数学とクイズでくつろいで数学の部屋「コマ大数学科」に挑む「コマ大数学科」に挑む・09年8月

「コマ大数学科」に挑む・09年8月

最終更新日2009年8月11日

フジテレビで深夜に放送されている「コマ大数学科」の問題に解く様子をご紹介します。数学をやってきたので簡単に解ける…と思ったものの…その奮闘振りをお楽しみに。なお、福岡での放送は二週間遅い模様です。そこら辺はご勘弁を。

「一小刀問題(8/6)」
「メールをいただきました」
「明治に挑戦(8/13)」
「可視領域(8/20)」
「立教に挑戦(8/27)」

ご意見がありましたらtfujisaki2006@yahoo.co.jpまでお願いします。


「一小刀問題(8/6)」

 今回の東大生チームは小橋・岡本ペア。小橋さんはちょいとセクシーなドレス姿で登場。小橋さんの私服で大学にも着ていく、ということで全員が驚いた。今日の解説は竹内先生。問題にあわせて和服で登場。「竹内先生の服も話をしろよ」と思わず突っ込みそうになる。何はともあれ今回の問題。


問題:上の図のように正方形の一部を欠いた形を適当に折り、 1回切ってつなぎ合わせて正方形にしなさい。

「一小刀(いっこがたな)問題」とは紙を折って一箇所をハサミで切る。そして再び紙を広げて、様々な形を作ったり、今回の問題のように並び替えて別の形を作る、という「和算と手品の中間」のようなもの。

 コマ大チームはとあるギャラリーにやってきた。ここは箱型のスペースを借りて、作品の展示やアクセサリーなどを販売することができる。この場所を借りて、検証を始める。しかしコマ大チームだけでは力が足りない(?)ということで切り絵作家の桜まあちさんを迎えて5人で問題に挑むことに。

 しかし、桜さんがあっという間に答えを見つけてしまった。「秒殺」なんて夢のまた夢と思っていたコマ大チームが「秒殺」で答えを出した。検証時間8分。大喜びのコマ大チームはマス北野をモデルにした切り絵を携えてスタジオへ。

 今回もすみません。一応知っている問題です。これは次のように切って並び替えると正方形ができます。

ただ…

折って切る方法でこの形が作れるのかは不明。

 竹内先生いわく「なるべく折る回数を少なく」とのこと。そこで考えたのは


赤線→青線の順に折って、緑の線に沿って切る。

残念ながら上の3片の形で切るようには作れないみたい。その後も色々考えました。


上と同じく赤線→青線の順に折って、緑の線に沿って切る。

普通なら一つできただけで解答を終えてしまう私が全部で4つも答えを見つけてしまった。

今日の私はおかしい…

 今回コマ大チームの検証が大ヒントとなったのか、いち早くマス北野が答えを出した。少し遅れて答えを出した東大生チーム。しかし他の答えを探している様子。解答は次の通りになりました。


(東大生チームは上の解答とマス北野の解答も見つけていた)

 今回は全員正解であった。竹内先生が準備していた解答は私が最初に考えた切り方だった。今回の問題は江戸時代に書かれた書物からの出題だった。ちょっといい話はその書物についての説明。

 全員正解だったが、速さで勝っていたマス北野にコマ大フィールズ賞が渡った。竹内先生、最近ちょっとマス北野に甘いかな?と思うのは考えすぎかな?次週は東京六大学に挑戦シリーズの第2弾、マス北野の母校「明治大学に挑戦」次回の予告を見ながら思った…

今日は早く終わりすぎたのかな?

来週はどんな問題が出てくるのでしょうか?


数学とクイズでくつろいで数学の部屋「コマ大数学科」に挑む「コマ大数学科」に挑む・09年8月


メールをいただきました

 7/23 放送分の「原始ピタゴラス数」に関して次のようなメールをいただきました。 (一部抜粋)

c2 =a2 + b2 より(「a2」とは「a の2乗」のこと「b2」「c2」も同様)

a2 = c2 - b2
a2 = (c + b)(c - b)

c - b= 1 の場合から順次考えます。
この場合、b、c いずれかが偶数になり、それは2ではありえないので、題意よ り a は素数となります。

また、a2 = b + c となるので、
b, c は、差が1で、和が素数の平方数となります。
そこで、

a = 3 なら b = 4, c = 5
a = 5 なら b = 12, c= 13
a = 7 なら b =24, c = 25 (素数が一つで不適)
a = 11 なら b = 60, c= 61 (和が132でこれが解答)

