数学とクイズでくつろいで数学の部屋「コマ大数学科」に挑む「コマ大数学科」に挑む・13年3月

「コマ大数学科」に挑む・13年3月

最終更新日2013年4月29日

フジテレビで深夜に放送されている「コマ大数学科」の問題に解く様子をご紹介します。数学をやってきたので簡単に解ける…と思ったものの…その奮闘振りをお楽しみに。なお、福岡での放送は二週間遅い模様です。そこら辺はご勘弁を。

モビール(3/1)
テラガ・ブルク(3/8)
ボウリング(3/15)
プラスとマイナス(3/22)
最大円柱(3/29)

ご意見がありましたらtfujisaki2006@yahoo.co.jpまでお願いします。


「モビール (3/1)」

 コマ大が放送300回に達した。しかし戸部アナがいきなり300回特製のメガネを壊すところからはじまってしまった。レギュラーにすっかり落ち着いた溝田さんのスタルヒンの物まねも披露したところで今回はいきなりコマ大チームの挑戦。

 コマ大チームは今回のテーマ「モビール」にふさわしい問題を作ることにした。モビール作家のアドバイスのもと、まずはバットやゴルフクラブでバランスを取る訓練をし、バランスを取りやすそうで取りにくい問題を考える。この問題が採用されれば、自分たちは問題を解かなくてよい……

 そんな淡い期待もむなしく、苦心して考えたコマ大チームの問題を中村先生は一蹴。今回はモビールのバランスについて書かれてある本から出題。

問題:
 図の図形を糸でつるして線分ACが水平になるようにしたい。糸でつるす場所は 0 から何センチの位置になるか?
 図の四角は一辺が1cmの正方形である。灰色の正方形は穴が空いている。赤と白の色分けは重さとは関係がない。念のため…

 今回は3チームがスタジオで問題に挑む。コマ大チームも残念ながら問題を解くことになった。着実に計算を進める東大生チームとマス・ポヌペア。一方コマ大チームは問題の図形を切り取り、重さをはかり取る。果たしてこの方法で答えが出るのでしょうか?

コマ大チーム3.3cmサザエさんの家に似ていることから
「サザエ→3.3 A」と決定?
マス・ポヌペア3.75cm位重心を計算
東大生チーム3.15cm面積が半分になる位置を計算

私も面積が半分ぐらいになる所を計算したが、おそらく「3.11cm」位とほぼ勘で答えを出した。実際に解答の位置で図形を吊るしてみると、東大生チームの位置はやや傾いていたが、水平に近かった。
 では釣り合う場所はどのように計算すればよいのでしょうか?

 重さが M1, M2 の物の重心の位置が基準点 0 からそれぞれ v1, v2 の位置にあるとする。 また、2個の物を合わせた物の重心の位置が基準点 0 から v の位置にあるとする。このとき 以下の式が成り立つ。

v × (M1 + M2) = v1×M1 + v2×M2

 一般に、重さが M1, M2, …, Mk である k 個の物の重心の位置が基準点 0 からそれぞれ v1, v2, …, vk の位置にあるとする。
また、k 個の物を合わせた物の重心の位置が基準点 0 から v の位置にあるとする。このとき 以下の式が成り立つ。

v × (M1 + … + Mk) = v1×M1 + … + vk×Mk

この原理にもとづいて計算すると求める位置(上の解説での v )が分かる。テレビの解説では問題の 0 の位置から計算していたが、ここでは少し楽な方法で求めてみる。

 基準となる 0 の位置を問題の屋根のてっぺんの位置にする。また、問題の図形を右の図のように5個に分解する。

パーツ重心の位置重さ(=面積)位置×重さ
a.-3/23-9/2
b.090
c.1/284
d.3/213/2
e.5/31/25/6

以上から

・重さの合計:M1+M2+ … +M5 = 43/2
・位置×重さの合計:v1×M1 + … + v5×M5 = 11/6

となるため、問題の図形の重心の位置は

11/6 × 2/43 = 11/129

 しかし、問題では基準の 0 の位置がずれていたため、ずれた距離 3 を加える。

11/129 + 3 = 398/129 ≒ 3.085

この値が釣り合う位置になる。

今回も正解を出せなかったが、最も近い値を出した、ということでコマ大フィールズ賞は東大生チームに決定。


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「テラガ・ブルク(3/8)」

 「テラガ・ブルク」はマレーシア語で町の名前だといわれているが詳細は不明…っと説明されても数学とどういう関係があるの?

