数学とクイズでくつろいで数学の部屋「コマ大数学科」に挑む「コマ大数学科」に挑む・12年5月

「コマ大数学科」に挑む・12年5月

最終更新日2012年6月19日

フジテレビで深夜に放送されている「コマ大数学科」の問題に解く様子をご紹介します。数学をやってきたので簡単に解ける…と思ったものの…その奮闘振りをお楽しみに。なお、福岡での放送は二週間遅い模様です。そこら辺はご勘弁を。

4つの整数(5/4)
コイン(5/11)
エンドレスゲーム(5/18)
超ラングレー問題(5/25)
卒業試験 Part 3 追記

ご意見がありましたらtfujisaki2006@yahoo.co.jpまでお願いします。


「4つの整数 (5/4)」

 先週の本杉さんに続いて今回も「研究生」横内さんが登場。今回の問題はコマ大ではすっかりおなじみ「数学オリンピック」の予選問題。難問かな?

問題:
 A君とB君はそれぞれ2個ずつ正の整数を書きました。合計4つの整数は以下の条件が成り立ちます。
  • A君の2つの整数の積はB君の2つの整数の和の2倍
  • B君の2つの整数の積はA君の2つの整数の和の2倍
  • A君の2つの整数の和はB君の2つの整数の和以上である。
 このとき考えられる4つの整数の中でB君の2つの整数の和の最大値を求めなさい。

 コマ大チームは出たとこ勝負。2つの数字を選び、条件に合う残り2つの数字を探す。そこで登場したのは林家ペーパー子夫妻。月と日を2つの数字として誕生日の有名人を出してもらう。70才を過ぎたぺーさん、有名人を思い出すのに一苦労の場面もあった。これに負けじ(?)と登場したのは東京名物大神本舗五百年。ネタの一つである誕生花と花言葉を披露。ここしばらくのロケと違ってのんびりした中、答えが出た模様。

 東大生チームはすっかりベテランの木村さんが率先して計算を行う。何かをひらめいたのか一気に計算を進め「出た!出た!」と連呼した。マスはじっくり計算。

コマ大チーム13B君は3と10を選んだ。
マス・ポヌペア11「3と6」という解答は見つけたが
もう少し大きいのでは、と勘で解答
東大生チームB君は3と6を選んだ。

コマ大チームの検証で「4と6」が条件に合うことが分かっていたので、この時点で正解は10以上のはず…と相手の揚げ足をとっても仕方がない。私はさっぱり分からず。

正解…27 全員不正解!

解答よりもはるかに大きい値の正解に全員が驚いた。東大生チームは考え方はよかったが、途中でミスをしてしまった。

 A君が書いた整数を a, b B君が書いた整数を c, d とする。問題の条件を式で表すと

ab = 2(c + d),  cd = 2(a + b),  a + b ≧ c + d

 1番目の式と3番目の式から

   ab = 2(c + d) ≦ 2(a + b)
 ⇒ ab - 2 a - 2 b ≦ 0
 ⇒ ab - 2 a - 2 b + 4 = (a - 2)(b - 2) ≦ 4

 a, b は正の整数であることから (a - 2)(b - 2) ≦ 4 を満たす a, b は以下の場合がある。
 a = 1 であるとき、1番目の式と2番目の式から

   b = 2(c + d) = (cd - 2)/2
 ⇒ cd - 4 c - 4 d = 2
 ⇒ (c - 4)(d - 4) = 18

よって (c-4, d-4) = (1, 18), (2, 9), (3, 6) の3通り。それぞれの場合で b, c, d を求めると

(a, b, c, d) = (1, 54, 5, 22), (1, 38, 6, 13), (1, 34, 7, 10)

