数学とクイズでくつろいで数学の部屋「コマ大数学科」に挑む「コマ大数学科」に挑む・12年2月

「コマ大数学科」に挑む・12年2月

最終更新日2012年3月31日

フジテレビで深夜に放送されている「コマ大数学科」の問題に解く様子をご紹介します。数学をやってきたので簡単に解ける…と思ったものの…その奮闘振りをお楽しみに。なお、福岡での放送は二週間遅い模様です。そこら辺はご勘弁を。

英語で数学 Part 6 (2/1)
裁ち合わせ (2/8)
必勝法 Part 7 (2/15)
作図問題 (2/22)
平均値の定理 (2/29)

ご意見がありましたらtfujisaki2006@yahoo.co.jpまでお願いします。


「英語で数学 Part 6 (2/1)」

 調べてみると、コマ大チームに東京名物大神本舗五百年が加入して、コマ大チームは正解が5回、コマ大フィールズ賞が3回ある。この勢いで今回も…と思ったら、東京名物大神本舗五百年はカメラのケーブル係で登場。

Question:
Six mattresses are stucked in a warehouse.
Each mattress was originally 12 cm thick
but thickness is reduced by one third each time
an additional mattress is piled on top.
What is the height of the stack?

 これまで「英語で数学」は4回行われた。今回コマ大チームは自分たちで問題文を日本語に訳することに挑んだ。辞書を引き、導いた問題文はこちら。

問題:
倉庫にマットレスが6枚重なっています。
マットレス1枚の厚さは12cm。しかし、
上に1枚マットレスが載ると、厚さは1/3に縮まる。

このとき、6枚のマットレスの高さはいくつになるでしょう?

実際にマットレスで検証…と思ったが、問題のように1/3に縮まるマットレスがないということで、新聞紙を使って12cmの厚さから、1枚ずつ厚さを減らして重ねていった。

 今回の東大生チームは前回英語が今一つであることが判明した杉山・瀬戸山ペア。しかし、いざ問題となると一変。着実に問題を把握し、答えを導いていく…と思ったが?

コマ大チーム17.9 cm検証の結果
東大生チーム2660/81 cmマットレスは「1/3分縮まる」
と考え計算。
マス・ポヌペア32.8 cmマットレスは「1/3分縮まる」
と考え計算。

東大生チームははじめコマ大チームと同じ計算をしたが、問題文を読み直し計算を修正した。マットレスの縮み方はどちらが正しいのか?

正解…2660/81 (およそ 32.83) cm 東大生チーム、マス・ポヌペア正解!

コマ大チーム、努力もむなしく不正解。改めて正しい問題文と解説です。

問題:
倉庫にマットレスが6枚重なっています。
マットレス1枚の厚さは12cm。しかし、
上に1枚マットレスが載ると、厚さは1/3だけ縮まる。
(つまり厚さは2/3になる)

このとき、6枚のマットレスの高さはいくつになるでしょう?

マットレス1枚の厚さは 12 cm。この上にマットレスを1枚載せると 下のマットレスは 12 cm の 2/3、つまり 8 cm となる。上のマットレスは 12 cm のまま。

この2枚の上にさらにマットレスを1枚載せると、
 一番下のマットレスは 8 cm の 2/3、つまり 16/3 cm。
 真ん中のマットレスは 12 cm の 2/3、つまり 8 cm。
 一番上のマットレスは 12 cm のまま。

マットレスは一番上は 12 cm で、下は一つ上のマットレスの厚さの 2/3 になる。以上から 6枚重なっているときの厚さの合計は

12 + 8 + 16/3 + 32/9 + 64/27 + 128/81 = 2660/81cm

 もちろん解説の計算は等比数列を使っても答えが出ますが、この位なら単純に足していっても大丈夫でしょう…と言いながらも私も等比数列を使って答えを出しました。竹内先生が「小数第2位まで答えを出して欲しい」と一言話していたが、ポヌさんは小数第1位までしか書いていなかった。タッチの差であるが、今回のコマ大フィールズ賞は東大生チームである。


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「裁ち合わせ (2/8)」

 コマ大では以前「ある図形を切って並べ替えて正方形にしなさい」という形式の問題がいくつか出題された。今回も同じく「図形を切って並べ替えて正方形にする」問題だが、求めるものがちょっと異なる。

問題:
 六角形の形をした紙を図のようにハサミで切り 並べ替えて正方形にした(ハサミを入れたギザギザの 数は6個です)

 六角形の周囲が70cm(赤線の部分)ハサミの切り口の長さが61cm(青線の部分) であるとき、正方形の一辺の長さを求めなさい。

 コマ大チームは「紙を切る」ということで紙切りの芸を披露する女性のところに弟子入り。 何も書かれていない紙を問題の通りに切ることはさすがに難しく、指導を受けながら正方形を 作る。答えは出たのでしょうか?

