数学とクイズでくつろいで数学の部屋「コマ大数学科」に挑む「コマ大数学科」に挑む・13年6月

「コマ大数学科」に挑む・13年6月

最終更新日2013年7月22日

フジテレビで深夜に放送されている「コマ大数学科」の問題に解く様子をご紹介します。数学をやってきたので簡単に解ける…と思ったものの…その奮闘振りをお楽しみに。なお、福岡での放送は二週間遅い模様です。そこら辺はご勘弁を。

2013年問題(6/7)
日常の数学(6/14)
はっぴぃえんど問題 (6/21)
剛体の力学(6/28)

ご意見がありましたらtfujisaki2006@yahoo.co.jpまでお願いします。


「2013年問題 (6/7)」

「2013年問題」といってもコンピューターの構造上の問題ではない。数学オリンピックでは開催年の西暦を使った問題がよく出される。今回は今年の数学オリンピックの予選問題を出題。ここしばらく不調の東大生チームに新戦力が加わった。昨年研究生として出演した「ベーシスト」松本さん。新戦力のお手並み拝見。

 問題:たて20マス、横13マスのマス目が書かれた紙2枚それぞれに 1〜260の数字を図のように書いていく。
 この2枚の紙の同じ位置のマス目に書かれたその数字をすべて 求めなさい。

 大神本舗が出演がないにも関わらず、突然乱入。そんなコマ大チームはシンプルに2枚の紙に数字を書いて紙を重ねて、同じ位置に入った数字を探していく。しかし、字の形が違っていたら重なってもずれてしまう。ということで「美文字」の先生にきれいな数字の書き方を伝授。地道に書いていくが使用した部屋の使用時間が来てしまった。ということで、続きはスタジオで書いていく。

 満を持して登場の松本さん、一方ここしばらくの好調が止まってしまったマス北野。2組ともコマ大チームと同じように数字を書き並べていく。法則が見えてくるのか?そんな2組の後ろで数字を書いていくコマ大チーム。たたみ1畳近い紙に書いていく様子はさながら「文化祭の準備」みたいである。最後の最後で字のずれが発生したが、どうにか書き終えた。

マス・ポヌペア87同じ数字が現れそうな位置を
調べて出した。
東大生チーム87と1741の位が「1」の場所を調べて
から探した。
コマ大チーム87と174検証の結果
2枚の紙を重ねて答えを探した。

 もちろんコマ大チームの書いた2枚は正しいですが、念のため…

正解…87と174、東大生チーム、コマ大チーム正解!

 この問題、答えの出し方は意外と簡単なのです。

 左から x 番目、上から y 番目のマス目に書かれている数字をそれぞれの紙で求めていく。

1番目の紙では、一番上の列に書かれている数字はちょうど x である。また、一つ下のマス目に行くと数字が 13 増える。以上から、左から x 番目、上から y 番目のマス目に書かれている数字は

x + 13 (y-1) = x + 13y - 13

と表すことができる。たとえば左から 3 番目、上から 3 番目のマス目の数字は
3 + 13*3 - 13 = 29

2番目の紙では、一番左の列に書かれている数字はちょうど 240 + y である。また、一つ右のマス目に行くと数字が 20 減る。以上から、左から x 番目、上から y 番目のマス目に書かれている数字は

240 + y - 20 (x-1) = -20 x + y + 260

と表すことができる。たとえば左から 3 番目、上から 3 番目のマス目の数字は
-20*3 + 3 + 260 = 203
 同じ位置に同じ数字が入るとき、上の2つの式が同じ値を取るため、

  x + 13y - 13 = -20 x + y + 260
⇒ 21 x + 12 y = 273
⇒ 7 x + 4 y = 91

が成り立つ。91 は 7 の倍数のため、上の式が成り立つためには、y も 7 の倍数でなければならない。この条件と x ≦ 13, y ≦ 20 の条件から上の式を満たす x, y を求める。

y = 7 ⇒ x = 9. この位置の数字は 9 + 13 × 7 - 13 = 87
y = 14 ⇒ x = 5. この位置の数字は 5 + 13 × 14 - 13 = 174

 この計算で答えが出せるんだが、私は途中計算ミスで別の解答をしてしまった。ま、それはさておいてコマ大フィールズ賞は手探りながらも正解を出した東大生チーム。


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「日常の数学 (6/7)」

 「数学なんか習っても生活で役に立たない!」と思われているみなさん。数学って日常生活で意外と役立っているんです。東大生木村さんは部屋を探す基準として、淡路さんは移動距離を求めるときに数学を使っているそうです。

 問題:堀のそこから生えている水草が水面から少しだけ見えています。 この水草を使い、堀の水深の求め方を考えなさい。

 コマ大チームの検証は実際に堀の水深を測ることに。プールに水草に見立てたロープが浮かんでいる。プールの底まで潜り、ロープを外すことができれば水深が分かる。じゃあ誰が底まで潜るのか…いつものジャージ姿の中、一人だけ海パン姿の男が一人。ということでお宮の松が潜ることに。思った以上に深く冷たい水の中。何回も挑戦してどうにかロープを取ることができた…って、これだけ?

