軌跡 (8/31)」

ご意見がありましたらtfujisaki2006@yahoo.co.jpまでお願いします。


「生育条件 (8/3)」

 今回は生物の問題…かと思ったらやっぱり数学の問題。

問題:
 ある植物を以下の条件で栽培したとき、植物の成長は表の通りになった。

肥料日照時間温度成長
アルカリ性短時間低温26cm
アルカリ性長時間高温24cm
酸性短時間高温10cm
酸性長時間低温28cm

 この植物にとって最善の条件は「肥料」「日照時間」「温度」が どのような状態か。その時の成長は何cmになるか?
 3条件の各要素には数字が与えられており、成長の長さは3条件の 合計で求めることができるものとする。

 コマ大チームはまったく芽の出ない芸人を集めて、面白さを一番引き出せる条件を探し出す…と思ったら、全員で地道にカイワレを育てて、最も成長した条件を探し出した。

 東大生チームは早々と答えを出そうとしたが、一応確認をして答えを出した。一方マス・ポヌペアはやたらと計算を進めた。ポヌさんは掛け算をし始めて…答えはでたのか?

コマ大チーム「アルカリ」「長時間」「低温」で15cm検証の結果
マス・ポヌペア「アルカリ」「長時間」「低温」で41cm計算をしていたが分からなく
なった、とマス
東大生チーム「アルカリ」「長時間」「低温」で34cm各要素の成長を式で表して計算

正解…「アルカリ」「長時間」「低温」で34cm 東大生チーム正解!

 コマ大チームが成長は違えど条件が合っていたのには驚いた。マスも東大生も式を作って足して引いてを繰り返したが、もう少し簡単に計算ができる。

 各条件の要素に対する成長の長さを以下のように変数をあてる。

肥料
アルカリ性x1 cm
酸性x2 cm
日照時間
長時間y1 cm
短時間y2 cm
温度
高温z1 cm
低温z2 cm

問題の条件から式を立てると以下の通りになる。

x1 + y2 + z2 = 26
x1 + y1 + z1 = 24
x2 + y2 + z1 = 10
x2 + y1 + z2 = 28

これら4式の両辺をすべて足すと

 2(x1 + x2 + y1 + y2 + z1 + z2) = 88
→ x1 + x2 + y1 + y2 + z1 + z2 = 44

この式から最初の4式を引くと問題のA,B,C,D以外の条件での 成長の長さが以下の通りに求めることができる。

肥料日照時間温度成長
酸性短時間低温18cm
酸性長時間高温20cm
アルカリ性短時間高温16cm
アルカリ性長時間低温34cm

この結果から「アルカリ」「長時間」「低温」で34cmまで成長できることがわかる。

 コマ大フィールズ賞は東大生チーム。秒殺シスターズ2回連続のコマ大フィールズ賞である。


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「コマ大ファンからの挑戦状 (8/10)」

 以前マス北野が「小学校6年生の子供がやってきて『コマ大の問題を解いている』と話した」と 話していた。そんな小学生はいるのか?ということで、コマ大チームが探してみた。
 とは言うものの、小学生の名前も何にも分からない。しかし、以前番組で取り上げられた「ふにゃ茶屋」に家族全員でコマ大を見ている人がやってきた、ということで出演をお願いしたところ快く受け入れてくれた。そこで今回はコマ大ファンの家族とマス・ポヌ・東大生の対抗戦を行うことにした。今回参加した家族は両親と中学2年、小学4年の兄弟。残念ながらマスが話していた子供とは違うが、 相手に不足はないようです。

 今回の問題は平方数・立方数を使った問題を3問。全員で協力して時間内に何問解けるかを競う。問題は以下の3問。

第1問:
 3ケタ以上の平方数で10の位と1の位の和が偶数になるとき、1の位はいくつになるか。
第2問:
 2以上の整数 m, n は m^3 + 1^3 = n^3 + 10^3 を満たす。m, n を求めよ。
第3問:
How many numbers from 1 to 1 million, inclusive, are not perfect squares or perfect cubes?

 第1問は小学4年生の弟が挑戦。両親のアドバイスもあり答えを出すことができた。第2問は中学2年生の兄が挑戦。弟に続けて正解を出したかったが残念ながら時間切れ。最後の問題は英文の問題で戸惑ったが、家族で力を合わせて答えを出した。

 対するマス・ポヌ・東大生チームは各問題を分担して解いていく。ここで、いきなり答えを出したのはマス北野。第2問を手に取ると「あっ」という間に解いていしまった。マスと一緒に解く予定だったポヌさんは木村さんと一緒に第3問に挑む。山田さんは第1問。マスの勢いに乗ったのか2組とも解き終えた模様。

第1問:山田さんの解答0または41の位の2乗を計算した。
第2問:マス北野の解答m = 12, n = 9ラマヌジャンの
逸話を思い出した。
第3問:木村さんの解答998910個詳しくは後ほど

ラマヌジャンの逸話とは、タクシーのナンバーが2つの立方数の和で2通りの書き方がある最小の数だと見抜いた(?)という話。さすがマスご存知で。

結果は…全問正解!

