数学とクイズでくつろいで数学の部屋「コマネチ大学数学科」に挑む「コマネチ大学数学科」に挑む・11月

「コマネチ大学数学科」に挑む・11月

最終更新日2007年11月24日

フジテレビで深夜に放送されている「コマネチ大学数学科」の問題に解く様子をご紹介します。数学をやってきたので簡単に解ける…と思ったものの…その奮闘振りをお楽しみに。なお、福岡での放送は二週間遅い模様です。そこら辺はご勘弁を。

「順列組み合わせ(11/6)」
「ピックの定理(11/13)」
「円分割(11/20)」
「時空図(11/27)」

ご意見がありましたらtfujisaki2006@yahoo.co.jpまでお願いします。


「順列組み合わせ(11/6)」

 「渋谷スタジオ」でのこの番組の収録は今週で終了、とのこと。古くなったとはいえ、最後というのは寂しいものです……ところで、誰、この人?この番組の本「コマ大数学科特別集中講座」を読み自分で問題を解いていったベナン共和国のポムさんという女性がマス北野の助っ人として登場しました。さあ、マス北野は正解を導けるでしょうか?

問題:1枚500円のチケットを買うために、500円しか持っていない人6人1000円札しか持っていない人6人、合わせて12人が並んでいます。しかし、いまチケット売り場にはつり銭がありません。

つり銭に不足が無いようにチケットを販売できる12人の並び方は全部で何通りあるでしょうか?
ただし、各6人の並ぶ順序は考えなくてもよい。

なあ〜〜〜〜〜んだ〜〜〜〜〜

さあ、私が「なあ〜んだ」とやや失望を含んだ理解を見せたのはなぜでしょう。その理由は後ほど。

 まずはコマ大数学研究会の挑戦。6人、6人の計12人。ということは日本のプロ野球のセパ両リーグの数とピッタシ。ということで12球団のファンが1人ずつ集まった、という想定で1枚500円のチケットを買う並び方を全て探すしらみつぶしの方法を取りました。ん〜〜〜コマ大数学研究会の真髄ですね。ダンカンさんの阪神ファンは有名ですが、お宮の松がソフトバンクのファンであることがこのとき分かりました。ソフトバンクが優勝しないのはここに原因があるのでしょうか。

 さて、実際に問題を解いていきます。番組ではマス北野がポムさんに内容の説明をするのに一苦労していましたがポムさんは理解できたようです。まず、問題の内容をよく見てみます。問題文に「つり銭に不足が無いように」とあります。これはどういうことかというと…

次に「各6人の並ぶ順番は考えなくてもよい」というのは、「誰が500円、1000円を持って来るか」を考えずに「どういう順番で500円、1000円を持って来るか」を考える、ということです。つまり500円、1000円を6枚ずつ持ってきて上の条件が成り立つような並び方を考えていきます。そうするとこんな図を使って考えることができます。

左端がチケットを売り始めた状態で赤い矢印が500円を持ってきた場合、青い矢印が1000円を持ってきた場合に対応します。先ほどの説明から最初は必ず500円つまり赤い矢印が来なければいけません。同じように最初の赤い矢印の次に青い矢印が2回続けてくることはありません。これで「売り始め」から「売り終わり」まで矢印通りに何通りの行き方があるか、を数えればよいのです。そうすると右の図のように各地点に来る矢印の数を足し合わせていく(矢印が1本のときはその数をそのまま持ってくる)方法をとれば簡単に計算できます。後はこつこつと計算です。

 というわけで、答えは「132通り」今回は自信があります。それでは各組の解答です。
  • コマ大研究会…132通り。実際に一つ一つ数えてみた結果。
  • 現役東大生…80通り以上。ある程度分類して数えてみたが時間内に数え切れなかった。
  • マス北野・ポム組…オレ116通り、ポム132通り。マス北野は数え上げる方法、ポムさんはある程度計算で求めたものの説明できず。
その後マス北野は「132通り」を消した。

正解…132通り

大喜びのコマ大チーム、がっくりするマス北野…なんで「132通り」を消しちゃったんでしょうかね。

 その後中村先生が解説をしていきましたが、これは「カタラン数」の計算なのです。カタラン数…そう私が「算数と数学の間で」で話をしたカタラン数そのものなのです。今回の問題は6×2に数字を入れる入れ方と対応しています。500円と1000円の並び方と「算数と数学の間で」で出てきた6×2に数字を入れる入れ方とはどのような対応ができるか、それは皆さんで考えてください。

 今回は努力の賜物でコマ大チームがコマネチフィールズ賞を取りました。約4時間半かけて132個を調べ上げる。単純計算でも約2分に1個調べたことになります。本当にご苦労様でした。