となる
(c, d の値が逆の場合もあるが、問題では順序は考えなくてよい。b = 1 のときも c, d について同様の結果が得られる。)
 a = 2 であるとき、1番目の式と2番目の式から

   b = c + d = (cd - 4)/2
 ⇒ cd - 2 c - 2 d = 4
 ⇒ (c - 2)(d - 2) = 8

よって (c-2, d-2) = (1, 8), (2, 4) の2通りがある。それぞれの場合で b, c, d を求めると

(a, b, c, d) = (2, 13, 3, 10), (2, 10, 4, 6)

(b = 2 のときも c, d について同様の結果が得られる。)
 その他の a, b の場合のうち ab が偶数になるものは (a, b) = (3, 4), (4, 4), (3, 6) の3通り。

(a, b) = (3, 4) の場合は条件にあう c, d は見つからない。

(a, b) = (4, 4), (3, 6) の場合の条件にあう c, d はそれぞれ (c, d) = (4, 4), (3, 6) である。

 以上の組み合わせのうち、c + d が最大になる組み合わせは (c, d) = (5, 22) のときで 2数の和は 27 になる。

 今回のコマ大フィールズ賞はペーさんの活躍(?)でコマ大チームに渡った。


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「コイン (5/11)」

 今年4月からイギリスのテレビ局BBCでコマ大を元にした番組が放送されている。数学の問題に真剣に解く解答者を尻目にコメディアンがあの手この手で答えを出そうとする様子はコマ大と全く同じ。ありそうでなかったこんな番組。もっと広まるのでしょうか?

問題:
 5×5の正方形が並んだ盤面に10円玉3枚、100円玉5枚を並べる。ただし 縦の列、横の列、斜め45度の列に異なるコインが並ばないようにしなければいけない。

 このような並べ方を見つけなさい。

上の並べ方の場合、青の線上の縦と斜めの線に10円と100円が並んでいるため、条件に合わない。

 本家コマ大であの手この手で答えを出すのはコマ大チーム。今回はマス・ポヌペア、東大生チームと同じく実際にスタジオで答えを出すことになった。と、その前に今回使うコインを探すために訪れたのはコレクションコインを販売している店。同じ10円玉、100円玉でも発行数の少ない年のコインは価値が本来の価値の何十倍も上がる。普通であれば530円で済むコインが5枚で2100円。これは正解を出さないといけないでしょう。

 3チームとも試行錯誤しながら答えを導き出そうとしている。いち早く答えを出したのはマス・ポヌペア。自称「おっさん声」の瀬戸山さん率いる東大生チームも続けて解答。コマ大も時間ぎりぎりに答えを出した。

 東大生チームとマス・ポヌペアは並べ方は違うが、上下逆にすると同じ並びになる。コマ大チームは…論外かな?

判定は…マス・ポヌペア、東大生チーム 正解!!

 私もノートに書きながら考えていたが、答えが出なかった。どうしてこの答えが出なかったのだろうか?今回の問題は10円玉を先に置くことから考えると早く答えが出ます。

 10円玉を置いたとき、100円玉が置けなくなるマス目の数を調べると下左の図の通りになる。 この数字が少ないところに10円玉を置くとよい。(空欄のマス目は対称性から数が分かる)

 左上隅のマス目に10円玉を置いた時を考える。2枚目の10円玉は1枚目の10円玉と同じ列に置くことがよいと見る。2枚目の10円玉を置いたときに、さらに100円玉が置けなくなるマス目の数を調べると下右の図の通りになる。

 先ほどの図で「5」の描かれたマス目は2個ある。それぞれのマス目に10円玉を置いたとき、3枚目の10円玉を置いて100円玉が置けるマス目の数を調べると以下の通りになる。
 どちらの場合でも100円玉が5個置けることができないことが分かる。

 「5」の描かれたマス目として、1枚目の10円玉と隣り合うように2枚目の10円玉を置く。このとき3枚目の10円玉を置いて100円玉が置けるマス目の数を調べると以下の通りになる。「5」と書かれたマス目が1個だけある。ここに3枚目の10円玉を置けば100円玉を5枚置くことができる。