 問題:下の図の状態から2人が緑が先手、赤が後手でゲームを行う。互いに一個のコマを別の丸の位置に線に沿って移動させていく。他のコマを飛び越えて動かすこともできない。また他のコマと重ねることもできない。 相手を動かせない状態にしたら勝ちである。

 このゲームの戦法とゲームが終わるまでの最低手数を求めなさい。

 コマ大チームが行う必勝法の検証といえば、とにかく対戦。今回は寺の町谷中で店の人などと対戦をしながら、必勝法を探す。今回向かう寺は貧乏退散の御利益がある。貧乏極まりない大神本舗五百年はすぐにでも寺に行きたいが、必勝法は見つからず。ようやく寺にたどり着き、一応参拝は済ませたみたいだが、肝心の必勝法は??

 コマ大チームと同じく、実際にコマを動かしながら必勝法を探す2組。私もノートに何個も図を描いて考えているが、これという必勝法は見つからず。どうやら2組も同じように悩んでいる。

コマ大チーム6手で勝敗が付く。先手が「必敗」?
マス・ポヌペア6手で勝敗が付く。実戦での結果
東大生チーム6手で勝敗が付く。5手目でミスを
すれば、という条件

 全員が「6手」で解答が一致。この解答については一応全員正解との判定。肝心の必勝法は…というとマスも東大生も堂々巡りの手があり、悩んでいた。

3手までは以下の手順でしかない(左右反転も含む)

この次の後手の手順で場合分けをする。

この場合は勝負がつかない。

この場合は青の手順(5手)に進めると最短で6手目で先手の負けになる。 しかし後手が6手目を間違えると7手目で後手の負け。さらに先手が7手目を 間違えると3手目に戻ってしまう(この手順は省略)

 つまり青の手順を行わなければいつまでたっても勝負はつかない。私は途中で同じ場面で先手後手の立場が逆になる所があるのかな?とノートに図を書き並べたが、結論は出せなかった。今回の問題、どういう解答が適切なんだろうか?
 今回もマス・ポヌペアも東大生チームも同じ状況だったので2組にコマ大フィールズ賞、と思われたがやはり今回もお預けとなった。


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「ボウリング(3/15)」

 ボウリングで見事にストライクを連発。そして高得点…と行きたいところですが、今回はそうならない問題。

 問題:ボウリングでストライクを8回出して、しかもガターを一回も出さないのに得点が100点未満となりました。
 このときのスコアを求めなさい。

 ストライク、スペアを取ったフレームの得点は以下の通り。

ストライクを取った場合:10点+その後の2投の得点がそのフレームの得点
スペアを取った場合:10点+その後の1投の得点がそのフレームの得点

 見事に問題のストライクを決めたいコマ大チーム。検証は至ってシンプル。とにかく投げる。ボウリング場で実際に投げていく。しかし、得点を少なく取ろうとするとストライクが取れなくなる。ストライクを取りすぎると高得点になる。普段なら大喜びのスコアが仇となる。
 投げ方を変えてみるうちに、逆にストライクを取れなくなってしまった。そこで登場した助っ人がガダルカナル・タカさん。ベストスコア299点の実力を持つタカさんが見事にストライクを取っていく。しかし、100点未満にしなければいけないことを伝えると「できない」と言って帰ってしまった。果たして正解は出せるのか?

