数学とクイズでくつろいで数学の部屋「コマ大数学科」に挑む「コマ大数学科」に挑む・13年1月

「コマ大数学科」に挑む・13年1月

最終更新日2013年2月8日

フジテレビで深夜に放送されている「コマ大数学科」の問題に解く様子をご紹介します。数学をやってきたので簡単に解ける…と思ったものの…その奮闘振りをお楽しみに。なお、福岡での放送は二週間遅い模様です。そこら辺はご勘弁を。

東京北野総合大学 海洋学(1/17)
東京北野総合大学 国文学(1/17)
東京北野総合大学 数学(1/17)

ご意見がありましたらtfujisaki2006@yahoo.co.jpまでお願いします。


「東京北野総合大学 海洋学 (1/17)」

 コマ大が総合大学になっちゃった。普段の数学の講義だけでなく様々な分野の講義を受けていく、という1時間のスペシャル。コマ大レギュラーにゲストの菊川怜さん、先日出演した石井てる美さんも参加。もちろん数学の問題がありますよ。

 最初の講義は「海洋学」講師は東京海洋大学の客員准教授でもあるさかなクン。さかなクンは魚介類の知識だけでなくイラストも得意なため、ふんだんに絵を描いて解説を行った。内容は「海洋恋愛学」。内容をまとめると以下の通り。

 甲イカの一種「コブシメ」の生態について:
・コブシメのオスは胴体の模様を変えることができ、メスに対して好意を表し、オスに対しては 敵意を表す模様を見せる。

・オスがオスとメスに挟まれたとき、胴体のメス側半分に好意的な模様。オス側半分に敵意の模様を出すことができる。

・メスを引き寄せるために2匹のオスが争っている。ここに体が小さいオスが現れたとき、小さいオスはメスの振りをして、本当のメスを連れて行って引き寄せることをする。

 ファインディングニモで知られるクマノミの生態について:
・クマノミは一般的にメスが体が大きい。これは卵を産むためである。

・しかし、子供のときのクマノミはオス、メスの区別がなく成長に連れて性別が決まる。

・さらに、メスがいなくなったときは、オスがメスに代わって卵を産み始めることができる。

・大人のクマノミの周囲に小さいクマノミがいることがあるが、小さいクマノミが成長し新たなつがいを作ると、大人のクマノミはつがいを縄張りから追い出す。また、大人のクマノミと成長した クマノミがつがいを作ることもある。

 人間の恋愛も大変だな…と思っていたら魚の恋愛は大変、というか複雑な環境なんですね。さて、ここで海洋学に関する…いや、あまり関係しない問題を出題。

問題:
 お正月に足立区で食べられる数の子は何粒でしょう。

 コマ大で何回か登場した「フェルミ推定」を使った問題。何も手がかりのないままは答えが出せない、というわけでコマ大チームを代表してお宮の松が検証。数の子ではなく子持ちシシャモの卵の粒を数えることに。シシャモは小さいから卵も小さい。自宅でコツコツと数え、家族の支え(?)もあって数え切れた。

 しかし、中村先生がちゃんとした手がかりを準備していました。

築地市場で取引される数の子約480トン
東京都の人口1300万人
東京都の世帯数640万世帯

 以上の手掛かりからどこまで推定できるか。各組の解答は以下の通りになった。

コマ大チーム4億8千万粒
木村・菊川ペア30億粒
マス・ポヌペア120億粒 or 1350億粒
杉山・瀬戸山ペア85億粒
溝田・石井ペア28億6千万粒

みごとバラバラの値。中村先生が推定した粒の数は次の通り。

正解… 576 億粒 全員不正解(?)

詳しい計算は以下の通り。

・一世帯がお正月に食べる数の子の本数:4本
・足立区内の世帯数は32万世帯。このうち3/4が数の子を食べるとして 24万世帯。
・数の子1本の粒の数:6万粒

以上から足立区で食べられる数の子の粒の数を推定すると

4 × 24 万 × 6 万 = 576 億粒

ちなみに私は「250億粒」と推定。テレビの解答より多いため見当違いと思っていたら、中村先生の値が上であった。さて、次の講義は何でしょうか?


数学とクイズでくつろいで数学の部屋「コマ大数学科」に挑む「コマ大数学科」に挑む・13年1月


「東京北野総合大学 国文学 (1/17)」

 2番目の講義は「国文学」これまた数学とは異なる内容……と思ったら話をするのは竹内先生。数学だけでなく「源氏物語」の解説本などを出している竹内先生(本来は数学ではなく物理学が専門)「源氏物語」の深いお話をした。内容は以下の通り。

・源氏物語は「あはれ」の文学……「あはれ」という言葉は「趣がある」などの意味を持つとされているが、それよりも深い「心の奥底からあふれる感情」を表すのか?