 ひらめきで勝負のマス北野。一方東大生チームは秒殺シスターズ。計算で答えを求めようとするが 何やら長い計算式が現れた。正解にたどり着けたのか?

コマ大チーム18cm検証の結果
東大生チーム18cm方程式を作って解いた。
マス・ポヌペア17cm90の半分45の約数
から考えた。

解答は18cmと17cmの二つ。ちなみに私は元の周囲70cmを4等分した値(17.5cm)に近いとして18cm…いや17cmに変更した。計算は…さっぱりわからず。

正解…18cm コマ大チーム、東大生チーム正解!

私のことは放っておいて解説です。

 上の図のように切り取り線の縦の線から周囲の辺へまっすぐ線を引き、辺までの距離を x, 辺の交点から正方形の頂点までの長さを y, 切り取り線の斜め線の長さを a とする。
 このとき正方形の一辺の長さは 6y, 頂点から切り取り線の交点までの長いほうの距離は 6x, 短いほうの距離は 6y-6x となる。この短いほうの距離は切り取り線の縦方向の長さと同じである。

 問題の図から、六角形の周囲の長さは 2*(6x+6y+a), 切り取り線の長さは 6(6y-6x)+5a となる。

コマ大フィールズ賞は長い式から答えを導いた東大生チーム。


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「必勝法 Part 7 (2/15)」

 おなじみ「必勝法」シリーズ。勘で勝負のコマ大チーム、ひらめきで勝負のマス、計算で勝負の東大生チーム。勝つのはどのチームか?

問題
 以下のルールに従ってゲームを行います。このゲームの必勝法を見つけなさい。
  • 先手は1からスタート。一度に +1, +2, +10, +20 された数字のマスに移動できる。
  • 後手は100からスタート。一度に -1, -2, -10, -20 された数字のマスに移動できる。
  • 先手は後手の数字より少ない数字のマスにいなければいけない。
  • 後手は先手の数字より多い数字のマスにいなければいけない。
  • 移動できなくなったら負け。

 勘で勝負のコマ大チーム。実際にゲームをしながら必勝法を見つけることに。それだけでは面白くないということで、いくつかの数字で罰ゲームを決めた。必勝法を見つけなければ、と集中すると罰ゲームに当たってしまう。うまく罰ゲームをくぐり抜けながら勝つ方法を見出した。

 必勝法を見出すためにマスが取った行動は消しゴムを先手・後手の位置に置き実際に動かしていった。東大生チームは消しゴムではなく鉛筆で位置を指しながら思案する。各組の解答は以下の通り

コマ大チーム後手が常に端にいるようにする
と勝てる
東大生チーム両者が3×3の対角線の位置に
入るようにする。
マス・ポヌペア後手が相手と奇数だけ差をとる
ようにする

 3組とも解説はするものの、タカさんが突っ込むと説明が止まってしまう。確信はない模様。

正解は…3組とも不正解。が…

マスが一言「3の倍数だけ離れれば勝てる」と話していた。この考え方から必勝法が見つけることができる。

 どちらかが負けになるときは、両者が隣り合う(差が1である)2つの数字にいるときである。この時、両者の移動したマス目を数えると合計がちょうど98になる。つまり、先に移動したマス目の合計を98にすれば勝ちになる。

 たとえば、下の図のように先手が「53」後手が「54」に入った状態で勝負が決まった時、先手は 52 マス、後手は 46 マス移動しているため、合わせて 52+46 = 98 マス移動したことになる。

 そこで、先手が最初2マス(または20マス)進めば先手は必ず勝てる。 このあと両者は96または78マスだけ離れている。両方の数はともに3の倍数であるため、後手の移動したマス目に対して、合わせて3の倍数になるように移動すれば負けることはない。

 後手が1マス、または10マス移動したとき、先手は2マス、または20マス移動する。
 後手が2マス、または20マス移動したとき、先手は1マス、または10マス移動する。

 コマ大チームも東大生チームもマス目全体の形から考えていたが、端から端への移動(例:50から51へ移動)もあるため、形を考えるのは見当違いだった。ちなみに私は解説の方法に近かったが「合計が98」ではなく「合計が99」と思っていた。コマ大フィールズ賞はマスの一言の勝利である。