マス・ポヌ・東大生チーム見事に正解を導くことができた。第3問の問題の日本語訳と各問題の解説は以下の通り

第1問:
 3ケタ以上の平方数であるため、この平方数は10以上の整数の2乗である。この整数を 10 a + b(a:正の整数、b:0以上9以下の整数)と表すと、

(10 a + b)^2 = 100 a^2 + 10 * (2*a*b) + b^2

となるため

(10 a + b)^2 の10の位= 2*a*b の1の位+ b^2 の10の位
(10 a + b)^2 の1の位 = b^2 の1の位

ここで 2*a*b は偶数であるため1の位も偶数。よってこの平方数の10の位と1の 位の和が偶数であるとき b^2 の10の位と1の位の和も偶数である。

 b が0以上9以下であるとき、b^2 の10の位と1の位の和が偶数であるものを 挙げると

0^2 = 00, 2^2 = 04, 8^2 = 64

の3通りのみである。以上からこの平方数の1の位は0または4である。

第2問:

 m^3 + 1^3 = n^3 + 10^3 → m^3 - n^3 = 10^3 - 1^3 = 999

 つまりの立方数の差が 999 となる。m = 20 のとき、差が最も小さくなるときでも 20^3 - 19^3 = 1141 > 999 となるため、m は最大でも 19 でなければいけない。

 また m^3 と m, n^3 と n は3で割った余りが同じである。m^3 - n^3 は3の倍数であるため、 m - n も3の倍数でなければいけない。

 m - n が3の倍数で、m^3 - n^3 の1の位が 9 になるものを挙げると、

9^3 - 0^3 = 72910^3 - 1^3 = 999 6^3 - 3^3 = 1897^3 - 4^3 = 279
14^3 - 5^3 = 211915^3 - 6^3 = 729 11^3 - 8^3 = 819 12^3 - 9^3 = 999

以上から問題の式を満たす m, n は m = 12, n = 9
第3問:

How many numbers from 1 to 1 million, inclusive, are not perfect squares or perfect cubes?
→ 1 から 100 万の間の数で、平方数でも立方数でもない数は 全部でいくつあるか?

1,000,000 = 1,000^2 = 100^3

であるため、1 から 100 万の間に平方数は 1000 個、立方数は 100 個ある。 しかし、1 から 100 万の間には平方数でも立方数でもある数も含まれている。 平方数でも立方数でもある数とは整数の6乗で表される数のことである。

1,000,000 = 10^6

であるため、整数の6乗で表される数は全部で 10 個ある。以上から平方数でも立方数でもない数 の個数は

1000000 - 1000 - 100 + 10 = 998910

であることがわかる

 私も全問正解…と思ったら、第1問の「0」を忘れていました。2問目も適当に数字を入れて答えを出した。3問目はちゃんと計算して答えを出した。マス・ポヌ・東大生チームは全問正解したが、今回は見ていただいた感謝を込めて、問題に挑戦した家族にコマ大フィールズ賞が渡された、っというか名前が刻まれた。


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「階段 (8/17)」

 暑い夏にはやっぱり怪談…ではなく階段の問題。

問題:
 同じ強度の卵2個を使って15段の階段で落下テストを行い 卵の強度を測定する。卵2個が割れる前に卵の強度を測定できる方法を 考えたとき、最悪でも何回の落下テストをする必要があるでしょう。
(卵の強度はそれより上の段では割れてしまうギリギリのところで判定する)

 身の毛もよだつ経済状態のコマ大チーム。今回は床に書かれた平面階段(?)を使って検証を行う。 指定された段より上の段を選択すると罰ゲームがある。久しぶりの罰ゲーム付き検証だったが、ほとんどダンカン部長の独壇場であった。そんなこんなで答えも出た模様。

 東大生チームは未だ「コンビ名募集中」の杉山・瀬戸山ペア。コマ大チームからの新コンビ名の案を無視し(?)問題に挑む。一方マスは何やらひらめいたよう。答えを書くのはタッチの差で東大生チームが速かった。

コマ大チーム8回真ん中(8段目)で1個卵を落とし、
上半分、下半分で下の段から調べる。
マス・ポヌペア5回下から5,4,3,2,1段に
分けて卵を落としていく。
東大生チーム9回コマ大チームと同じ調べ方
ただ、回数を数え間違えた。

 コマ大チーム、東大生チームの方法も確かだが回数が多い。一方マスの解説は見事だった、って、上の内容だけじゃわからないよね。詳しくは後ほど。ちなみに、私は半分、半分に分ける方法をとって「4回」と思ったが、どうやら問題文の理解が不十分だった。

正解…5回 マス・ポヌペア正解!