メールありがとうございます。このメールをいただいたとき「複数解の可能性もあるので注意したほうがよい」という主旨の返事を送りましたが、おそらく原始ピタゴラス数に限定すると一般に

3辺の和が等しい異なる2つの原始ピタゴラス数はない

と思われます。現在調査中です。

もう一つ、5月に掲載した「カックロ…問題の解答」について間違いの指摘のメールをいただきました。

カックロの問題の解答で間違いだと思われる箇所を指摘させていただけ ればと思います。
上から2段目の列は左から2、1、4ではなく 4、1、2ではないでしょうか。

ありがとうございます。文章では「左のマスには4、右のマスに2」と書いていましたが、盤面は数字の位置が逆になっていました。以下の通りに修正しています。


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「明治に挑戦(8/13)」

 先週予告があった通り、今回のテーマは「明治(大学)に挑戦」以前入学試験に出された問題を今回は出題する。問題はこちら。

問題:f(x) は x の3次曲線で…

さ、さ、3次曲線!!!

失礼しました。取り乱してしまいました。改めて問題。

問題:f(x) は x の3次曲線で曲線 f(x) は原点で直線 y = (3/2)x に接し、x=3 で x 軸に接するとします。
 このとき曲線 y = f(x) と x 軸とで囲まれる部分の面積を求めなさい。

 明治大学といえば、北川景子さん、山下智久さん、星野仙一さんなど数々の有名人を輩出しているというイメージがある…らしい。なにしろ全く知らないもんですからごめんなさい。そして明治大学といえば、マス北野が紆余曲折を経て卒業した母校でもある。さらに今回の問題はマス北野が受験した1965年の受験問題である。

 コマ大チームの検証、というか今回は大学探訪として明治大学に向かった。しかしマス北野が通った理工学部は遠く離れた生田というところにあるとのこと。電車に乗り、さらに長い坂を登り、やっとで理工学部に到着した。
 問題の出題の前に「明治大学出身の有名人は?」という質問を学生に聞いてみた。数々の有名人が出てくるが肝心のマス北野の回答がない。やっとでマス北野の答えが出たときに更なる事実が。マス北野は英語の教材として取り上げられていたので明治出身であることを知っていたとのこと。

 さて今回の問題を解くためにコマ大チームが向かったのは「オートメーション研究会」自作のロボットの技能を競う「ロボコン」にも出場したことがある、いわば頭脳集団。その中の1人に今回の問題を解いてもらうことにした。ダンカン部長がロボットで邪魔をする場面もあったが見事正解を導くことができた。正解を出すまでの時間8分41秒。マス北野、東大生はこれより早く答えを出せるのか。

 今回は時間を計るため、計算を始めるまで問題を見せていなかった。マス北野が受けたかもしれない問題だっただけに「秒殺」を期待していた。しかし、問題を見るなりマス北野「積分、え〜〜」と弱音を吐いた。何しろコマ大で微積分の問題なんて出したことない。おまけに今回の問題は「3次曲線」やら「x 軸に接している」やら数学用語のオンパレード。さすがのマス北野も泡を食った様子。

とか言いながら私はきちんと解きました。

 いい所までいきながら解答を諦めてしまったマス北野。3本撮りの3本目で少々お疲れか?一方東大生チームは着々と計算を進める。山田さんが答えを出した。その時間8分46秒。明大生には一歩及ばなかった。各組の解答は以下の通り。

コマ大チーム9/8明大生の答え。
東大生チーム9/8 3次曲線の式を求めてから積分を使い計算。
マス北野「替へ玉でした」と一言式を出そうとはしたが…

 では、正解です。

正解…9/8、コマ大、東大生チーム正解

今回の問題はまず3次曲線 f(x) を求めるところから始めなければいけない。 

f(x) は3次式なので

f(x) = a x^3 + b x^2 + c x + d

と書き表す(係数 a, b, c, d はまだ分からない)
 問題文より3次曲線 f(x) は原点 (0,0) と (3,0) を通ることが分かる。このため

f(0) = d = 0

f(3) = 27a + 9b + 3c + d = 0

 次に直線と接する条件を考えるため、f(x) を微分する。

f'(x) = 3a x^2 + 2b x + c

問題の条件から「x = 0 での接線の傾きは 3/2」「x = 3 での接線の傾きは 0」 となることが分かる。このため

f'(0) = c = 3/2

f'(3) = 27a + 6b + c = 0

となる。これら4つの式から a, b, c, d を求めると

a = 1/6, b = -1, c = 3/2. d = 0

となるため、f(x) は

f(x) = 1/6 x^3 - x^2 + 3/2 x = 1/6 (x^2 - 6x + 9)

