数学とクイズでくつろいで数学の部屋「コマ大数学科」に挑む「コマ大数学科」に挑む・13年5月

「コマ大数学科」に挑む・13年5月

最終更新日2013年6月23日

フジテレビで深夜に放送されている「コマ大数学科」の問題に解く様子をご紹介します。数学をやってきたので簡単に解ける…と思ったものの…その奮闘振りをお楽しみに。なお、福岡での放送は二週間遅い模様です。そこら辺はご勘弁を。

映画と数学(5/3)
「マスマスター グランドチャンピオン大会予選 追記」
視聴者からの挑戦状 Part 8(5/10)
物理学(5/17)
音楽と数学(5/24)
デュードニー Part 3(5/31)

ご意見がありましたらtfujisaki2006@yahoo.co.jpまでお願いします。


「映画と数学 (5/3)」

 映画と数学…あまりつながりが無さそうな2つのジャンルだが、この2つの才能を持つのが我らがマス北野。「映画を撮る奴は数学を馬鹿にするな」と一喝。今回の東大生は新コンビの杉山・溝田ペア。こちらは映画には無頓着の模様。

問題:映画で駅馬車が走っているところを撮影しています。
 駅馬車が一定の速度を超えたとき、馬車の車輪が逆回転しているように 見えました。
 逆回転に見える理由を説明しなさい。

 映画と言えばコマ大チームダンカン部長も監督の経験あり。ということでコマ大チームの検証はダンカン部長の監督のもと、実際に物を回転させて逆回転の理由を探っていく。主演に抜擢されたもののまったく映らないお宮の松が風車や、自転車のタイヤを回していったが逆回転には見えず。最後の扇風機で逆回転に見えた模様。はたして逆回転の理由は分かったのか?

 今回マスのお相手、ポヌさんが公務のためお休み。ポヌさんはベナン共和国全権大使夫人なんですね。コマ大もすごい人達が出てるんですね。それはともかく、マスは一人で問題に挑む。苦戦を強いられる、かと思いきや、しばし考えて早々と解答を書いた。東大生の映画無頓着コンビは逆に苦戦。竹内先生から映画フィルムのコマ数を考えてください、とヒントをもらった。それでも分からず、ついにマスからコマ数のヒントをもらった。

コマ大チーム目を少し寄らせると
逆回転に見える。
お宮の松の解答。
成田屋のにらみのように?
マス北野車輪の回転とフィルムのコマが
シンクロするため
実際は回転しているが、フィルムは少し逆回転
している位置しか撮影されていない。
東大生チームコマ数の限界のため理論はマスと同じ

 東大生チームは図を描いて説明を加えた。果たして正解なのでしょうか?

正解… マス北野、東大生チームの解説が正解!!

 東大生チーム、ヒントをいろいろいただきながら正解を出した。

 車輪のスポーク(車輪の中心と周囲をつなぐ棒)が8本のものを考える。この時スポークは 45°ずつ車輪に付けられている。 この車輪を回転させて、フィルムで撮ってみる。映画のフィルムが1秒間に24コマ撮影できるとする。
 車輪が1秒間に1回転しているとき、フィルムは車輪が 360°/24 = 15°回転するたびに撮影される。このときは、車輪の実際の回転と同じ方向に回転しているように見える。

 回転を速くして、車輪が1秒間に2回転させる。このときフィルムは車輪が 15°× 2 = 30°回転するたびに撮影される。
 次に撮影される画像は実際には車輪が 30°回転しているが、前の画像の隣のスポークとは 15°しか差がないため、隣のスポークが 15°逆回転して撮影されていると錯覚を起こす(下の図では車輪は青の矢印の回転をしているが、赤の矢印の回転をしていると錯覚する)
 この錯覚が繰り返されているため、車輪が逆回転しているように見えてしまう。

 フィルムはいわば「コマ送り」の状態のためこのような現象が起きる。直接目で見るときは錯覚しないが速いまばたきを繰り返すと見えるらしい。それにしても今や映画もデジタルの時代。コマ数は1秒間に40コマになるんですね。
 今回は文句なし。即答の「監督」マス北野にコマ大フィールズ賞が渡った。