解説は以下の通り。

 階段のある段から卵を落としたとき

卵が割れない
→ 卵の強度はその段より上にある。落とした卵を使って続けて調べることができる。

卵が割れた
→ 卵の強度はその段より下にあり、割れなかった段より上にある。 落とした卵は割れたため残り1個の卵で強度を調べる。

 例えば下から3段目では割れないが6段目で割れたとき、卵の強度は4,5,6段目の いずれかである。4段目から順に残り1個の卵を落として割れたところがその卵の 強度と判定できる。

 2個の卵を k 回落として強度を測定できる段数を f(k) と表す。 最初に下から n 段目の所から卵を落としてみる。

卵が割れた → 2個目で 1, 2, ..., n-1 段目を測定。
       最悪で 1+(n-1) = n 回の測定が必要である。
       このことから n = k であることがわかる。

卵が割れない → n 段より上で卵を k-1 回落として強度を
        測定する。
        この段数は f(k-1) であるため。
        f(k) = f(k-1) + n = f(k-1) + k となる。

f(k) の条件式「f(k) = f(k-1) + k」と「f(1) = 1」であることから

f(k) = 1 + 2 + ... + k = k(k+1)/2

となる。f(k) ≧ 15 となる k を求めると k ≧ 5 となり、最悪でも 5回の落下テストをする必要がある。
 実際に、1個目の卵を下から5、9、12、14、15段の順に 落としていくと5回以内に卵の強度を測定することができる。

 久しぶりのひらめきが炸裂し、マス・ポヌペアがコマ大フィールズ賞を貰った。


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「ウラムの螺旋 (8/31)」

 今回は数学者がひまつぶしに書いたものから生まれた問題。

問題:
 図のようにマス目に1、2、3…と順に数字を書き入れていくとき 1から右に10、下に10のマス目に入っている数字を求めなさい。

コマ大チームの検証はすっかりお馴染み(?)になったお宮の松のマンションで行われた。購入したマンションは3月の震災で壁にヒビが入ってしまった。その壁に数字の書かれたシールを問題のとおりに地道に貼る。久しぶりに長丁場かと思ったが、日をまたぐことなく答えが出た模様。今回使ったシールは蛍光シールで明かりを消すと綺麗な花火のような模様が出来上がりました。

 コマ大チームの地道な検証とは裏腹に東大生チームもマス・ポヌペアも早々と答えがでた模様。これは余裕かと思ったら、東大生チームが計算違いを見つけて修正。答えはどうなったか?

コマ大チーム421検証の結果
マス・ポヌペア4211の右側の数字を求めてから計算
東大生チーム4211の右上の数字を求めてから計算

正解…421 全員正解!

タカさんが話したとおり、コマ大チーム向きの問題だったようでした。今回はポヌさんが1の右側の 数字を求めていったが、東大生チームの計算が少しは早いかもしれない。

 上の図のように1を中心とした正方形を考えると、右上の数字は1、9、25…と奇数の 2乗が並ぶ。

 1より右に 1、上に 1=  9=3^2
 1より右に 2、上に 2= 25=5^2
 1より右に 3、上に 3= 49=7^2
    …………………………
 1より右に10、上に10=441=21^2

問題の「1より右に10、下に10のマス目」の数字は「1より右に10、上に10のマス目」の数字より20少ないため

441−20=421

となる。

一般に「1より右にN、下にNのマス目」の数字は

4N^2+2N+1

となる。

 今回のコマ大フィールズ賞はポヌさん大健闘でマス・ポヌペアに渡った。東大生チームも計算違いがなければ取れたかも。


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「奇跡の軌跡 (8/31)」

 福岡では「ウラムの螺旋」とその次の回である「奇跡の軌跡」が続けて放送がされていた。他の地域がどのような放送をしていたかは知らないが、私は続けて放送されることを知らずに「奇跡の軌跡」を録画することができなかった。こちらで内容が書かれていたので、こちらから問題を拝借。

問題:
 図のように3つの車輪が取り付けられている観覧車がある。

中心の車輪Aは反時計回りで回転する。
車輪Bは車輪Aに取り付けれられ、半径は車輪Aの半分
速さは車輪Aの7倍の速さで反時計回りをする。
車輪Cは車輪Bに取り付けれられ、半径は車輪Aの3分の1
速さは車輪Aの17倍の速さで時計回りをする。

観覧車の乗客が車輪Cに乗った時、通過する軌跡を描きなさい。

 コマ大チームは観覧車で検証、と問題のとおりに動く観覧車なんてある訳がない。そこで問題の通りに動くミニチュアの機械を作ってもらう。結局コマ大チームは何もしなかったようである。
 さすがに今回の問題はマスも東大生も苦戦した模様である。3組とも解答はぐるぐると渦巻きを描くような図を書いた。3組の解答、及び解説はこの場に載せることができませんでしたので、こちらをご覧ください
 近い答えはなかったが、今回は努力賞ということでコマ大の検証で機械を作った人たちに渡された。


数学とクイズでくつろいで数学の部屋「コマ大数学科」に挑む「コマ大数学科」に挑む・11年8月