数学とクイズでくつろいで数学の部屋「算数」と「数学」の間で「算数」と「数学」の間で その3

「算数」と「数学」の間で その3

最終更新日2007年3月17日

人々の頭を悩ませ続けている算数と数学についてあれこれそれどれ書いています。一応難しい話は抜きで…というつもりで書いています。お茶もお菓子もありませんがごゆっくりお過ごしください。ご意見がありましたらtfujisaki2006@yahoo.co.jpまでお願いします。

ここでは「「平均」は平均的?」「マイナーな数列?カタラン数」 「マイナーな数列?カタラン数…の続き」「もう一つのマイナーな数列?カタラン数」の4編を載せています。


「平均」は平均的?

 新聞の経済欄などに「今年の平均所得は○○円」「平均貯蓄額は○○円」という記事を見ることがあると思います。新聞をあまり見ない人も見ていることにしてください…それはともかく。これらの記事を見て

家は平均より少ないなあ。まだまだだな…

と感慨にふける方もいると思います。ちょっとここで改めて「平均」について考えてこれらの記事の裏側を見てみたいと思います。

 平均とは「あるデータの総和をデータの数で割ったものです」例えば5つのデータ

30,40,50,60,70

の平均を求めると

(30+40+50+60+70)/5=250/5=50

平均は50です。これは「データの平均」という感じがします。では次のデータを見てみます。

20,100,20,90,20

平均はどうなるでしょう?

(20+100+20+90+20)/5=250/5=50

先ほどと同じく平均は50です。しかし、何だか「データの平均」という感じと言い難いですね。20から見ると平均より結構少なく、100から見ると平均より結構多いですから。それでは次のデータはどうでしょう。

5,5,5,5,230

平均を求めると…

(5+5+5+5+230)/5=250/5=50

平均50…おかしいです。ど〜〜考えてもおかしいです。どのデータも平均の値からかけ離れているので、とても「平均」とはいえません。まだ実感が沸かないかもしれませんが

5万円,5万円,5万円,5万円,230万円 の平均は 50万円

と書くと平均といえない感じがより伝わるかもしれません…伝わらないかな?

 なぜこれらのようなおかしな「平均」が出てくるのでしょう?それは

平均は本来、バランスよく分散されたデータに対して意味がある

訳です。一番最初のデータの例が当てはまります。何を持って「バランスよく」というかは説明しにくいですが、少なくとも後の二つの例は「バランスよい」とはいえません。

 平均を求めるのは簡単です。小学生でもできます。そのため、どんなデータにも平均を求めていったため、「バランスの悪い」データに対してはただ計算して求めただけで、それが意味を持つものにならないわけです。新聞を読んで「まだまだだなあ…」と考えた人たちはおそらく最後のデータの「5」に相当する人たちだと思います。大抵の場合は「230」に当たる値によって平均が流されているかもしれませんので、あまり気になさらずに…

 「平均だけでは分かりにくいバランスの悪いデータは何を見れば良いか」という疑問が起きるかもしれません。様々なものがありますがわかりやすいものをいくつか紹介します。

2番目のデータを見ると、メジアンもモードも20になります。同じく最後のデータではメジアンもモードも5になります。平均の値とメジアン、モードが近い値であればそのデータは「バランスよい」データと考えるのが分かりやすいと思います。また、学校で「標準偏差」というものを習った人もいますが、これも有効です。標準偏差が小さいほど「バランスのよいデータ」といえます。


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マイナーな数列?カタラン数

 皆さんは「カタラン数」というものを聞いたことがあるのでしょうか?「はい」と答える人はおそらく、100人に一人、いや1000人に一人、いやいや…まあ、人数はどうでもいいです。聞いたことのある人は多くはないです。ではどのような数なのでしょうか?

上のように2×2の形にマス目があります。この「?」の中に1から4までの数を一つずつ入れていきます。ただし以下の条件があります。

・右にある数字は左にある数字より大きい。
・下にある数字は上にある数字より大きい。

例えば…

 この二つは条件を満たします。

 この二つは赤の部分が条件を満たしていません。

すぐに分かりますが、1から4をマス目に入れて、かつ青で書かれた二つの条件を満たすものは、上に挙げた二つの例以外にはありません。

では、今度は3×2のマス目で考えてみます。

今度は1から6までの数を一つずつマス目に入れていきます。もちろん上の条件を満たすように入れます。さて数を入れる方法は何通りあるでしょうか?





……




できましたか?答えは次の5通りあります。

さてさて今度は4×2のマス目で考えてみます。

今度は1から8までの数を入れていきます。各マス目に条件を満たすように数を入れる方法は何通りあるでしょうか?答えは…



……




あ、長くなりそうなので次回答えを発表します。お楽しみに…


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マイナーな数列?カタラン数…の続き

前回残した問題は、上の4×2のマス目に1から8の数字を入れて

・(同じ横の列の)右にある数字は左にある数字より大きい。
・(同じ縦の列の)下にある数字は上にある数字より大きい。

という条件が成り立つような入れ方はそれぞれいくつあるか、ということでした。覚えていますか?

 まず、1と8はそれぞれ次のような位置に入ることが分かります。

そして、2は赤いクエスチョンマークの位置のどちらかに入ることも分かります。そこから後は…一つ一つ書いていくしかないようですね。そうすると

これで終りですね。4×2のマス目の場合は14通りの入れ方があります。あ〜〜疲れた。

 前回からの結果をまとめると…

2×2のマス目に1から4を2つの条件を満たすようにいれる方法は 2通り
3×2のマス目に1から6を2つの条件を満たすようにいれる方法は 5通り
4×2のマス目に1から8を2つの条件を満たすようにいれる方法は 14通り

 では、これまでの結果から5×2のマス目の場合について考えることができるでしょうか。つまり

5×2のマス目に1から10を2つの条件を満たすようにいれる方法は ??通り

ということです。

 「これも一つ一つ調べないといけないのか…人生に近道はないのか…」と悲観的にならなくても結構です…えっ?なってない?…それはそれで良いことです。実はこれらの数には次のような法則があるのです。

2×2のマス目の場合…(4×3)/(3×2×1)=
3×2のマス目の場合…(6×5×4)/(4× 3×2×1)=
4×2のマス目の場合…(8×7×6×5)/(5×4×3×2×1)=14

…ということは、5×2のマス目に1から10を2つの条件を満たすようにいれる方法の個数は

(10×9×8×7×6)/(6×5×4×3×2×1)=42??

本当に42通りなのでしょうか。実際に書き並べてみま…でもたくさんあるので止めます。時間があれば調べてみてください(無責任でごめんなさい) さて、このまま6×2の場合、7×2の場合…と計算を続けると

132、429、1430、4862…

という数列ができます。この数列の数を「カタラン数」と呼びます。実はこの数はもう一つ別の場面でも出てきます。その話はまた次回に…

一言:高校の数学を覚えている方へ…カタラン数の1番目を1、2番目を2、3番目を5…という風に番号をつけると、カタラン数の n 番目の数は 2nCn/(n+1) と書き表すことができます。


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