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「マスマスター グランドチャンピオン大会予選 追記」

 先日の「グランドチャンピオン大会」の予選問題について、解説が不十分だったと思われます。補足を加えて改めて解説を載せます。

 問題:

12345×23456×34567×45678×56789×98765×87654×76543×65432×54321

の百の位を求めなさい。

解説:
 12345×23456 は一の位が 0 になる。つまりこの掛け算の積は 10 の倍数。同様に 98765×87654 も 10 の倍数である。
 よって問題の計算式は 10×10 = 100 の倍数、つまり下二桁は 00 である。
 このことから問題の計算式の百の位は計算式を 100 で割った値の一の位になる。 ここで計算式全体を 100 で割らずに上の説明の2つの掛け算それぞれを 10 で割った値 と残り6個のの掛け算の値を掛けた式を考えればよい。

  12345 × … × 54321 / 100
= (12345 × 23456) / 10 × (98765 × 87654) / 10 × (残り6個の数の積)

さらに

(12345 × 23456) / 10 = (12345 / 5) × (23456 / 2) = 2469 × 11728
(98765 × 87654) / 10 = (98765 / 5) × (87654 / 2) = 19753 × 43827

となるため

  12345 × … × 54321 / 100
= 2469 × 11728 × 19753 × 43827 × (残り6個の数の積)

となる。この計算式の一の位は掛け算の数の一の位を掛ければよいため、

9 × 8 × 3 × 7 × 7 × 8 × 9 × 3 × 2 × 1 = 4572288

(赤の数字は 34567, 45678, 56789 の一の位、青の数字は76543, 65432, 54321 の一の位の積を表す)以上から

  12345 × … × 54321
= (一の位が 8 の数)× 100
= 下三桁が 800 の数

 となるため、百の位は 8 である。

 問題: 一辺が1の正方形ABCDがある。辺ADを直径とする円の中心をO、辺AB上の点Eを直線CEが円Oの接線となるようにとる。このとき三角形CBEの面積を求めなさい。


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「視聴者からの挑戦状 Part 8 (5/10)」

 続々と寄せられる(と思われる)視聴者からの問題に挑むこのシリーズ。今後してみたい企画をコマ大メンバーに聞いたところ、木村さんは「メンサに再挑戦」杉山さんは「東大生に突撃対決」、そしてマスは「物理の問題」とのこと。今回は以前問題を送ったカネコニロウ本店さんからの再挑戦状。

 問題:線分ABと一本のひもがあります。ひもは線分ABより短く、半分より長いですが長さは分かりません。
 このひもを使い、線分ABの中点を求めなさい。

 今回の問題には「ひも」が必要。ということで、コマ大チームはひも作るために「リリアン」に挑む。 女の子がよく作るリリアンだが、プロになるとネックレスなどを作ることもできる。講師の教えを受けながら地道にリリアンを作る男四人。きれいな彩りのリリアンの中、お宮の松は袋のようなリリアンができた。今回は3組同時に問題に挑む。

 今回もマスは一人で挑む。今回は数式を書いてしばし、すぐに解答を書いた。2週連続のマスの秒殺(この言葉も久しぶりだな)に焦る東大生。2人が確認をしてこちらも解答を出した。マスは余裕でお宮の作った袋リリアンで遊ぶ始末。

コマ大チームひもをグ〜〜っと伸ばしてABの長さにして
半分に折る。
東大生チームA,Bから楕円を描いてその交点を線で結ぶ。
ABとの交点が中点。
マス・ポヌペアひもの端をAに置いたときの反対の端をとり、
Bに対しても反対の端を取る。
 ひもで反対の端の間の長さの半分を取る。

 三者三様の答え。コマ大チームも中点が取れないことはないが、ひもは伸びるのか?

正解…マスの方法は正解!!