・タブー破り……血縁同士の恋愛など、今でいう「メロドラマ」に近い内容であった。

・天性の色好み……主人公の光源氏は、一方で40歳近い女性に興味を持つと思ったら、10歳前後の女の子にも興味を持つという、まあ何というか、とにかく「女好き」

・香の文学……香りについての表現が多く使われている。部屋の中に漂う香りを表す「空薫物(そらだきもの)」仏間の香りを表す「名香(みょうこう)」光源氏の匂いを表す「御追風(おんおいかぜ)」など。

 さて、問題は「源氏香」に関する問題。

問題:
 5種類の香料をそれぞれ5袋、全部で25個の袋を用意します。このうち5個の袋を選び。 中の香をきき(香をかいで)同じ香料、違う香料の区別を当てていきます。
 このときの区別の仕方は全部で何通りあるでしょう(この場合どの香料を使っているかは考えなくてよい)

 源氏香では選ばれた5つの香料を縦線で表し、同じ香料同士を横線で結びます。上の図では 3,4 の香料が同じで、残りの 1,2,5 はそれぞれ異なる香料を使っていることを表します。

問題を見て「これは知ってる」と意気揚揚なのはマス北野。しかし念には念を入れ計算。

コマ大チーム120通り
木村・菊川ペア42通り
マス・ポヌペア52通り
杉山・瀬戸山ペア286通り
溝田・石井ペア52通り

 今回も幅の広い解答となった。はたして正解はあるのでしょうか。

正解… 52 通り マス・ポヌペア、溝田・石井ペア正解

詳しい計算は以下の通り。

同じ香の組み合わせで場合分けをする。

・5個がすべて同じ香であるのは1通りある (下の図の例1)
・4個が同じ香で1個だけ違う香のときは5通りある (下の図の例2)
・3個が同じ香で残りの2個が同じ香のときは 5C2 =10通りある (下の図の例3)
・3個が同じ香で残りの2個が違う香のときは 5C2 =10通りある (下の図の例4)
・2個が同じ香で残りのうち2個が同じ香、1個だけ違う香のときは 5C2 × 3C2 / 2 =15通りある (下の図の例5)
・2個が同じ香で残りの3個がそれぞれ違う香のときは 5C2 =10通りある (下の図の例6)
・5個がすべて違う香であるのは1通りある (下の図の例7)

以上を足し合わせると

1 + 5 + 10 + 10 + 15 + 10 + 1 = 52 通り

になる。

 マスはこの組合せを源氏物語の巻名で表しているのは知っていた。さらに始めの桐壷と最後の夢浮橋には組合せがないため、全部で 54 - 2 = 52 通りと見事な解答。さすがの竹内先生も感服であった。ちなみに私は香料の区別も計算に入れてしまって「126通り」と解答。この数字も正しいか否かは自信なし。


数学とクイズでくつろいで数学の部屋「コマ大数学科」に挑む「コマ大数学科」に挑む・13年1月


「東京北野総合大学 数学 (1/17)」

 いよいよ最後、三番目の講義は「数学」解説はおなじみ中村先生。内容は若くしてこの世を去った数学者ガロアの生涯。

エバリスト・ガロア(1811 - 1832)はフランスの数学者

 12歳まで母親のもとで教育を受ける。その後リセ(日本でいう高校)に入学するものの、留年や受験の失敗を経験する。

 17歳の時に論文を発表。その後も論文を書くが紛失や理解されなかっため、彼の名が広く知られることはなかった。

 20歳のとき決闘により命を絶つ。一説には恋愛関係のもつれとも言われる。

彼が生前に残した理論「ガロア理論」は現代数学に必要不可欠な「群論」という分野を確立させた。

…と、おおざっぱな内容を書きましたが、波乱に満ちた生涯だったのでしょう。そこで問題は群論を使った問題…って、問題を見ても数学らしさは見られないです。

問題:
 ス、ウ、ガ、ク、ア、イと並んだ文字をア、イ、ガ、ス、ク、ウと並べ替えるあみだくじを作る。 このときあみだくじに引く横線は最低でも何本必要でしょうか。

 ここで再びコマ大チームの検証。今回はシンプルに横棒の数が少ないあみだくじを作っていく。でっかいボードを持って、長い横棒を置いて地道に横棒の数を減らしていった。
 今回は少し優しい問題だったのか、東大生もすいすい問題を解いていく。解答は以下の通り。

コマ大チーム13本
木村・菊川ペア11本
マス・ポヌペア12本
杉山・瀬戸山ペア11本
溝田・石井ペア8本

 2013年だから13本と自信満々のコマ大チーム。「確かめたら11本でした」とあっさり訂正のマス。最低本数で答えながらあみだくじができなかった溝田・石井ペア。最後の問題で大混乱の展開に?

正解…11本 木村・菊川ペア、杉山・瀬戸山ペア正解!

 2組とも上と下の同じ文字を直線で結んでその交点の数を数えました。一方以下の方法でも11本のあみだくじを作ることができます。

上の「ア」が下の「ア」に行くように横棒を入れる(4本加える)
同じく上の「イ」が下の「イ」に行くように横棒を入れる(4本加える)

この時点で右図の囲まれた部分にはあみだくじで左から順にス、ウ、ガ、ク が来ている。

右から2番目は「ガ」が来ているため、下の「ガ」に行くように横棒を入れる(2本加える)この時点で「ス」はたどり着ける。
最後に「ウ」「ク」がたどり着けるように横棒を入れる(1本加える)

以上で横棒は合計4+4+2+1=11本加えたことになる。

 このあみだくじの横棒は中村先生の解説で話していた「順番が逆転している2文字のペア」の順番を逆にしていく作業と対応しています。念のため……

 そんなこんなで3分野の講義を受けた今回のコマ大スペシャル。今回首席として選ばれたのは木村・菊川ペア。見事副賞の「魚卵詰め合わせ」を受け取った。数学の分野を飛び出したコマ大。次回はどんな分野に飛び出すのでしょうか?


数学とクイズでくつろいで数学の部屋「コマ大数学科」に挑む「コマ大数学科」に挑む・13年1月