数学とクイズでくつろいで数学の部屋「コマ大数学科」に挑む「コマ大数学科」に挑む・12年12月

「コマ大数学科」に挑む・12年12月

最終更新日2013年1月30日

フジテレビで深夜に放送されている「コマ大数学科」の問題に解く様子をご紹介します。数学をやってきたので簡単に解ける…と思ったものの…その奮闘振りをお楽しみに。なお、福岡での放送は二週間遅い模様です。そこら辺はご勘弁を。

Ex3 パズル(12/7)
入社試験に挑戦(12/14)
外資系入社試験(12/21)
線が千(12/28)

ご意見がありましたらtfujisaki2006@yahoo.co.jpまでお願いします。


「Ex3 パズル (12/7)」

 世界を魅了する日本のものといえば数多いはず…そんな中で日本生まれの「パズル」が世界のパズル愛好家で評判である。今回はそのパズルに挑む。
 そのパズルを探しにコマ大チームが訪れたのは理数系進学塾「エルカミノ」。以前コマ大の検証でお世話になったこの塾に来てみると、机の上にたくさんのパズルが…その中のたった3枚のプラスチックの板、それが今回取り上げるパズルとのこと。更なる手がかりを貰うためにコマ大チームが問題に挑む。

問題:
 3個の長方形が図のように並べています。面積と長さが図のように分かっているとき、左端の「?」の値を求めなさい。ただし、計算の途中で分数を使ってはならない。

突然の問題に悩む中、1人ひょうひょうとガンビーノ小林が答えを出した。

 左の図のように青の長方形を加えると3個の長方形で一つの大きな長方形ができる。この長方形の面積は 14cm × 10cm = 140 cm^2。この面積から、すでに面積が分かっている2個の長方形の分を引くと

140 cm^2 - 37 cm^2 - 66 cm^2 = 37 cm^2

この面積は青の長方形の面積である。

 青の長方形と右隣りの長方形は面積も同じで、高さも同じ。つまり横の長さも同じである。このことから青の長方形の横の長さは 7cm である。

 このことから左の長方形の横の長さが 13 cm - 7 cm = 6 cm となるため、高さは 72 / 6 = 12 cm これが求める長さである。

 ガンビーノの活躍でどうにかパズルの手がかりをもらった。さて、ここからが本題です。問題は3問。

第1問:右の図のAとBを使い、線対称の図形を作りなさい。

第2問:右の図のBとCを使い、線対称の図形を作りなさい。

第3問:右の図のA,B,Cを使い、線対称の図形を作りなさい。

 いずれの問題でも図形を重ねてはいけない。また、各図形は裏返して 使ってもよい。

 今回、ポヌさんの代役で登場したのは東大生のベーシスト松本さん。各問題は早く答えたが勝ちのスピード勝負。

 第1問 3組が一斉に答えを出した。とりあえず1位:コマ大チーム、2位:東大生チーム、3位:マス・松本ペアとなった。
 第2問 こちらも3組が一斉に答えを出した。今回は1位:東大生チーム、2位:マス・松本ペア、3位:コマ大チームとなった。

第1問の解答は左の図。第2問の解答は右の図の通りになる。

 第3問 竹内先生いわく『超難問』の第3問。前の2問とうってかわって沈黙の時間が過ぎる。 マスがプラスチックの板で作った形を大きなボードに並べようとしたところ、並べ方が分からなくなった。松本さんと協力しどうにか並べた。判定は…正解!!超難問をマスは短い時間で解いてしまった。その後は再び沈黙…そしてタイムアップ。

図のように並べると点線が対称軸になる。

私は1問目は分かりましたが、2問目はテレビの速さに負けて答えを出せず。3問目は答えを出せなかった…というか、ここで答えを知りたくはなかった。解けるまで悩みたかった。
 世界を魅了するパズルは、さすがに世界の北野には勝てなかったのか。コマ大フィールズ賞はマス・松本ペア。


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「入社試験に挑戦 (12/14)」

 大学の入試にも挑んだ。公務員試験にも挑んだ。今度は入社試験だ!ということで、今回は発行部数世界一となった読売新聞社の入試問題に挑戦。

1問目:
 A,B,C,D,Eの5人が同じマラソンコースでマラソン競争を行いました。走り終わり、5人は以下のコメントを残しました。

 A「CにもDにも負けてしまいました。」
 B「Dには負けてしまいましたが、Aより先にゴールできました。」
 C「Dには勝ちましたが、目標の2位以内に入ることができませんでした。」
 D「Cには負けましたが、Bには勝ちました。」
 E「1位になりまして、とてもうれしいです。」

5人のコメントのうち、1人だけうそのコメントを言っています。このとき、実際3位に入った人は誰でしょう。

1.A 2.B 3.C 4.D 5.E

 コマ大チームの検証は実際に走って答えを探し出す。コマ大チーム4人に東大生溝田さんも加えた5人がAからEの役割を決めて、走って順位を付けていく。溝田さんは余裕のゴールを見せるが、答えの条件を満たすことはできない。役割を変えていきながら、走って、走って、走りまくる……さて、答えは?

