数学とクイズでくつろいで数学の部屋「コマ大数学科」に挑む「コマ大数学科」に挑む・11年12月

「コマ大数学科」に挑む・11年12月

最終更新日2012年2月2日

フジテレビで深夜に放送されている「コマ大数学科」の問題に解く様子をご紹介します。数学をやってきたので簡単に解ける…と思ったものの…その奮闘振りをお楽しみに。なお、福岡での放送は二週間遅い模様です。そこら辺はご勘弁を。

ホームズの謎(12/7)
視聴者からの挑戦状 (12/14)
ルーレット(12/21)
250回記念(12/28)

ご意見がありましたらtfujisaki2006@yahoo.co.jpまでお願いします。


「ホームズの謎 (12/7)」

 今回はパズル界の巨匠マーチンガードナーが出題した問題。もちろんガードナー自身は答えを用意していたが、それより良い答えをホームズという人物が見つけた、といういわくつきの問題。

問題:
 赤いサイコロが1個と同じ大きさの白いサイコロが多数あります。以下の条件で白いサイコロを並べたとき最大何個の白いサイコロを並べることができるでしょう。
  • すべての白いサイコロが赤いサイコロと接する。
  • 白いサイコロの正の面積部分が、赤いサイコロの正の面積部分に覆われる。
  • 頂点で接するものや辺で接するものは考えない。

 今回はコマ大チームの検証もなく、3組がスタジオで実際にサイコロをくっつけて答えを探した。と、そこに現れたのは大神クヒオ改め「東京名物大神本舗五百年」スタジオの隅っこから現れた。

コマ大チームチームの解答:

図のように並べて21個。
マス・ポヌペア、東大生チームの解答:

赤い立方体の上下に上の左の図のように7個づつ並べ、
前後左右には右の図のように6個並べられるため合計20個。

コマ大チームはさておいて、マスも東大生ももう少し加えることができるのでは、と思っていた。

正解…24個 全員不正解!

いわくつきの24個。どのように立方体が接しているのでしょう?

赤い立方体の上下と右の面には左の図のように4個接するように並べる。

前後の面には真ん中の図のように7個接するように並べることができる。

最後に、左の面には6個接するように並べる。

以上から立方体の個数は4+7+7+6=24個となる
(図では接していることが分かるように正方形の形を変えて図を作っています)

 とんでもない並べ方で24個が接しているが、25個以上接することができるかできないかは分かっていない。久しぶりの未解決問題に挑んだが、3組とも決め手を欠いた解答のためコマ大フィールズ賞は持ち越しとなった。


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「視聴者からの挑戦状 (12/14)」

 以前からコマ大は問題の募集を呼びかけていた。それらの中から採用第1号として選ばれた問題がこちら。

問題:
 1 〜 10 の整数を以下の条件を満たすように並べるとき、何通りの並べ方があるでしょうか: 並べたものを最初から2個ずつの数を「組」と呼ぶことにする。
  • 各組とも奇数偶数が1個ずつ入っている。
  • 組の大きいほうの数が奇数のとき、次の組の最初の数は奇数
  • 組の大きいほうの数が偶数のとき、次の組の最初の数は偶数
  • 1、2番目の数字はそれぞれ 1, 6。最後の数字は 8 とする。

 コマ大チームの検証はとあるカクテルバーで行われた。このお店、実はコマ大チーム無法松が経営している。無法松自身がシェイカーを振りカクテルを持てなす。というわけで、5種類のお酒と5種類の飲み物を奇数・偶数、2個の数の組をカクテルとして問題を満たす並べ方を探し続けた。

コマ大チーム84通り検証の結果
東大生チーム42通り奇数と偶数の組を探した。
マス・ポヌペア??通りすみません。解答を取り忘れました。

 コマ大チームの検証は最後はほろ酔い気分になった。

正解…84通り、コマ大チーム正解!

 見事コマ大チームが正解を出した。解説は以下の通り。

10個の数字の組み分け、各組の順番を決めると問題の条件を満たす10個の数字の並びは3番目以降が決まる。
 たとえば (1,2) (3,4) (5,6) (7,8) (9,10) と組み分けし、この順で順番を決めると各組とも偶数が大きいため、

「1, 2, 4, 3, 6, 5, 8, 7, 10, 9」,「2, 1, 4, 3, 6, 5, 8, 7, 10, 9」

という並べ方に決まる。同様に、(1,10) (7,8) (5,6) (2,3) (4,9) という組と順番を決めると

「1, 10, 8, 7, 6, 5, 2, 3, 9, 4」,「10, 1, 8, 7, 6, 5, 2, 3, 9, 4」

という並べ方に決まる。
 問題では最初の数字は順に 1, 6 としているため、残り8個の数字の組み分けと順番が何通りあるかを求めればよい。

 さらに最後(10番目)の数字が 8 であるため9番目の数字は奇数。問題の条件からひとつ前の組(7,8番目)の大きい数は奇数であることが分かる。この条件を満たす組は 1, 6, 8 は使うことができないため、

(2,3), (2,5), (2,7), (2,9), (4,5), (4,7), (4,9)

の7通りしかない。各組を決めるごとに

2,4,5番目の組の奇数の決め方に6通り。
2,3番目の組の偶数の決め方は2通り。

ということが分かる。以上から条件を満たす10個の数の順番は 7×6×2 = 84 通りであることが分かる。

 コマ大フィールズ賞はコマ大チームに。正解も出しお店も宣伝できて大喜びの無法松であった。私は何だかわからないが当ててしまった。


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「ルーレット (12/21)」

 東京名物大神本舗五百年の登場で好調が続くコマ大チーム。今回も正解を出すことができるのでしょうか?

