数学とクイズでくつろいで数学の部屋「コマ大数学科」に挑む「コマ大数学科」に挑む・13年12月

「コマ大数学科」に挑む・13年12月

最終更新日2014年5月9日

フジテレビで深夜に放送されている「コマ大数学科」の問題に解く様子をご紹介します。数学をやってきたので簡単に解ける…と思ったものの…その奮闘振りをお楽しみに。なお、福岡での放送は二週間遅い模様です。そこら辺はご勘弁を。

コマ大プレイバック エンドレスゲームを無理やり解く
最終回:美しい数学への挑戦

ご意見がありましたらtfujisaki2006@yahoo.co.jpまでお願いします。


「コマ大プレイバック エンドレスゲームを無理やり解く」

 昨年5月の放送された「エンドレスゲーム」の回の問題は以下のようなものでした。

問題:
 A君とB君はあるゲームを行います。ゲームに勝つとそれぞれ相手からコインを1枚もらうことができます。どちらかがコインをすべて取るとゲームは終了です。

 現在コインをA君は6枚、B君は2枚持っています。ゲームに勝つ確率がA君が1/3、B君が2/3であるとき、A君がB君のコインをすべて取る確率を求めなさい。

この回ではマスも東大生も答えが出せず、シンプルにゲームをして確率を求めたコマ大チームが正解に近かったということで、コマ大フィールズ賞を取りました。解説を簡単にすると以下の通りになります。

 A君がコインを n 枚、B君がコインを 8-n 枚 持っているとき、A君がB君のコインをすべてとる確率を P(n) と表す。

 n = 0 のときはB君の勝ちであるため、P(0) = 0
 n = 8 のときはA君の勝ちであるため、P(8) = 1.

その他の場合、
 A君が勝つとコインが1枚増えるためこのあとA君が勝つ確率は P(n+1) に変わる。
 B君が勝つとコインが1枚減るためこのあとA君が勝つ確率は P(n-1) に変わる。

ゲームに勝つ確率を考えると

P(n) = 1/3 P(n+1) + 2/3 P(n-1)

という式が成り立つ。

 これらの条件から

P(n) = (2^n-1)/225

となることがわかる。問題の条件は n=6 のときにあたるため

P(6) = 63/225 = 21/85

となる。

 このように美しい(?)解法があるのですが、よく考えると私たちが学校で習った確率の求め方とはちょっと違います。学校で習った確率の求め方を行うと「2回のゲームでAがすべて取る確率が ??? で、4回のゲームでAがすべて取る確率が ??? で…」と場合分けをして確率を求めて合計を出していくことをしていきました。
 改めて考えると、問題のゲームを進めていくとA,Bが1勝1敗を繰り返していくといつまでたってもコインを全部取ることが出来ません。確率はほんのわずかですが、そういうことがあり得ます。このわずかな確率をどんどん足していくとどうなるのでしょうか…

 この回が終わってから、足していく計算法を進めていきました。この計算には「漸化式」「級数の収束」についての知識が必要ですので、そう簡単には求まりませんでした。半ば無理やり計算を進めた結果、上の解説と同じ確率「21/85」を求めることができました。
 それではその解説を…と書きたいところですが、長すぎるので、別のページにまとめました。先ほど書いた 「漸化式」「級数の収束」についての知識が必要です。解説を見たい方は覚悟してご覧ください⇒⇒
こちらです。


数学とクイズでくつろいで数学の部屋「コマ大数学科」に挑む「コマ大数学科」に挑む・13年12月


「最終回:美しい数学への挑戦」

 コマ大のDVD第1期の中の「ケプラー予想」の回の問題は以下の物でした。

問題:
 縦10cm、横502.5cmの長方形の枠に直径5cmの缶(=円)は何個入るでしょう。

 単純に缶を横2列にして並べていくと200本は詰めることができます。しかしコマ大チームは問題の通りに作られた木枠の中に缶を詰めていき、正解の「201本」を出すことができました。これでコマ大チームがコマ大フィールズ賞を獲れるか、と思ったところ、マスが計算で正解を出したため惜しくも獲ることができませんでした。

 この時の解説で「缶はもう一個入れることもできますか」とダンカン部長が竹内先生に語りかけたときに、少し間をおいて「それは分かりません」と返答しました。このとき、もう一個入れられない(つまり201本が最大である)ことがほぼ正しいとされていましたが、わずかながら証明が完成されていない状況でした。(今はもうわかっているかもしれません)

 コマ大では「美しい数学」を紹介してきました。計算を行って正解ができるものもありました。ひらめきを働かせてすっきり答えを出すものもありました。しかし、これらは「理論」を元に問題を作られているためであり、たとえて言えば「シナリオ通りの美しい数学」です。
 しかし、実際の問題を考えていく際には上で取り上げたような「理論」だけでは解決されない問題が多いです。おそらく「理論」で解決されるものはごく少数かもしれません。「未解決問題」という未開の土地を既存の「理論」とうんざりするかもしれない「試行錯誤」とちょっとの「ひらめき」でどこまで開発できるのか?かっこいい表現になりましたが、実際の数学の世界はこのようなものかもしれません。ん?上の「理論」「試行錯誤」「ひらめき」はそれぞれ東大生チーム、コマ大チーム、マス北野の問題解決での武器でしたね?

 コマ大はこんな「数学の世界」をわずか30分の番組で伝えてくれました。ここまで多くの分野の「数学の世界」を紹介した番組はおそらく世界中でもなかったかもしれません。今後このような番組が作られるのか?もしかしたら、マスが再びテレビの前に現れるかもしれません。改めて「コマ大数学科」という番組を作ったマス北野に感謝し、再び現れることに期待して、このページも終わります。6年半の間、このページを見たみなさんに感謝します。


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