 他の場合についても調べても5枚の100円玉を置く並べ方はできない…みたい。

 コマ大フィールズ賞はいち早く答えを出したマス・ポヌペア。


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「エンドレスゲーム (5/18)」

 今回の東大生チーム研究生は金子さん。ダンスサークルに所属しコスプレをする、という東大生らしからぬ(?)お方。

問題:
 A君とB君はあるゲームを行います。ゲームに勝つとそれぞれ相手からコインを1枚もらうことができます。どちらかがコインをすべて取るとゲームは終了です。

 現在コインをA君は6枚、B君は2枚持っています。ゲームに勝つ確率がA君が1/3、B君が2/3であるとき、A君がB君のコインをすべて取る確率を求めなさい。

 コマ大チームはシンプルにゲームを行い確率を出す。A君が勝つと何もないが、B君が勝つと「ビューティープラン」という名の罰ゲームを受ける。くすぐりやテープ剥がし、果てはビンタまで登場した今回のゲーム。ゲームが終了するまで時間がかかることが分かった。確率は出たのか?

 コマ大と同様に苦戦している東大生チームとマス・ポヌペア。着実に計算をして確率を求めようとするが、すっきりとした値が出てこない。時間内に答えが出たのでしょうか?

コマ大チーム1/4 8回行い2回Aが勝った
マス・ポヌペア10%ポヌさんがこつこつと計算したが、
最後は「何となく」
東大生チーム数値は出ずボードには「a_{n+2}=3/5 + 2/5 a_n」
これを解けば求まるとのこと。

 解き方は三者三様、解答も三者三様。難問だったようです。私も何となくで「2/7」と解答。

正解… 21/85 全員不正解!

 中村先生はゲームが始まるときのコインの枚数を基準に勝つ確率の関係を考えると良い…と 言いましたがこの話だけでは分かりにくいと思いますので、きちんと解説を。

 A君がコインを n 枚、B君がコインを 8-n 枚 持っているとき、A君がB君のコインをすべてとる確率を P(n) と表す。

 n = 0 のときはB君の勝ちであるため、P(0) = 0
 n = 8 のときはA君の勝ちであるため、P(8) = 1.

その他の場合、

 A君が勝つとコインが1枚増えるためこのあとA君が勝つ確率は P(n+1) に変わる。
 B君が勝つとコインが1枚減るためこのあとA君が勝つ確率は P(n-1) に変わる。

ゲームに勝つ確率を考えると

P(n) = 1/3 P(n+1) + 2/3 P(n-1)

という式が成り立つ。

 もっとも正解に近かったのはコマ大チーム。中村先生もしぶしぶコマ大フィールズ賞を渡した。


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「超ラングレー問題 (5/25)」

 「ラングレー問題」とは四角形の4か所の角度から指定された1か所の角度を求める問題。今回はその問題に挑む…が問題を作るのはコマ大レギュラー。無作為に選んだ角度で問題が作られた。竹内先生いわく「並みの難度」とのこと。

問題:
 四角形 ABCD について、図のように角度が定められたとき、 ∠ADB を求めなさい。

 この問題はコマ大チームには有利。だって実際に図を描いて角度を測ればよいから。しかし、その前に正確に角度を測る訓練を(?)ということで訪れたのは開業間もない東京スカイツリーのある東京都墨田区。懐かしさをうかがわせる大きい分度器を使ってあれやこれや角度を測っていく。電車の先端部、ピースの二本指の角度、果てはおじさんの膝の角度まで測って準備万端。あとはスタジオで測っていく。

 東大生チームは研究生として今回は溝田さんが登場。山田さん以来の右利き、左利きペアで解答に挑む。マス・ポヌペアもあれやこれや線を引いて行って答えを導き出す。

コマ大チーム15度 図を描いて角度を測った。
マス・ポヌペア10度あちらこちら線を引いて出てきた。
東大生チーム30度逆さの正三角形を作って
考えた。

 今一つ自信のないマス・ポヌペアと東大生チームとは反対に自信満々のコマ大チーム。紙を連ねて図を描き角度を測ったが、角度を測ったのは「手」正しいのでしょうか?