となる。

 ここまでの計算で弱音を吐いてはいけません。まだ問題は解けていません。

コマ大には珍しい「100%正攻法」の解き方です。しかし実はこの問題にはもう少し楽に計算できる方法があります。さすがに微積分を知らない人には難しいので PDF ファイルで別ページでご紹介します。

関数 f(x) の作り方
面積の求め方(積分)

 今回は早く解けた、ということでコマ大チーム…というか正解を出した明大生にコマ大フィールズ賞が渡った。「後輩に花を持たせた」と強がっていたマス北野。スタジオを去る前に解説のボードをじっと見つめていた。頭の中で復習をしていたのか、それとも「こんな問題出すなよ」と嘆いていたのか。東京六大学は意外に手ごわい…


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「可視領域(8/20)」

 いつものようにビデオでコマ大の録画予約をしていたら、バレーボールが延長したため、15分ほど放送が遅れていた。朝起きてビデオを見たらコマ大の前に放送されている「ゴールドハウス」が入っておりU字工事がギョーザを食べていた。

 とりあえずビデオに入っていたところまでの内容をご紹介。まずは問題。

問題:広い場所に高さ5.5mの棒が垂直に立っています。遠くからこの棒に向かって秒速1mでまっすぐ進むとき、上から5mの赤い部分を見込む角度が30度以上であるように見えるのは何秒間でしょう。

(目線は高さ0mの地点にあるものとする)

 コマ大の検証は現在フジテレビ周辺で行われているイベントに展示されている「ガンダム」を使って検証…と考えたが、あまりに人が多すぎるため場所を変更。いつものビル屋上に移動した。垂れ幕に書かれた「ガンダム」ならぬ「マスダム」を問題の棒の代わりとして検証を始めた。台車に乗った無法松が「ガンタンク」ならぬ「ムホタンク」として「マスダム」を見込む角度が30度以上になる距離を探った。
(蛇足ですが「ガンタンク」とは、どのようなものなのか全く知りません)

 先週の微積分問題にコテンパンにやられたマス北野。今回も苦戦か、と思われたときにおもむろに問題の一部を切り始めた。これは閃きが働き始めた前兆である。

ここでビデオは終了。

 私はビデオのずれに慌ててしまって計算に集中できなかった(ということにして下さい)ビデオが終わったあとじっくり時間をかけて計算すると答えを出すことができた。

 ここしばらく冗談抜きで問題に挑んですみません。ある程度解き方が分かると一気に仕上げたくなる性格ですから。それはさておいてテレビの続きです。

 これ以降は、毎回お世話になっているガスコン研究所のレビューからの抜粋です。 各組の答えは次のようになりました。

コマ大チーム13.5秒間検証の結果
東大生チーム5√3秒間余弦定理を使って計算
マス北野8秒間3:4:5の直角三角形を作図した

 マス北野いわく「アナログの力」…先週とは全く違うマス北野である…みたい。

正解…8秒、マス北野正解!

 解説では私の計算と同じ解きかたを紹介していた。東大生チームも同じ2次方程式を出すことができたかもしれないが、どこかで間違えたみたい。で、マス北野の解きかたはどのようなものなのか…

 5mの棒の赤い部分と、ちょうど30度の角度を見込む地点で作られる三角形について、その三角形の外接円を描く。
(東大生チームはこの三角形に余弦定理を使った)