 マスはこの問題を知っていたのか、すぐに図を描いて計算式を書いて、そして解答を書いた。一方東大生チームは図を描いて、そこで止まってしまった。道具を使った方法を考えてはいるが表情はいまひとつ。いわゆる「エレガント」な解答ではない様子。

コマ大チーム潜水して、測る結果は5m
マス・ポヌペア「水草の水面より上の長さ」と「水草を斜めに
して上端が水面に付くまでの距離」を使い計算する。
東大生チーム他の物の影の長さと水草の影の長さから計算する。

 東大生チームの影の長さから求める方法もできないことはないと思うが、堀の底に映る水草の影を どうやって測るのだろうか?

正解…マス・ポヌペアの方法が正解!!

 この問題、私は知っていました。では解説です。

 水草(緑線)の水面から出ている部分の長さを a、水草を斜めにして上端が水面に付くまでの距離を b とする。 堀の水深を x とすると水草の底からの長さは a+x となる。

 このとき、図から x, b, a+x の3辺の長さの直角三角形が出来上がる。三平方の定理から

(a+x)^2 = x^2 + b^2 ⇒ a^2 + 2 a x = b^2
          ⇒ x = (b^2 - a^2) / 2 a

となる。つまり a と b が分かれば水深 x を求めることができる。
 例えば a = 1, b = 5 とすると

x = (5^2 - 1^2) / 2*1 = 24 / 2 = 12

となる。実際、上の図の直角三角形は 5, 12, 13 の長さの直角三角形になる。

この方法を使えば、確かに水面上で図るだけで堀の深さが分かります。マスは上の計算式も正確に書いていました。文句なしのコマ大フィールズ賞でした。淡路さん頑張れ!


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「はっぴぃえんど問題 (6/21)」

 今回の問題は研究をしていた男女が結婚する、というエピソード付き。それゆえ「ハッピーエンド問題 」と呼ばれている。

 問題:平面上に以下の条件でいくつかの点を置きます。
  • どの3点も同一直線状にない。
  • どの5点も凸五角形を形成しない。
これらの条件を満たすして最大何個の点を置くことができるでしょう。

 今回のコマ大チームの検証はダーツ。ダーツで刺さった場所で条件を満たすようにどこまで投げられるか勝負(?)する。訪れたダーツバーの入口には見慣れた顔が…実はたけし軍団の井手らっきょさんが経営しているダーツバーである。宣伝もそこそこして、ダーツのレクチャーも受けたところで検証開始。しかし、そう簡単に条件を満たすように投げられない。素人のコマ大チームが狭い範囲に投げていくのはそう簡単にはいかない。さて、結果はいかに?

 今回の東大生チームは杉山・溝田ペア。そしてスタジオに遊びに来た東大生チームOB山田さんも参加…その横に大神本舗も一応参加。新旧東大生、そしてマス・ポヌペアの対決はいかに?

東大生チーム6個四角の頂点の中に2点という配置
マス・ポヌペア8個四角の頂点の中に4個ぐらい入れられるのでは
という推測。
コマ大チーム8個検証の結果とは別の配置を考えていた。
四角の頂点の中に4個の点を入れた。

 コマ大チームは7個までダーツを投げることができたが、最後の一本はらっきょさんにお願いして見事に成功。遊びに来ていた山田さんは「7個」と解答。果たして正解は。

正解…8個、マス・ポヌペア、コマ大チーム正解!!

 4個の点までは簡単に置くことができるが、5個目の点を置くときから注意が必要である。

どの3点も一直線上にならないように4個の点を置く。このとき4点で四角形ができる。 このとき5個目の点を置ける場所を探す。
  • 4個の点のうち2点をむすぶ直線上には5個目の点は置けない。
  • 4角形の内部は対角線上でなければ置くことができる。
  • 4角形の外部はむかい合う辺の延長線上に挟まれた範囲でなければ置くことができる。
右の図では白の部分に5個目の点を置くことができる。灰色の部分に置くことはできない。