 オープニングでボウリングはからっきし駄目と話していた東大生瀬戸山さん。しかし問題をあっさり解いてしまった。マスもしっかり確認してから正解を導いた。ちなみに私はずっと悩んでいた。答えは出せず。今回は見事に正解がそろった。

コマ大チーム99点プロボウラー鈴木さんが登場し
解答のスコアを実際に出した。
マス・ポヌペア99点2連続ストライクを動かすと
何通りかできるかも、と一言
東大生チーム99点9フレームはストライクにならない
所から考えた

3組とも1,2フレームはストライク、そのあとストライクとそれ以外を繰り返して最後の10フレームに3連続ストライク、でスコアができることで揃った。私は一言「そっか、10フレームの3連続ストライクは30点だったな」これを知っていたら答えが出てたかも。

 正解はもちろん99点で全員正解。ある程度見当を付けて答えを出すこともできるが、理論的に100点未満の投げ方を絞り込むことができる。

 ストライクを1回以上続けてとった時の点数を調べると

つまり、ストライクを4回以上続けた場合、もう一回ストライクを取ると必ず100点以上になる。
 1〜9フレームと10フレームの3投の合計12個の中にストライク8個を並べると、残りの4個分はストライク以外になる。
 もし10フレームの3投目がストライクでないとすると、残りの11個にストライク8個を並べることになる。4連続以上のストライクを取らないように並べるには

・3連続ストライク2回+連続しないストライク2回
・2連続ストライク4回

のいずれかになるが、いずれの場合でも100点を超えてしまう。このため10フレームの3投目はストライクでなければならない。
 10フレームの3投目でストライクを取るためには「2投目でスペアを取る」または「3連続ストライク」のいずれかでなければならない。

 「2投目でスペアを取る」ときは10フレームはストライクは1個しか取れない。このとき1〜9フレームでストライク7個を並べると、かならず100点を超えてしまう。  したがって、10フレームは「3連続ストライク」である。このとき10フレームの得点は30点である。
 9フレームもストライクを取ると、9,10フレームで合計60点取る。残りストライクが4個残っているため、必ず100点以上になる。したがって9フレームはストライクを取れない。1〜8フレームでストライク5個を並べると、

2連続ストライク1回+連続しないストライク3回

という構成でなければ100点以上になる。

 これらの順番を調べると、いずれの場合でも最終スコアは99点に抑えられることがわかる。

 ストライクを取るフレームは普通に投げれば(?)大丈夫だが、ストライクを取れないフレームで実際にガターなしで1点のみを取れるか考える。
 1投目に左右両端のうち一本を倒す。そのあと2投目は倒したピンのところを通るように投げればガターにならずに済む。
 この結果問題の条件を満たし、99点を取ることができる。

 この問題、10フレームの得点がどうなるかを知らないと解けないんですね。それはともかく、 理論上は99点を取ることはできるが、実際に99点を取った鈴木プロはすごい(プロに失礼かな)コマ大フィールズ賞はいくつかパターンがあることを考えていた、マス・ポヌペアに


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「プラスとマイナス(3/22)」

 今回マスの隣には…あれ?空席?ポヌさんが出演の予定であるが、所用で遅くなり今向っている、とのこと。さあ、マスは一人でどこまで正解を導けるのか?

 問題:下の数字の表のうち縦の列、横の列いずれも3個ずつになるように数字をいくつか選び出し、それらの数字にマイナスを付けます。

 このとき、すべての数字の合計はいくつになるでしょう?

 コマ大チームの検証はゆったりお茶を飲みながらの検証。64種類のお茶を10mlから10mlずつ量を変えて問題の通りに並べられている。まずそこから問題の条件を満たすようにお茶を選び飲んでいく。順調に進む中、大神本舗五百年が選んだのは量が最も多い640ml。しかも中身は苦〜〜いセンブリ茶。その後も様々なお茶を選び、お茶を選び終えた。あとは飲んだお茶と残ったお茶の量を合計し、引くだけ。

 残ったお茶はすべてブレンド。東大生も飲んだが悪くはないみたい。問題を解くためには適当に数字を選んで計算すれば出てくるが、その解答を理論的に求めるにはどうすればよいのか。先ほどのブレンド茶の効果なのか東大生チームは着実に計算をする。一方今回1人で挑むマス北野。黙々と計算を進める。

コマ大チーム569検証の結果
マス北野520数字全部の合計の1/4になる
東大生チーム520数字全部の合計の1/4になる

 コマ大チームだけ解答が異なる。私はただただ計算して「520」という解答は出した。しかしその理由までは分からず。

正解…520 マス北野、東大生チーム正解!

