数学とクイズでくつろいで数学の部屋「算数」と「数学」の間で「算数」と「数学」の間で その1

「算数」と「数学」の間で その1

最終更新日2006年8月21日

人々の頭を悩ませ続けている算数と数学についてあれこれそれどれ書いています。一応難しい話は抜きで…というつもりで書いています。お茶もお菓子もありませんがごゆっくりお過ごしください。ご意見がありましたらtfujisaki2006@yahoo.co.jpまでお願いします。

ここでは「ただの数ですが…」「ただの数ですが…の続き」の2編を載せています。


ただの数ですが…

 突然ですが

1,2,3,4,5,6,7,8,9

と数字が並んでいます。ところで「数、数字」って何なのでしょうか?改めてそんな質問をされると答えが出てこないものです。例えば「声」「手」「右」「上」とは何でしょう…という質問をしているようなものです。

 なになに、そんなことはいいから質問の答えは何なの? まあ、そう焦らないで。これからその答えを書きますが、一つだけ注意を。これは私個人が考えた答えであって一般に求められている答えではないということに注意してください。もちろん同意する人もいますし、反論する人もいると思います。ただ、皆さんになるべく分かりやすく説明するとこうなるのかな、という考えで次のように答えたいと思います。

「数」と言うものは「物事の量や質だけについて調べるための道具」である。

そして

「数字」と言うものは「物事の量や質だけについて調べるための記号」である。

 と考えています。「量や質」と書くと堅苦しいですが、要は「何個、何本、何リットル」や「何割、何%、何分の1」ということです。

例えば二人の子供がケーキを食べるとき「そっちがおっきい」と駄々をこねるときがあります。そんなときはどうしますか。「叩いてつべこべ言わせず食べさせる」…いや、そういうことじゃなくって。とりあえずはケーキを重ね合わせて…それはできないかな…まあ、ともかく見比べたりしてどちらのケーキが大きいのか分かるわけです。しかし、ここでは「どちらが大きい」ということが分かればよいのであって「太郎君のケーキが15立方cm大きい」と具体的な値まで知らなくてもよいのです。

 しかし、そんな曖昧なことではすまないのが大人の世界。例えば二人のお客さんに同じ品物を渡しても「あら、田中さんの奥様の品物が大きいじゃございませんこと」…そんな言葉遣いする人見たことないですが、そのようなことを言われたらどうしましょう?さっきのケーキの例のように見比べて「田中さんの方が大きい」という結論で済むときも済みますが、普通は「どのくらい大きさに差があり、金額としてはこのぐらい差があり…」と言葉には出さなくても考えると思います。

 このように、具体的な量や質を表す方法として「数」というものが生まれてきました。昔は3より多い数は「たくさん」と言っていた、という話を聞くことがあります。えっ?ない?いや、あるの!このように3以上の数を考えなくても済んだ理由として私が思うのはまだ量の差を考えることをしていなかったため「たくさんあれば十分」という考えを持っていたから、ということかもしれません。ただ、実際に話を聞いたわけではないので正しいかどうかは分かりませんが。

まだ数の話は続きますが、長くなりそうなので今回はここまで。次回をお楽しみに。


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ただの数ですが…の続き

 前回は数が量を知るために考えられたものだ、ということを書いてきました。しかし学校、特に高校や大学の習う数学にはほとんど「数が量を知るため」という考え方とはかけ離れたような内容に見えます。

例えば方程式や微分積分…

聞いただけで頭が痛くなる人もいるかもしれません。詳しいことは又の機会に書きますが、これらの事柄も実は生活や社会の中で必要とされた計算から作られてきたものである、ということは覚えておいてください。

 さて、前回書いたように「どちらがどのくらい大きい(多い)」ということを知るために数というものを人間が使い始めましたが、それだけでは十分でないことが色々出てきたわけです。例えば「自分のお金がいくらほどあるのか」ということを知らなければいけません。もちろん「一円、二円…」と数えていっても構わないですが、そんなことをしていると日が何回も暮れます。また「自分の土地はどのくらいの広さがあるのか」というのを知るために同じように「一つ、二つ…」と…どうやって数えるのかな?

まあ、土地の広さなどをどうやって知るのか,そのような諸々の量を知るために考え出されたのが「加減乗除」つまり「+−×÷」です。この計算方法が考え出されたことから「先月1000円あって、今月2000円あるということは全部で3000円」とか「10m×7mの土地があるから70uだな」ということが分かります。そしてこれらのことを知るためには頭の中で記憶したり計算をするよりかは何かに記録した方が便利だ、ということに気付き、そして数字というものが作られましたとさ。めでたし、めでたし…いやいや、もう少し話は続きます。

 さて数の計算をし始めた人間…そのうちに分数、小数、平方根などの数を考え、さらに数の計算を見て色々面白いもの約数、素数、平方数が見つけてきました…まあ、面白いかどうかは人によりけりですが。そしてそのような新しい、面白い数を調べてみようと思ってきた人も増えてきました。しかし、これまでの「何個、何u」などを使って分数や小数はどのような性質がある、素数はこのような性質がある、ということを調べていくのには限界がありました。限界があった理由としては「イメージしにくい」ということがあると思います。例えばよく算数の問題で

縦13/5メートル、横9/7メートルの土地があります。面積はいくつでしょう

とか書かれていますが、日常生活で縦横の長さを分数で表しているのはめったにありません。そのため分数の掛け算を文章題にしてもイメージすることが 難しいのです。また他の例をあげると

101は素数だから101個のリンゴを山分けするには、一人一個ずつしかない。

とか書かれても何が何だか分かりません。むしろ「だから何なの?」と 言われてしまいそうです。 そこで、これまでの

量や質に注目した数 から 計算に注目した数

という風に考え方を変えていくとどうなるだろうか。そのような考えが生まれたことによって調べにくかった数の性質が次々と分かり、さらには負の数、複素数などまたまた新しい数を考え出したわけです…あれ?頭が痛くなりましたか。もうちょっとですからね。

 このような流れから私たちが学校で習う数学というものが作られてきたわけです。数学の教科書を見るとこのような「計算に注目した数」についての内容がほとんどです。ですから、方程式の文章題などでもイメージしにくい、と考えるのは案外普通の考え方かもしれません。

 このコーナーでは例に挙げたような「イメージしにくい」算数・数学の内容をなるべく分かりやすく書いていきたいと思いますが、よろしいでしょうか…異議なしということで、これから先もよろしくお願いいたします。


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