数学とクイズでくつろいで数学の部屋「コマネチ大学数学科」に挑む「コマネチ大学数学科」に挑む・11月


「ピックの定理(11/13)」

 「ピックの定理はピッグ(=豚)の定理??」と戸部アナの無理のあるだじゃれで始まった今回。前回同様ポムさんも出演。今回は民族衣装のような服装での登場でした。では問題を…

  問題:左の図のような地域がある。この地域は等間隔の格子状の道路が通り地域および池の頂点部分はその道路の交差点に当たる。またこの地域の内部には37個の交差点があり、池にも3個交差点がある。この地域の(池の部分を除いた)面積を求めよ。

「ピックの定理」という名前は聞いたことはないが、問題の内容からするとおそらくあの定理だと思う…しかし、

あの定理の詳しい中身を覚えていない…

 コマ大数学研究会の挑戦は壁の突起を利用して壁を移動する「ボルダリング」を特訓を受け、壁に問題の図形を作るという方法…???なんか変???…と思ったら単に床の映像を上から写す方法だった、というオチ。「8時だよ、全員集合」のコントを思い出しました。

 さてさて、問題の内容がいまひとつ分からないと思います。要は…


縦横の各直線が道路。
交わっている地点が交差点。

ということ。さて肝心の「ピックの定理」…の話はおいといて、この道路の直線を地域の外まで延ばしてみると…

 この図を使って大きい長方形の面積から三角形や小さい長方形の面積を引いていけば問題の面積が求まります。そうすると…

外側の大きい長方形の面積 = 63
右上の三角形の面積 = 7.5
右下の三角形の面積 = 6
左上の三角形の面積 = 6
左下の図形の面積 = 5
…………………………………………
池を含む地域の面積 = 
 63−(7.5+6+6+5)=38.5
池を含む赤い長方形の面積 = 9
右上の三角形の面積 = 3
左上の三角形の面積 = 1
左下の図形の面積 = 1.5
…………………………………………
池の面積 = 9−(3+1+1.5)= 3.5

緑の地域の面積 = 38.5−3.5=35

答えが出ました。では各組の解答です… 私を含め、全員が同じ答え! 嬉しいような、でもちょっと面白くないような…正解は…35!!!見事に正解。私はこれで3週連続の正解。どうやら調子をつかんできたみたいです。

 さて話題の「ピックの定理」とはどのようなものか…

 格子点を頂点とする多角形について多角形の内部にある点の個数をI、辺上にある点の個数をBと置くと

多角形の面積=I+B/2−1

ではこの定理を使って問題の地域の面積を求めます。

地域内の交差点の個数 = 37
地域の境界上の交差点の個数 = 5
…………………………………………
池を含む地域の面積 = 37+5/2−1=38.5
池の中にある交差点の個数 = 3
池の周囲の交差点の個数 = 3
…………………………………………
池の面積 = 3+3/2−1= 3.5

緑の地域の面積 = 38.5−3.5=35

まあ、確かに便利といえば便利ですね。ちょっと今回の問題は無理があった(特に池の交差点の部分)ですが面白かったです。今回は全員正解ということでコマネチフィールズ賞を誰にあげるか竹内先生も悩みましたが「国際協力」ということでマス北野・ポム組にコマネチフィールズ賞が与えられました。コマ大チームも正解しましたが、実際に壁に登って問題を解いたらコマネチフィールズ賞だったかもしれませんね。


数学とクイズでくつろいで数学の部屋「コマネチ大学数学科」に挑む「コマネチ大学数学科」に挑む・11月


「円分割(11/20)」

 収録が湾岸スタジオというところに移って2週目、近くに餃子屋や焼き鳥屋がないことがちょっと玉に瑕の様子。誰かお店を作ってください。

問題:円を直線で分割して20個の部分に分けるには最低何本の直線が必要でしょう。

 今回も「な〜〜んだ」と思うような問題でした。結構有名な問題です。詳しい解説は後ほど…

 今回コマ大チームは「円を分割する」ということで、ピザを切って実際に20個に分割する実験を始めた。ピザは作るの??それとも出前??と思ったら紙粘土や絵の具を作って自分達で作る、とのこと。各自1枚ずつ作りあれこれ切り方を考えながら答えを導いた。紙粘土とはいえ私から見ると上手に作ったと思いました。私図画工作…苦手です。

 さて、私も計算開始です…といいたいところですが、今回は特に計算をしないで暗算で解けます。同じようにマス北野、東大生チームもすぐに答えが分かり時間が余ったため東大生からマス北野への質問コーナーが始まりました。蛇足ですが話に出てきた永井龍雲という人は「道標ない旅」などのヒット曲を出した歌手の方です。

 
  • 円を1本の直線で分けると2つの部分に分けられる。
  • 円を2本の直線で分けると最大4つの部分に分けられる。
  • 円を3本の直線で分けると最大7つの部分に分けられる。