実際は「ひも以外の道具を使わない」という条件で答えを求めていた。出題者の解答は以下の通り。

 ひもの端をAに置く。このときの反対の端を固定したまま、Aにある端をB に動かす。このとき、ひもの折れる部分が中点になる。

ん〜〜実にシンプル。ちなみに私が考えた解答は以下の通り。

左の図の方法:
 ひもの端をAに置き、ひもの半分の長さに印をつける。点Bから残りの長さを取り、 同じく半分の長さに印をつける。
 それぞれの半分の長さの2個の印の間隔がちょうどABの半分の長さであるため、 ひもで長さを取り、ひもを移動させて中点を取る。

 右の図の方法も考えた。図から中点の取り方は分かると思うため省略。

しかし、ひもだけで中点を求めた正解の方法は見事である(マスの解答も実際は一度印をつける必要がある)今回のコマ大フィールズ賞はマス北野。2回連続は久しぶり?


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「物理学 (5/17)」

 オープニングからいきなりの吉報。コマ大チーム大神本舗が入籍。木村さんはいつになるのでしょうか?

問題:スニーカーとストップウォッチを使い√2を計りなさい。

 前回マスは「物理の問題も解きたい」と話していたからかどうかはわからないが、物理学の問題。それにしても今回もまたまたシンプルな問題。
 コマ大チームはよく分からないけどとにかく走れば答えが出る、ということで競技場をお借りして検証を行う。コマ大チームのスポーツマン大神と無法松が100m走で対決。すると、2人のタイムの差が1.3と√2に何となく近い。この後ダンカン部長、アタルも加わり4人で走り、あれやこれや計算すると答えが出てくる……ことを願って検証は終了。

 物理学に挑戦したかったマス。そして3週間ぶりの登場ポヌさん。2人の共同作業で計算を行う。するとスニーカーを落として時間を計測。さらにスニーカーをひもでぶら下げて揺らし始めた。何をしているのか、ということはおそらく見当がつくでしょう。

コマ大チーム4人の100mのタイムと足の大きさ。
それぞれの平均の比が√2になる。
東大生チーム39.2mのところからスニーカーを 落とす。
地面に落ちるまでの時間が√2秒。
マス・ポヌペア振り子の1往復の時間が2.34秒である
ときのひもの長さが√2mになる。

 東大生チームも計算はしていたが、机の上でスニーカーを落としたり、揺らしたり…結局はマスと同じことをしていた。

正解…全員不正解!!だけどちょっと惜しい

 準備されていた解答は以下の通り。

 1往復では誤差が大きいため、往復の回数を増やすと近似値が出やすい。番組では実際に5往復させた時間を計ると 11.02 秒/ 7.9 秒 = 1.39 とほぼ√2に近い値を出した。マスも重力加速度や円周率を使って計算したが、ひもを2倍にするだけで、あら不思議!重力加速度も円周率も使わずに√2を出すことができた。
 今回のコマ大フィールズ賞は振り子の式を使った、ということでマス・ポヌペア。マスは3連勝。一方、新東大生チームの淡路さんは2連敗。ちなみに私は振り子の式を思い出せず、そこであきらめた。


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「音楽と数学 (5/24)」

 先週の物理に続いて、今回は音楽の問題。

 問題:ピアノの白鍵のうち1オクターブ以内の2つの音を出して、1通りに聞き分けられる 2つの音はどれとどれでしょう。
 2つの音はたとえば「ファ」と「高いレ」などの可能性もある。

 東大生にとって音楽といえばカラオケ(?)マスはレコードを出したこともありピアノもたしなむ。今回もマス有利かな?蚊帳の外、と言われたくないコマ大チームは絶対音感を鍛えることに。音楽教室の先生を呼び、2音を聞き分けることにしたが苦戦。そこで4人が「ドレ」「ミファ」「ソラ」「シド」を担当して、2人が2音のそれぞれの音を聞き取ることに挑む。はたして訓練の結果は?

 好調が続くマス。しかし、今回はまったく答えが出ない様子。コマ大チームのところに置かれているキーボードでおもむろに曲を弾く。しかし答えは出て来ない。対して3連敗中の東大生。今回も苦戦を強いられている。中村先生からヒントとして「ドとレの間は半音が2個分、ミとファの間には半音が1個分ある」ということを聞く。そこでひらめいて一気に計算。笑顔で答えを書く。

コマ大チームすべての2音を
聞き分けられる
鍛えた絶対音感で挑戦。
結果は1勝1敗。
マス・ポヌペア「?」の一文字お手上げ、と一言。
東大生チーム「ファ」と「シ」この2音だけが「半音が6個分」
であることから。

 コマ大チームは実際に2音を聞き分けることに挑んだが、1オクターブ高い音を出したら混乱。もう少し訓練が必要です(そういうことか?)