 今回のポヌさんの代役は東大生のフラガール淡路さん。レギュラーの東大生チームも負けてはいない。問題をあっという間に解いてしまった。と、いうわけで今回は問題がもう1問ある。

2問目:
 図のような立方体Aと直方体Bが各15個あります。これらのうち何個かを使い、図のような大きな立方体を作りました。このとき使われなかった立方体Aは最大何個になるでしょう。

1.9 個 2.10 個 3.11 個 4.12 個 5.13 個

 着々と計算をする東大生チーム。マスはひらめきで答えを導き出そうとする。そんな中突然腕相撲を始めたコマ大チーム。何を企んでいるのでしょうか?2問の解答は以下の通り。

1問目コマ大チーム:4東大生チーム:4マス・淡路ペア:4
2問目コマ大チーム:2東大生チーム:2マス・淡路ペア:3

1問目は全員答えがそろったが、2問目はマス・淡路ペアが違う答え。今回は解説と共に解答。

1問目:5人のコメント内の順位を不等号で表す。「大なり」の方を上位とする。

 A:C>A,D>A
 B:D>B,B>A
 C:C>D,2>C
 D:C>DD>B
 E:E=1

 青字のコメントは同じ結果である。この結果がウソであれば、BとDの2人がウソをついたことになるが、実際は1人しかウソをついていない。つまり青字のコメントは正しい結果である。
 同じく緑の字のコメントも正しい結果である。このことから「C>D>B」という順位が分かる。

 Aのコメント「C>A」がウソであれば「A>C」が正しい結果になる。このとき「A>B」となるため、Bの2番目のコメントもウソになり2人がウソをついたことになる。このことから「C>A」は正しい結果である。

 この時点でCはA,B,Dより上位であることが分かるため必ず2位以内である。つまりCの2番目のコメントがウソであることが分かる。他のコメントの組み合わせると順位は「E>C>D>B>A」となり、3位に入ったのは「4.D」である。 

 大きい立方体の見えているA,Bを取ると、Aの立方体6個分の部分がどのように並べられているかわからない。

 この部分をBだけで作ろうとするとできないことが分かる。しかしAを2個、Bを2個では作ることができる(Aを1個だけはできない)

 つまり、この立方体を作るために必要な立方体Aは、問題で見えていた3個と見えていない部分2個の合わせて5個は最低でも必要である。よって使われない立方体Aは最大 15 - 10 = 5 個(つまり2.)である。

 マスは2問目の不正解に「あれ〜〜」とおとぼけ風。2問正解したコマ大チームと東大生チームであったが、解説で紹介された読売新聞の入試問題を正解した東大生チームにコマ大フィールズ賞が渡った。


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「外資系入社試験 (12/21)」

 公務員試験にも挑んだ。入社試験にも挑んだ。それなら世界進出だ!!ということで今回はアメリカの金融機関「ゴールドマン・サックス」の入社試験からの問題(ちょいアレンジ?)東大生チームは木村さんと外資系企業に勤めていたこともある芸人石井てる美さんのコンビで挑む。

問題:
 あなたはある組織にとらわれて、以下のゲームに挑むことになりました。

・白の玉10個と黒の玉10個が与えられている。
・これら20個の玉を2個の空き箱の中に振り分けて入れる(個数は自由。一方の箱は空のままでもよい)
・組織のボスが2個の箱のどちらかを選び、そこからボールを1個選ぶ。選んだ箱が空であれば、もう一方の箱を選ぶ。
・ボスが白の玉を選べば釈放。黒の玉を選べばお仕置き。

 以上の条件のとき、釈放される確率が最も高くなるのは何%で、どのように玉を振り分けたときでしょう?

 石井さんに負けてはならないと芸人コマ大チームはシンプルな検証。「アウトレイジ」風に4人が悪人(?)となり、選ばれた一人がゲームに挑む。見事白玉が選ばれれば何もないが、黒玉が選ばれればきつ〜〜いお仕置き。ボールが投げつけられたり、激辛飴をなめさせられたり、久しぶりの罰ゲームオンパレードで終了…じゃなくって、検証も終了です。

 今回の問題をいかに解くか…と思われたが、マスも東大生もあっという間に解いてしまった。解答は以下の通り。

コマ大チーム100%一方に白玉1個、残りをもう一つの箱へ
あとは誘導作戦で白玉だけの箱へ?
東大生チーム73.7%一方に白玉1個、残りをもう一つの箱へ
マス・ポヌペア73.7%一方に白玉1個、残りをもう一つの箱へ