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「作図問題 (2/22)」

 約一週間遅れのバレンタインの話で始まったコマ大。

問題:
 図のような四角形 ABCD と点 M がある。点 M を中心とする平行四辺形で4個の頂点が それぞれ AB, BC, CD, DA 上にある平行四辺形を作図しなさい。

 コマ大チームは作図をするには道具が必要、ということで精巧な文具を探しに出かけた。向かったのは「TVチャンピオン・文具王」で優勝経験のある高畑さん。天井まで届きそうな収納ケースに詰め込まれた文具を見ながら話に花が咲く…と思ったらもううんざりのコマ大チーム。作図に最適な文具をたずねたら、設計などで使う製図道具を紹介。ちょっとお借りしてスタジオで作図に挑む。

 万能の製図道具を手に解答に挑むコマ大チーム。しかし中村先生から「目盛を使わないように」という指摘から目盛を隠して平行四辺形を作る。マス・ポヌペアと東大生チームは正解の手掛かりとなる作図を始めた模様だが、マスはそれを消してしまった。はたして解答は

コマ大チーム
マス・ポヌペア
点Bを含む平行四辺形
を作った
東大生チーム点Mで点対称な四角形を
描き作図した

 マスも点対称な四角形を描いてはいたがそこから作ることができなかった様子。

正解は…東大生の作図方法は正解です

コマ大チームやマスの作図の方法でも平行四辺形はできるが、一般の四角形に対してでは作図できない。東大生チームの作図の方法を詳しく説明。

点 M に対して四角形 ABCD と対称な四角形 A'B'C'D' を描く。










 2直線 AB, A'D' の交点、2直線 AD, A'B' の交点を求める。
これら2点は点 M に対称な位置にあるため、2点を結ぶ線分の中点が M になる。







 同様に2直線 BC, C'D' の交点、2直線 CD, B'C' の交点の2点も点 M に対称な位置にあるため、2点を結ぶ線分の中点が M になる。

 これら4個の交点からなる四角形は2本の対角線が中点 M で交わるため平行四辺形になる。

ちなみに私の考えた作図法はこちら。

 一般に交わる2直線 p, q を含み点 M を頂点とする平行四辺形から 辺の長さを2倍に延ばし点 X, Yを決める。このとき線分 XY の中点は点 M になる。

 問題の四角形において、交わる2直線として BC と CD, AB と AD の2組に対して上と同じ作図をすると点 M を 中点とする2本の線分が求まり、2本の線分(図の赤い線)を対角線とする平行四辺形が問題の条件を満たすことが分かる。

やはりシンプルな方法が上である。コマ大フィールズ賞は東大生チーム。


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「平均値の定理 (2/29)」

 「平均値の定理」というと微分の一定理であるが、微分を使いそうな感じがしない今回の問題。

問題:
 自動車で北東の方角にあるゴールに向かいます。ゴールまでの到着の間、 自動車の鼻先が一度も北東を向くことなく進む場合のルートを作図しなさい。 (自動車はバックをしてはいけません)

 オープニングの爆笑平均値 0.167 のコマ大チーム。実際に車で使って検証。ガンビーノ小林のドライビングテクニックで即答…かと思われたが答えが見つからず。仕方なく手押し台車を使ってのんびりと答えを探しさまよった。

 今回の問題、即答したのは秒殺シスターズ。答えの図をさっと描いて、念のための確認作業。一方のマス北野は「平面上で答えを出すのか」と質問。おそらく地球をぐるっと回るルートを考えていたらしい。

こんなルートを考えていたのかも…

正直私もその考え方を思いついた。

 コマ大チームが2回も回ったのに対して、残り2組は1回だけ回ってゴールに行くルートを考えた。

正解…3組とも正解!

さて「平均値の定理」はどこで出てくるのでしょう?

 上の図のように北東より北→北東より東というように車を方向転換する場合、右方向に転換すると一瞬でも必ず車は北東の方角を向く(左の図。矢印が車の方向)

 そこで左方向に転換すると、北東の方角を向くことなく車は北東より東に方向転換できる(右の図)

 東大生チームやマス・ポヌペアは北東より東→北東より北という方向転換をしたルートを考えたが、この場合は方向転換に向きが逆になる。

 「平均値の定理」とは問題の様にスタートからゴールまで移動するとき、必ず「スタートからゴール」 を結ぶ直線と平行な方向を向く、という定理。上の図では赤い矢印が平行な方向を向いているときである(本当はもっと解説が必要ですがこの位で勘弁)

 今回の問題でもどのルートでも必ず「北東」に平行な方向を向くが、「北東」と反対方向の「南西」を向くこともある。これが答えの右の図のルートになる。

 コマ大フィールズ賞は「平均値の定理」を思い出した東大生チーム。


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