となる。一般に次のようなことが成り立ちます。

円をいくつかの直線と交わりながら直線で分割するとき

分割によって増える部分の数=交わる直線の数+1

よって、円をn本の直線で分けてできる部分の最大個数は

1+1+2+…+(n−1)+n=1+(n+1)n/2

このことは円に限らず多角形など凸な形のものであれば常に成り立ちます。 (なお凹な形のものはこのことが成り立たない。) ということは5本の直線で分割される部分は最大1+6×5/2=16、 6本の直線で分割される部分は最大1+7×6/2=22となるので20個の部分に分割するには最低6本必要。実際、下の図のように6本の直線で20個に分けられます。

 

 さて、各組の解答です。  今回も私を含め同じ答えになりました。正解は…6本!!!!!!ビックリマークも6本にしました。解説ではオイラーの定理を使って分割によってできる頂点、辺の数を使って計算すれば面の数もわかる、ということを話していました。なるほど、オイラーの定理は平面でも使えるんですね。ところで、穴の開いた多面体で同じように計算したらいくつになるでしょう。答えは…各自計算してください。ちなみに今回は漸化式を使い一般の定理を見つけた東大生チームがコマネチフィールズ賞をもらいました。

 来週は「時空図」を使った問題、とのこと。「ジクウズ」…ドラゴンボールのギニュー特戦隊にいた…

それは「リクーム」!!!

というわけで、先週は無理のあるだじゃれで始まりましたので今週は無理のあるだじゃれで終らせたいと思います。


数学とクイズでくつろいで数学の部屋「コマネチ大学数学科」に挑む「コマネチ大学数学科」に挑む・11月


「時空図(11/27)」

 先日「コマネチ大学数学科」がテレビ番組の最高峰と言われる「国際エミー賞」の最終選考に残った、という報道がされました。今回そのことが話にあがりました。授賞式に出席したいものの参加は自費。たけし軍団が授賞式に出席したらどうなるのでしょうか。

問題:A氏は外出先のB地点で、5時に迎えの車が来て帰る予定だった。ところが、用事が早く終わったので、B地点を4時5分に出発し、徒歩で家に向かい、途中で迎えの車に乗って帰った。この場合、B地点で5時まで車を待って帰るのと比べて何分早く家に着くか。
A氏の歩く速さは時速4km、車の速さは時速40kmとする。

この問題もよく知られた問題です。今回のテーマは時空間ということでグラフを使って計算してみたいと思います…

が、

いつものようにコマ大数学研究会の挑戦です。今回は問題と同じ設定で時間差を求めればよいのですが、さすがに自動車は難しいということで自転車で迎えに行き、自転車の速度時速20km、歩く速度2km とそれぞれ半分の速さにして実験開始。自転車は無法松が担当、残りは歩く方を担当。無法松は自転車競技で全国大会に出場経験があるとのこと…たけし軍団はどんなグループなんだ?

さて、

計算開始です。x 軸を時間、y 軸を地点とし、普段の5時に迎えの車に乗る時点を (0,0) と置き、車と歩いた場合の動きをグラフにしてみます。

赤線が車の動きのグラフ
青線が歩きのグラフ

そうすると赤の線と青の線の交点が分かれば時間差が分かる、ということになります。あとは計算です。

車の速度:時速40km=分速2/3km
赤の線のグラフ: y = 2/3 x
歩く速度:時速4km=分速1/15km
青の線のグラフ: y = -1/15 x -10/3

方程式 2/3 x = -1/15 x -10/3 を解くと…

x = -50/11

(おかしい?と思った皆さん、ちょっと黙っててね。)

 -50/11 …ということは約4分半前に車と会って帰ったということ。「何か中途半端だよな。でもこの番組だからなあ…」と考えているうちに時間切れ。 とりあえず他の解答を見てみよう。
  • コマ大研究会…34分12秒。自転車の実験での結果は17分6秒。それを2倍。
  • 現役東大生…10分。時空図のグラフを元に説明。
  • マス北野・ポム組…10分。図を使って説明。
「ん〜〜10分。それかもしれないな…でも私は何を間違えているのだろうか…」(まだ分からないの?と思った皆さん、もう少し待っててね)

正解…10分

東大生、マス北野組は見事正解。その後、時空間のグラフ例として鉄道のダイヤグラムや、ローレンツ変換の話をしていたが私は話半分で自分の間違いを考えていた…

 そして6時間後、改めて計算を見直すと…

あっ!!!

そうすると…

青の線のグラフ: y = -1/15 x -11/3

方程式 2/3 x = -1/15 x -11/3 を解くと…

x = -5

 無事に答えが出ました。つまり普段より5分速く車に乗ることができたので家に着くのは10分速く着くことになります。何と言う凡ミスでしょうか。何とも恥ずかしい。

クイズ・ヘキサゴンにおける、つるの剛士のような状況です。


数学とクイズでくつろいで数学の部屋「コマネチ大学数学科」に挑む「コマネチ大学数学科」に挑む・11月