問題:
 A〜Fの6人が丸いテーブルの周りに図のように座っている。テーブルの中央にはルーレットがあり、ルーレットを回転して自分の前に来た数字を得点として加えていくゲームを行う。

ただし最高得点をとる人が2人以上いることになる場合は無効(回数に入れない)として、再度ルーレットを回す。このゲームを5回終了した時点で以下のことが分かった。
  • 1回目の最高得点はCが取った。
  • 2回目の最高得点はDが取った。
  • 5回目の最高得点はAが取った。
 このとき、5回目のA〜Fの得点を求めなさい。

 コマ大チームの検証は6人の芸人がネタを見せ、その面白さの点数でルーレットの場所を決めていく。 ここでも活躍したのは東京名物大神本舗五百年。しかし対抗心を燃やすお宮の松も負けじとネタを披露。 長い戦い(?)の末に東京名物大神本舗五百年のネタで答えを導くことができた。

コマ大チームAから順に 15, 14, 13, 10, 11, 12 検証の結果
東大生チームAから順に 15, 11, 14, 10, 14, 11 Aが逆転する得点を考えた
マス・ポヌペアAから順に 15, 14, 13, 10, 11, 12 Aが 5,5,5 点を取ると
逆転できないことから

 解答は東大生だけが異なる答え。正解はあるのか?ないのか?

正解…Aから順に 15, 14, 13, 10, 11, 12、コマ大チーム、マスペア正解!

各組とも、2回目の時点でAが最下位であることは分かっていた。そこからどう逆転するかはルーレットの数字の並びから考えることがポイント。

1回目の最高得点をとった人はCであるため6人の得点は

回数
1回目

2回目にDが最高得点をとるためにはルーレットの数字の並びから6人の得点は以下の通りになる。

回数
1回目
2回目
合計

ルーレットのむかい合う2つの点数の合計はいずれも5点。よってむかい合うAとDの5回目が終わった時の得点の合計は5×5=25点。Dはすでに9点を取っている。この状態でAが5回目に最高得点を取るためには以下の場合がある。
  • (5回目で)Aが16点。Dが9点。このとき、Aは3回目以降すべて5点を取る。この時の6人の得点を調べると

    回数
    1回目
    2回目
    3回目
    4回目
    5回目
    合計1615 1610

    となり、A,Cの2人が最高得点を取ることになる。これは条件に合わない。
  •  
  • (5回目で)Aが15点。Dが10点。このとき、Aは3回目以降で5点を2回、4点を1回とる。この時の6人の得点を調べると

    回数
    1回目
    2回目
    3回目
    4回目
    5回目
    合計1514 13101112

    となり、Aのみが最高得点を取ることになる。
  •  
  • (5回目で)Aが14点。Dが11点。この時の6人の得点を調べると

    回数
    1回目
    2回目
    3回目
    4回目
    5回目
    合計1411 14111411
    回数
    1回目
    2回目
    3回目
    4回目
    5回目
    合計1413 10111215

    左の場合は最高得点が3人、右の場合は最高得点をFがとるため条件に合わない
  •  
  • (5回目で)Aが13点。Dが12点。この時は他の4人のうち誰かが13点以上取るため、Aのみが 最高得点を取ることはない。
 以上から問題の条件に合う結果は2番目の場合のみであり、各得点はAから順に 15, 14, 13, 10, 11, 12点である。

 今回のコマ大フィールズ賞は場合分けがやや不十分ながらも正解を出したマス・ポヌペアに渡った。それにしてもコマ大チームは2週連続の正解である。


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「250回記念 (12/28)」

 コマ大数学科はついに250回を達成。放送期間も5年を超えた。記念すべき回の問題はある入試問題から。

問題:
 半径1の円に内接する正6角形の頂点を時計回りにA1,A2…,A6と付ける。任意の3点を選んで三角形を作るとき、三角形の面積の期待値を求めなさい。
 ただし、同じ点を2回以上選ぶときも含め、その時は面積は0とする。

 栄えある問題は解説の中村先生が実際に東京大学の入試問題で解いたもの。というわけで今回の検証はコマ大チームが中村先生と共に東大在学中の思い出の地を巡ることから始めた。フィールズ賞を受賞した広中平祐氏御用達の洋菓子店や2000万円もするバイオリンが置かれている楽器店などを訪れ最後はゆっくり先生と飲みに行くコマ大チーム。何やら問題の秘策を伝授されたようです。

 250回を迎えても衰え知らずのマス北野、そして容赦しない東大生・秒殺シスターズ。着々と答えを導いていく。一方秘策を受けたコマ大チームは鉛筆をコロコロ転がしていた。鉛筆で3個の頂点を決めて、面積の期待値を地道に求める作戦に出た。時間内にどこまで正解に近づけるか?

コマ大チーム 0.36808 鉛筆を転がした結果
東大生チーム √3/4作られる三角形の面積を
元に計算。
マス・ポヌペア 4√3/7作られる三角形の面積を
元に計算。

 東大生チームもマス・ポヌペアも計算方法は同じようだが答えは異なった。はたして正解はあるのか?

正解… √3/4 東大生チーム 見事正解!

 東大生チーム文句なしのコマ大フィールズ賞であった。解説は以下の通り。

 6点から任意の3点を選ぶ方法は同じ点を複数回選ぶ場合も含めて 6×6×6 = 216 通りある。このうち三角形を形成する選び方、そして三角形の面積は以下のとおりである。

 以上から面積の合計をとると

36 × √3/4 + 72 × √3/2 + 12 × 3√3/4 = 9√3 + 36√3 + 9√3 = 54√3

上の合計の値を 216 で割ると期待値が求まる。

54√3 / 216 = √3/4

 私は頂点をとる順番の6通りを計算に入れずに間違い。こんな凡ミスをして私の2011年は終わる…


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