正解…10度 マス・ポヌペア正解!

見事にマスが正解を導いた。

∠ACB = 30°, ∠DBC = 60°より対角線 AC, BD は直交する。また

∠BAC = 180°- 30°- 20°- 60°= 70°

となる。
さらに BD 上の点 E を ∠BAC = 30°となるように定めると 三角形 BCE は正三角形になる。さらに

∠BCA = ∠ECA, BC = EC, AC = AC

であることから二つの三角形 BCA, ECA は合同である。
AB と CE の交点を F とする。このとき

∠BCF = ∠CBD, ∠CBF = ∠BCD, BC = CB

より二つの三角形 BCF, CBD は合同である。このことから

F から BC への距離 = D から BC への距離

であることが分かるため、四角形 BCDF は FD // BC の等脚台形である。

 三角形 BCA, ECA は合同であることから ∠EAC = ∠BAC = 70° よって

∠FAE = 180°- ∠BAC - ∠EAC = 40°= ∠AFE

つまり三角形 AEF は AE = FE の二等辺三角形である。また三角形 DEF について FD // BC であることなどから3つの角がすべて 60° であるため、正三角形である。このことから

AE = FE = DF

が成り立つため、三角形 ADE もまた二等辺三角形であり、∠EAD = ∠EDA が成り立つ。

 三角形 ABD の内角の和を求めると

 ∠ABD + ∠BDA + ∠ADB
= 20°+ ∠EDA + (70°+ 70°+ ∠EAD)
= 160°+ 2∠EDA

この値は 180°であるため、∠BDA = ∠EDA = 10°であることが分かる。

 (上の解説の図は正しい角度で作成したものではありません)コマ大フィールズ賞は試行錯誤で答えを出したマス・ポヌペア。


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卒業試験 Part 3 追記

 3月に放送された「卒業試験 Part 3」の内容について、先日メールをいただきました。

問題:  階段を一歩で1段または2段上がっていきます。ただし、 連続して2段上がることはしません。

 この条件で15段昇る方法は何通りあるでしょうか?

この問題の解法として以下の方法があるそうです。

 n 段ある階段を問題の条件を満たすように昇る方法が A_n 通りあるとする。

 ある昇り方で最後に1段昇るか2段昇るかで場合分けをする。

  •  最後に1段昇る昇り方は、それまでの n-1 段は条件を満たす昇り方で あるため、A_{n-1} 通りある。
  •  最後に2段昇る昇りとき、2回続けて2段ずつ昇ることはできないため、 最後から2番目は必ず1段昇る。
     つまり最後に2段昇る昇り方は、それまでの n-3 段は条件を満たす昇り方にして、 そのあと1段、2段という昇り方になるため、A_{n-3} 通りある。
 以上から A_n については

A_n = A_{n-1}+A_{n-3}

という関係式が成り立つ。

 A_1 = 1, A_2 = 2, A_3 = 3 より以降の計算を続けると

A_4 = A_3 + A_1 = 4
A_5 = A_4 + A_2 = 6
A_6 = A_5 + A_3 = 9
A_7 = A_6 + A_4 = 13
A_8 = A_7 + A_5 = 19
A_9 = A_8 + A_6 = 28
A_10 = A_9 + A_7 = 41
A_11 = A_10 + A_8 = 60
A_12 = A_11 + A_9 = 88
A_13 = A_12 + A_10 = 129
A_14 = A_13 + A_11 = 189
A_15 = A_14 + A_12 = 277

 以上から15段昇る方法は 277 通りであることが分かる。

 久しぶりのメールありがとうございます。コマ大の番組、そしてこのページを見て気になることがありましたら、どしどし…と来たら対応しきれませんので、ちょこちょこメールを送ってください。


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