正解…「ファ」と「シ」 東大生チーム正解!!

ちょっとヒント多すぎじゃないの?と思ったが東大生チームが正解を導いた。解説は以下の通り。

 「ド」と「レ」の間には黒鍵がある。黒鍵はこの2つの音の中間にあたるため、「ド」と「レ」の間には「半音2個分」の差があると考えられる。同様にして「ファ」と「ソ」の間にも「半音2個分」の差があることがわかる。

 一方、「ミ」と「ファ」の間には黒鍵がない。これは「ミ」と「ファ」には「半音1個分」の差があることを表している。同様にして「シ」と「高いド」の間にも「半音1個分」の差がある。

つまり、2つの音の間に「半音が何個分あるか」を分かれば、2つの音の推測ができる。
 実際に2つの音の間に「半音が何個分あるか」を調べて、表にまとめると以下の通りになる。

この表で上の行の「ミ」の下に書かれている「4」という数字は「ド」と「ミ」の間に半音4個分あることを表す。一方左の列の「ミ」の右に書かれている「8」は「ミ」と「高いド」の間に半音8個分あることを表す。

 この表の中で、赤で書かれた「6」を調べると「ファ」と「シ」の2音に対してのみ現れ、他の2音について「6」が現れていない。「6」以外の数字は表の中に2回以上現れている。
 このことから2つの音を聞いて、その2音の差が「半音6個分」であることがわかれば、「ファ」と「シ」の2音であることがわかる。

私は以前「算数と数学の間」というページで音階の話を書いた。そのこともあって、すんなり答えを出すことができた。コマ大フィールズ賞はもちろん東大生チーム。


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「デュードニー Part 3(5/31)」

 数学者でありパズル作家でもあったデュードニー。以前(かなり前ですが)コマ大で取り上げられ、今回再び問題が登場。

 問題:16本の木を植えて、木が4本並んだ列が12列できるように並べなさい。

 前回入籍をした大神本舗。彼より背が高い奥さんの紹介をちょこっとしたところで検証開始。今回は実際に木を植えて…とはいかないので、鉢植えの植物16個を並べることにした。植物といえば「花言葉番長」大神本舗が花言葉を教えながら、いつものように地道に問題に挑む。雨が降りしきる中、どうにか答えが出た模様である。

 冷蔵庫が小さいことが悩みの杉山さん。担担麺が好きだけど頼めない溝田さんと悩み多き(?)東大生。今回の問題は難問なのか、マスも東大生も悩みに悩んでいる。木を12列並べられない。ここで竹内先生から一言「12列より多い13列以上の答えを出してもOKです」13列以上できるのか否か、謎が謎を呼ぶ中時間が過ぎた。

 各組の解答は以下の通り。

コマ大チーム(左の図)…植木鉢を並べた写真を見せる。「12列できた」と話したものの 調べたら点線部分が3個の植木鉢しかない。

マス・ポヌペア(中央の図)…色々並べたが答えは出せず。

東大生チーム(右の図)…図の並べ方では10列しかできなかった。

 今回は3組とも不正解。残念な結果となった。問題の4本の列が12列は以下のように置けば並べられる。

緑の丸が木を表し、青の線で列を表す。

 ちなみに私は11列まではできました。それにしてもコマ大チームは右端の4個を並べられれば正解の形なので、ほんとにあと一歩でした。
 今回の問題はデュードニーの著書の中の問題…の前置きの部分。著書の中では「16本の木を植えて、木が4本並んだ列が15列できるように並べなさい」と書かれている。先ほどより3列も多い並べ方は以下のとおりである。

 どちらも美しい形である。美しさに負けて(?)答えが出なかった今回。残念ながらコマ大フィールズ賞は保留になった。


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