 3チームとも玉の入れ方は同じだったが、コマ大チームだけ確率が違っていた。なぜ?と考える必要はないか。

正解… 73.7% 東大生チーム、マス・ポヌペア正解

 一つの箱に白の玉 a 個、黒の玉 b 個が入っているとき、この箱から白の玉が選ばれる確率は a/(a+b) である。この確率が 50% つまり 1/2 を超えるときを考えると

a/(a+b) > 1/2 ⇒ a > b

つまり白の玉が黒の玉より多いときである。一方確率が 1/2 より低いときは a < b、つまり白の玉が黒の玉より少ないときである。
 問題のゲームについてボスが箱を選ぶ確率を 1/2 とすると、2つの箱とも白・黒5個ずつ玉を入れれば、釈放される確率は 1/2 である。

 釈放される確率を 1/2 より高くするためには、少なくとも一つの箱の確率を 1/2 より高くしなければならない。つまりこの箱には白の玉が多く入っている。
 このとき、もう一方の箱には黒の玉が多く入っているため、確率は 1/2 より低い。

 白の玉が多く入っている箱で釈放される確率を最も高くするためには、黒の玉が入っていない時が確率 1(100%)である。
 一方、黒の玉が多く入っている箱で釈放される確率を最も高くするためには、白の玉9個、黒の玉10個入っているときである。

 これら2つの箱の玉の状態に振り分けることができるため、全体の確率は

1/2 × (1 + 9/19) = 14/19

(およそ 73.7%)である。

 コマ大フィールズ賞は苦悩の末、マス・ポヌペアへ。私もあれこれ計算して…と進めていたが、結局はひらめきで答えを出した。まあ、いいかな?


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「線が千 (12/28)」

 2012年もまもなく終了。コマ大は東大生衛藤さんら3人の卒業、溝田さんのレギュラー加入、ポヌさん、戸部アナの結婚、私がマスマスターに…などと良いこと尽くめの一年でした。どさくさに余計なものを入れていますが、それはさておいて今回の問題。

問題:
 1cmの線分を4本使って一辺が1cmの正方形が1つできます。
 7本を使うと一辺が1cmの正方形が2つできます。

 では1cmの線分を1000本使うと、一辺が1cmの正方形が最も多くて何個できるでしょう?

 コマ大チームの検証は至ってシンプルに線を並べて正方形をたくさん作る。持ってきたのはお中元でいただいた乾燥そうめん。これを線分代わりにしてひたすら並べていく。コマ大チームは今年も様々な検証に挑みました。特に溝田さんの加入で体力を使う検証も多かった印象が…と言っている間に解けちゃったみたい。

 今回は計算勝負。東大生はもちろん、マスもしっかりと計算をして答えを探す。解答は以下の通りとなった。

コマ大チーム478個検証の結果
東大生チーム478個まず正方形を作って、余りの線分で正方形を作る
マス・ポヌペア499個?
481個?
東大生チームとほぼ同じ計算だったが…

 東大生チームもマス・ポヌペアも同じ計算をしていたが、なぜか答えが違ってしまった。果たして正解は…

正解…478個 コマ大チーム、東大生チーム正解!!

 今回は着実に計算を進めると答えが出てきます。まず、なるべく多くの正方形を作るためには、線分で作る図形はひとつながりで穴やくぼみがない図形でなければいけません。そうするとなるべく正方形に近い図形である必要があるわけです。それ以降の計算は…

 一辺が n 本の線分からなる正方形(n^2 個の正方形)を作るために必要な線分は

n × (n+1) × 2 = 2 n^2 + 2 n 本

1000 本の線分でなるべく大きい正方形を作るためには、

2 n^2 + 2 n ≦ 1000 ≦ 2(n+1)^2 + 2(n+1)

という式を考えればよい。n = 21 のとき

2 n^2 + 2 n = 924 ≦ 1000
2(n+1)^2 + 2(n+1) = 1012 ≧ 1000

となり、1000本で最大、一辺が 21 本の線分からなる正方形を作ることができる。 残りの線分は 1000 - 924 = 76 本。先ほどの大きな正方形に付けるように 新しい正方形を作っていく。

大きい正方形の一辺に沿って21個の正方形を作る…線分は 2×21 + 1 = 43 本。
大きい正方形の一辺に沿って16個の正方形を作る…線分は 2×16 + 1 = 33 本。

以上から加えて 37 個の正方形を作ることができる。よって1000本の線分で作ることができる 正方形は

21^2 + 21 + 16 = 478

 2012年、コマ大の締めくくり、コマ大フィールズ賞は東大生チームに決定。


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