 2組見事に正解。ちなみに私も一応正解。マスも東大生も「プラスの数が全体の5/8、マイナスの数が全体の3/8」として考えた。では、なぜそうなるのでしょうか?

 問題の表を2つの表に分ける。2つの表の同じ位置の数を足し合わせていくと問題の表ができる。 マイナスを付けた数字についても、2つの表の同じ位置の数にマイナスを付ければそれらの合計で表すことができる。
 例えば上の表で「49」に丸がついているが、2つの表では「48」と「1」に分かれている

 このため、表全体の数の合計は2つの表のそれぞれの数の合計を合わせたものになる。

 1番目の表はそれぞれの横の列は同じ数字であるため、横の列の数字の合計はプラスとマイナスの数が3個ずつ打ち消されて、(プラスの数×2)となる。

 よって1番目の表の数の合計は

0×2 + 8×2 + … + 56×2 = 8×(0 + 1 + … + 7) ×2 = 448

 2番目の表はそれぞれの縦の列は同じ数字であるため、縦の列の数字の合計はプラスとマイナスの数が3個ずつ打ち消されて、(プラスの数×2)となる。

 よって2番目の表の数の合計は

1×2 + 2×2 + … + 8×2 = (1 + 2 + … + 8) ×2 = 72

以上から表全体の数字の合計は 488 + 72 = 520 である。

解説を聞くと至ってシンプルな証明ですね。何で気が付かなかったんだろうか?今回はまさかの事態にもかかわらず1人で答えを導いたマス北野にコマ大フィールズ賞が渡った。


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「最大円柱(3/29)」

 円柱の形をした茶筒。最近の若い人は急須を使うことができない、というニュースで始まった。以前ダイヤル式の電話を見たことがない、という話も聞いたが、今となったら「ポケベル」も使えないのでは…と言ってる私は「ポケベル」を使ったことがない。

 問題:底面の半径が10cm、高さが20cmの円錐があります。この円錐に内接する円柱で体積が最大のものの底面の半径を求めなさい。

 コマ大チームの検証は前回の「お茶」と繋がっているのか定かではないが、湯呑みを作って検証。問題の条件にあう円柱形をした湯呑を作り、水が一番入るものを探す。陶芸に慣れない面々を指導するのはイケメンの陶芸教室の先生。
 失敗をしながらも先生の助けを借りてどうにか4個の湯飲みが完成。しかし仕上げの焼く作業は1か月ほどかかる。そこで無理して5日間で焼いてもらうことにした。

 マスと東大生チームが鉛筆を走らせている、その横でコマ大チームが湯呑に水を入れて水の量をはかっていく。この問題、普通に計算していけば答えを出すことができる。しかし、中村先生は「もっと簡単に答えを出す方法がある」とのこと。早々と答えを出した東大生チーム。別解答を出すことができるのか?

コマ大チーム4.2 cm検証の結果。ダンカン部長の作った
湯呑が水の量が多かった。
マス北野分かりません!体積を x の関数で表したものの
そこからはさっぱり…
東大生チーム20/3 cm体積を x の関数で表し、
そこから微分を使い計算。

 マスは久しぶりのお手上げ。前回の孤軍奮闘の疲れが出ているのでしょうか?

正解…20/3 cm 東大生チーム正解!!

東大生チームのように普通に微分をしていくと、体積が最大になるときの半径は求めることができる。

しかし、もう少し楽な計算で半径を求めることができる。

 東大生チームは「円柱の半径=高さ」となることには気づいていた。私もそれには気づき「相加・相乗平均を使うのかな?」と推測はしていたが、3つの数の場合までは気づかなかった。何はともあれ正解を出した東大生チームにコマ大フィールズ賞が渡った。


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