後は1個点を置くたびに、点を置けなくなる場所を消していく作業を行っていく。

左の図で、5個目の点を赤の×印に置く。このとき、6個目の点が置けなくなる場所を灰色で色づけすると右の図の通りになる。6個目の点は右の図の×印に置く。

同様にして7個目、8個目の点も決めていく。

8個目の点を置いたら、すべての平面が灰色で色づけされたため、9個目の点を置くことはできない。

 実際は9個の点を置いたら条件を満たさなくなることの証明はされている。今回のコマ大フィールズ賞はきちなく「コマ大ノーベル賞」。受け取ったのは最後の問題を見事当てて(?)しかもドミノを並べた、ということでコマ大チーム。


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「剛体の力学 (6/28)」

 「物理学」シリーズ第2弾は剛体力学。「剛体(ごうたい)」とはゴムのように曲げたりたわんだりしない固体のこと。今回、マスのパートナーを務めるのは木村さん。木村さんは現在明治大学の講師をしている、ということでコマ大初の「明大チーム」が結成。東大生チームは初のペア、杉山さんと淡路さん。

 問題1:同じ大きさ、同じ重さのドミノをA.狭い間隔で並べたものと、 B.広い間隔で並べたもの。すべて倒れるのはどちらが早いでしょう。

 2択の問題。解答はいつもの計算ではなく話し合っての解答になる。出した解答は以下の通り。 

東大生チームA.狭い
明大チームA.狭い

実際にやってみるとどうなるのか?ということで、コマ大チームの検証。実際にドミノの間隔が違う2列を作っていく。苦心して並べたドミノをダンカン部長が同時に倒す…と思ったら押し方が弱く、広いほうが倒れきれなかった。改めて並べなおして、出した結果は

コマ大チームA.狭い

3組とも同じ解答。

正解…A.狭い 全員正解!

今回は間隔を広げすぎたため遅くなった、ということ。普通の間隔と極端に狭い間隔のドミノでは普通の間隔(広いほう)が早くなるとのこと。

 今回は問題がたっぷり(?)ある。続いて第2問。

 問題2:同じ大きさでA.軽いドミノを並べたものと、B.重いドミノを並べたもの。すべて倒れるのはどちらが早いでしょう。もちろんどちらも等間隔に並べる。

 二組とも感覚をつかんだのか、解答も早かった。

東大生チームB.重い
明大チームB.重い

実際にやってみるとどうなるのか?再びコマ大チームの検証。今回はドミノの代わりにDVDのケースを2種類の重さにして並べていく。結果は…

コマ大チームB.重い

検証は僅差だったが、またも3組とも同じ解答。

正解…B.重い 全員正解!

ドミノの速さはドミノのエネルギーによるが、エネルギーはドミノの重さに比例するため重いほうが早くなる、とのこと。続いて第3問。

 問題3:大小さまざまなドミノをA.小さい順に並べてもの、とB.大きい順に並べたもの。すべて倒れるのはどちらが早いでしょう。ただし並べた長さはどちらも同じである。

 この問題も易しかったのか、すぐに答えが出た。

東大生チームB.大きい順に並べたもの
明大チームB.大きい順に並べたもの

またまたコマ大チームの検証。ドミノの代わりに大小さまざまな大きさの木枠に入った写真を並べていく。さすがに3回目となると並べるのにも手慣れた様子。結果は…

コマ大チームB.大きい順に並べたもの

これは圧倒的にBのドミノが早かった。

正解…B.大きい順に並べたもの 全員正解!

やはり大きいものが小さいものを倒す力は、小さいものが大きいものを倒す力に勝っているため、ドミノも進みやすいのである。では、大小の順番を組み合わせたらどうなるのか?これが最後の問題。

 問題3:大小さまざまなドミノをA.山型(前半は小さい順、後半は大きい順)とB.谷型(前半は大きい順、後半は小さい順)。すべて倒れるのはどちらが早いでしょう。ただし並べた長さはどちらも同じである。

 これまでの3問とも全組正解であるため、ここで決着を付けたい。

東大生チームA.B.同時の早さ一言「直感」
明大チームB.谷型前半の速さを維持したまま
倒れるのでは、と推測

ここで勝負に出た(?)のは東大生チーム。同時ゴールという選択肢を選んだ。ちなみにここ3問同じく正解した私も前半は谷型が早いが、後半に山型が追いついて「同時ゴール」と思っています。ではコマ大チームの検証。その結果は…

コマ大チームA.山型

最後の問題で見事に3つの答えに分かれた。

正解…A.山型 コマ大チーム正解!

実は、この問題に関してはどちらが早いのかは解明されていない、とのこと。ただ、実際に試して山型が早いから「山型が早い」という結論に達した。

 今回は「コマ大フィールズ賞」ではなく「コマ大ノーベル賞」。受け取ったのは最後の問題を見事当てて(?)しかもドミノを並べた、ということでコマ大チーム。


数学とクイズでくつろいで数学の部屋「コマ大数学科」に挑む「コマ大数学科」に挑む・13年6月