 この円の中心と5mの棒の赤い部分で作られる三角形は円周角の定理から中心角が60度の二等辺三角形である。つまり正三角形になる。

 よってこの円の半径は赤い棒の部分と同じ5mになる。また下の緑の線の部分が30度以上の角度を見込む範囲になる。

 円の中心と緑の線の両端をそれぞれ結ぶと、ちょうど円の半径になるため長さは5m。

また中心から緑の線に垂線を引くとその長さは

5/2+0.5=3m

となるためピタゴラスの定理から緑の部分の長さは2×4=8m。秒速1mであるため 答えは8秒間になる。

 見事に正解を導いたマス北野がコマ大フィールズ賞をもらった(実はコマ大フィールズ賞のことが書かれていなかったのですが間違いなくマス北野がもらったのでしょう) 今回は数学に飽くなき挑戦をするマス北野に脱帽だった。一方ここしばらくマス北野の力に押されている東大生チーム。跳ね返す力を見せて欲しいと思う…と真面目な終わり方でごめんなさい。


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「立教に挑戦(8/27)」

 東京六大学に挑戦シリーズ。前回はマス北野の母校「明治大学」。今回は戸部アナの母校「立教大学」の入学試験の問題に挑む。問題はこちら。

問題:図のように縦、横の長さがそれぞれ1、2の紙がある。これを幅xで縦に切り2つの紙片をつくり、それぞれを丸めて2つの円柱の側面を作る。ただし、縦、横どちらの側を縦にするかは円柱の体積が小さくなるように決めるものとする。このとき円柱の体積の和の最小値とそのときのxの値を求めよ。

 コマ大の検証はこの六大学シリーズではすっかりテレビ東京の旅番組風になっている。今回はOG戸部アナと立教大学へ向かう。戸部アナがアルバイトをしていたイタリア料理屋やその他(何故か)食事のお店を紹介した後、ツタで覆われた校舎に向かった。

 今回問題に挑むのは「立教大学アナウンス研究会」各自アナウンサーになるために努力している…というが、

「アナウンス研究会」って何をするんだ?

…それはともかく、問題に挑んだところ、答えを出すまで「9分35秒」だった。六大学シリーズ2連敗の東大生チーム、そしてマス北野、今回はこの時間に勝てるか?

 前回同様、計算を始めるまで2組には問題を見せていない。前回の微積分の問題があったためか、今回の問題を見て驚く様子はなかった。いつものように式を作り、答えを導く東大生チーム。一方マス北野は前回のように問題の図形を切る様子はなかった。東大生チームに負けじとものすごい速さで式を書いていった。おそらく前回の問題が解けなかったために勉強し直したのだろう。それにしてもこの年齢の一般人でこれだけ数式を書く人はそういないはず…

 先に答えを弾き出したのはマス北野だった。各組の解答は以下の通り。

コマ大チームx=1/2、3/2
体積:7/(16π)
立大生の答え。コマ大チームは
一応検算をした。
東大生チームx=1/2、3/2
体積:7/(16π)
式を出したあと、平方完成を使った。
マス北野x=1/2、3/2
体積:7/(16π)
式を出したあと、微分を使った。

 今回は全員同じ答えが揃った。

正解…x=1/2、3/2  体積:7/(16π)…全員正解!

 遅くなりましたが、私も解けました。では解説を

円の半径が r の円の円周は「2π r 」よって円周が x の円の半径は

x/2π

である。これを使って縦が1、横が x の長方形から作られる円柱の体積 を考える。

問題では体積が小さいほうを選ぶ。x がどの範囲でどちらの円柱の体積が小さくなるかを調べると

左の長方形の横の長さがxのとき、右の長方形の横の長さは2−x。0≦x≦1 の範囲のとき 1≦2−x≦2。一方1≦x≦2 0≦2−x≦1 となるため、2つの紙片から作られる円柱の(小さいほうの)体積の和は


 ここでは平方完成という方法で答えを出したが、微分を使った方法もある。竹内先生いわく「微分を使ったほうが1分ほど早く解けるかも」。

 今回は全員正解だったが、問題は解くまでの時間。これまで早稲田、明治両大学の入試問題では解けたものの時間がかかっている。今回はどうか

立教大生 9分35秒
マス北野 8分55秒
東大生チーム 10分48秒

 何とマス北野が残り二組よりも速く答えを導いた。先日のリベンジを晴らすとともにコマ大フィールズ賞もとった。東京六大学は残り3大学。勝敗はどうなるのでしょうか。最近、正攻法の問題が続いているのでもう少し

んんん〜〜〜???

と悩ませてくれる問題が欲しいなあ…